1902年創業のエトワール海渡は、日本橋・馬喰町にショールームを構える老舗総合卸商社です。プロフェッショナルのバイヤーが国内外から厳選した衣食住にわたる商品を揃え、20000軒もの小売店舗へ卸しています。そのエトワール海渡が将来を見据えて立ち上げたDXプロジェクトの要として選んだのがAsanaでした。Asanaの活用によって成功したプロジェクトについて伺いました。
会員ECサイトを強化し、デジタル世代にもアピールを
アパレルショップや生活雑貨店、観光地・ホテルの売店、海外雑貨店など、国内外の多業種の小売店を顧客とするエトワール海渡。同社の商品を仕入れる方法は、東京日本橋にある馬喰町の店舗へ出向いて「見て・触って・確かめて」仕入れるのが大多数で、遠方や国外の顧客には、同社が運営するECサイト「ETONET」を通じて届けられていました。
「売上比率は、店舗での買い付けが8割、ECサイトからの注文が2割でした。しかし、ここ最近は顧客の高齢化や若いデジタル世代のニーズにより、買い付けや商品の情報発信方法など、店舗をとりまく状況が著しく変化していました。すでにアジア地域からの買付け比率も高まっているため、買い付けのデジタル化は必須だと感じていました」(執行委員・卸事業部門 渋市徹氏)
これまでの顧客を大切にしながら、新しい感覚のデジタル世代に向けてエトワール海渡をアピールするには、ETONETの充実と強化、SNSでの発信が不可欠と考えたのです。
2019年秋、同社は社員40名からなる革新的なDXプロジェクトを立ち上げました。プロジェクトのメインとなるのは、店舗をショールーム化すること、そしてショールームで商品を発注し、決済までできるスキャンアプリの導入でした。
仕事の管理にもDXが必要と気づき、操作性に優れたAsanaを導入
2020年10月、まずスキャンアプリがリリースされ、今年2月にショールームがオープンしました。店舗のショールーム化とスキャンアプリの導入は、顧客にとってこれまでの「エトワール海渡」からの仕入れを大きく、よりよく変えるものでした。
馬喰町のショールームでは、小売店舗で採りいれやすいディスプレイを提案。店内を見て回るだけで店舗のイメージを膨らませることができ、また知識のある専門販売員へ悩みや要望などを気軽に相談できるようになりました。買い付けもこれまで通り並んでいる商品を「見て・触って・確かめて」選ぶことができ、なおかつ「商品をレジで精算し、それを持って店内を移動する」というストレスがなくなったため、「気持ちに余裕ができてイメージしながら商品を選べるようになった」「商品選びに集中できるようになった」という声が多く寄せられているといいます。
また、スキャンアプリの導入によって、ショールームで欲しい商品のバーコードをスキャンアプリで読み込めば発注から決済までできるようになり、年配の顧客でもかんたんに操作できると好評で、アプリを利用する店舗数は日々増加しているそうです。
ただ、DXプロジェクトは最初からスムーズだったわけではありませんでした。卸事業部の菊地祐子氏は「プロジェクトは当初、表計算ソフトでつくった計画表をメンバー40名にメール送信して情報共有し、スケジュール調整して集まった会議で問題点を話しあうというものでした。でも、すぐに限界を感じました。プロジェクトよりも、まず私たちの仕事のDXが必要だったのです」と振り返ります。
そこで同社はプロジェクトの管理にDXを採りいれることを決意。数あるツールの中から最終的に選んだのは、Asanaでした。Asanaを選んだ理由は、「類似したツールと比較して操作性がよく、こういったツールに慣れないメンバーも違和感なく利用できたこと。他社のツールもトライアルを利用して使ってみましたが、トップもメンバーも使いやすさはAsanaがいちばんという結果でした」と渋市氏は話します。菊地氏は、「メンバーの半数は女性ですからデザイン性も大切です。毎日見て、使うものなので遊び心のあるものを選びたい。Asanaのかわいらしい画面はとくに若手女子の間で人気でした」
Asanaの活用でコロナ禍でもプロジェクトは順調に進み、メンバーの団結も強く
プロジェクトメンバーの全員がAsanaの活用をスタートさせたのは、コロナ禍が全世界を覆っていた2020年4月でした。同社の販売やセールスなどの現業部門も一部在宅勤務に切り替えられましたが、Asanaを導入していたことによってプロジェクトは問題なく、スムーズに進んでいったといいます。さらに、プロジェクトの情報の共有や進行管理が滞りなくできただけでなく、コロナ禍においても仲間とつながり、励まし合える環境をAsanaで作れたことは、大きな収穫だったといいます。
「プロジェクトの管理にAsanaを導入したのが昨年4月、そしてその半年後の10月にスキャンアプリをリリースできたのは、Asanaがあったからです。店舗の在庫を倉庫へ移動する作業もAsanaをフル活用したことでスムーズな連携ができ、予定通りショールームをオープンすることができました」(菊地氏)
現場からの顧客の声を共有して、サービス改善・商品の充実を迅速に
現在、馬喰町にあるショールームは、情報発信基地として、また顧客が楽しく買い付けができる提案型のショールームとしての機能を発揮しています。遠方から来店する顧客には、提携パーキングや提携ホテルがあり、サポート体制も充実。また、会員限定のブログでは細やかな情報発信もしており、気になる商品情報は同社のオンラインストアETONETからの仕入れができるようにもなっています。
さらに同社では、Asanaをプロジェクトの進行管理だけに留まらず、顧客の声を反映した商品の充実やサービス向上、社内会議での効率化にも役立てています。
たとえば、相談窓口としての販売員が顧客から受け取る「ナマの声」をAsanaにアップすればすぐに営業やバイヤーに伝わり、リクエスト商品であれば手配され、改善してほしい部分があれば問題解決に向けて動き出します。
「これまでは報告書やメール、口頭で行っていたフィードバックをAsana上で動かすことで、すべての案件について迅速に対応できるようになりました」(菊地氏)
Asanaを活用してからは、メンバーからの積極的な意見や改善方法が提案されるようになったといい、関連するすべてのメンバーが「リクエストした顧客に商品が届いてプロジェクトが完結」になるまで見守るため、よりよい商品を迅速に届けようとする意識がこれまで以上に強くなったといいます。
今では社内会議の書類もAsanaのライブラリに格納するなど、全社的にAsanaを利用しているといい、商品や会議の資料など、かさばる紙の資料を削減。必要な書類は必要な時に検索機能を使ってすばやく取り出せるため、重要なタスクにより多くの時間をあてられるようになったといいます。
「Asanaを活用しての店舗のショールーム化とスキャンアプリ導入のプロジェクトは、私たちの日々の問題点と改善点を浮き彫りにし、エトワール海渡にDXによる仕事の効率化を教えてくれました。これからもAsanaを有効活用し、デジタル技術を積極的に採りいれていく考えです。そして私たちのビジョンである「商いに必要とされる情報と商品を一か所(ワンストップ)で提供していく、リアルとデジタルが融合したワンストップ卸」を実現し、「小売店様の成功」のために努力していきます」(渋市氏)
関連記事
【スペシャルコンテンツ】DXも利益率向上も仕事の見える化から
Prodotto合同会社 代表/Asanaアンバサダー萩原 雅裕氏が「DX化」の第一歩について具体例や導入事例を交えながら解説します!
DX一般知識
DX戦略立案のための参考記事
DX推進のためのガイドライン関連記事
- 経済産業省が進めるDX推進。DX推進ガイドラインとDXレポート2についても詳しく解説
- DXレポート2.1を解説!経済産業省が示唆するデジタル産業の目指すべき姿とは
- 【DX担当者必見】難解なDX推進ガイドラインを5つのポイントで解説
- DX推進者が知っておきたいDXの推進指標について
DX事例
- カテゴリ:
- Asanaのヒント
- キーワード:
- 事例