DXの推進に必要なCDOとは?CIOとの位置付けの違いについて

 2022.06.27  2024.04.11

CDOは、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進に必要なポストとして、多くの組織に設置されつつあります。この記事では、同じく責任者の立場である「CIO」や「CEO」との違いを確認しながら、CDOの概要を解説します。また、CDOの役割や設置するメリットについてもご紹介します。

DXの推進に必要なCDOとは?CIOとの位置付けの違いについて

CDO(Chief Digital Officer)とは

「CDO」は「Chief Digital Officer」の頭文字をとった略語であり、「最高デジタル責任者」または「最高データ責任者」と訳されます。CDOのポストは、ITデジタル部門の責任者として、あるいは経営側の立場としても、組織のDX推進のために大きな役割を担います。

しかし、日本においてはまだCDOを設置している企業はそれほど多くはないため、CDO Summitなどのイベントを通じて普及活動が行われています。

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CDOとその他のキーワードの違い

では、CDOと似たようなキーワードであるCIO、CEOの意味をあらためて確認し、どのような違いがあるのかについて見ていきましょう。

CIO(最高情報責任者)との違い

CIOは、「Chief Information Officer」の略語で、「最高情報責任者」と訳されます。ITや情報システムを管理する部門で、主に社内のITシステム運用や保守の責任者にあたります。既存の業務プロセスが適切かどうかを確認し、適宜改善を施したり、ITセキュリティの保護を担ったりする役割があります。

一方、CDOは、DX推進を通じて、社内のみならず社外の取引先や競合他社を見据え、全社的な組織変革を目的に設置される役割という点で意味が異なります。

CEO(最高経営責任者)との違い

「CEO」とは、「Chief Executive Officer」の略語で、「最高経営責任者」という意味です。企業における代表取締役とは意味合いが異なり、代表取締役はその名の通り、会社を代表する立場であり、会社としての決定事項を執行し、すべての責任を負うリーダーです。

一方、CEOは定期的に開催される取締役会からの委託を受け、その意思決定に沿って、自社の経営方針や事業戦略を策定する立場を指します。

また、デジタル部門と経営側、両方に精通したCDOとは異なり、CEOは経営側の責任者というニュアンスが大きいでしょう。

CDOが必要とされる理由

ではなぜ昨今、CDOが重要視されるようになってきたのでしょうか。

まず1つ目は、インターネットやSNSなどを活用したプロモーションが広く行われるようになり、デジタルマーケティングが広く普及してきたことにあります。

2つ目は、あらゆる業界で、全社的にDX推進を目標に掲げる企業が増えてきたことで、IT部門として部門をまたがるCIOよりも強い権限を持ったリーダーであるCDOが欠かせなくなってきていることが挙げられます。

CDOの必要性

ではここから、CDOはどのように必要とされるのか、その主な役割について解説をしていきます。

データの探索、収集、保管の管理を行う

企業がビジネスを成長させていくために必要なデータは社外にあることが多く、さらに求めるデータを探索、収集したり、加工して保管したりする作業には高い専門性が求められます。そのため、組織の成長にデータを活かすためには、データ専門のスキルを持ったスタッフを配置する必要があります。

CDOは、決定した経営戦略を詳細に理解し、その実現のためにどのようなデータが必要なのか、どのようにデータを活かしていくべきかといったニーズに転換して管理する役割を担います。

データガバナンスの方針、仕組みの構築の決定を行う

出納方法や管理ルールを策定することや、セキュリティやプライバシーリスクの管理といったデータガバナンスの方針を決めることは、さまざまなデータを扱うにあたって非常に重要です。

そこでCDOはまず、どういう用途でどんなデータを収集するのか、妥当性を検証します。またデータが適切な場所・形式で保管されているか、パーミッション権限は問題ないか、データ提供先に誤りはないかなど、データ提供にまつわる内容や方法などの方針を決め、監視することが求められます。

なお、方針を決めたデータガバナンスを実際に運用していく段階では、CDOだけではなく、データセキュリティ管理を担当するCISO(Chief Information Security Officer)や最高情報責任者であるCIOが協力し、組織内で徹底するのがよいでしょう。

データアナリティクスの整備とデータ分析に基づく意思決定文化の作成

組織におけるDXを推進させる目的は、勘や経験に基づいたあいまいな意思決定を減らし、確かなデータを分析し活用することで、意味のあるインサイトを引き出し、企業の価値を高めることにあります。そのため、CDOは社内のデータ分析をより高い品質で行い、競合他社と差別化を図り優位に立てるよう、データ活用文化をスムーズかつ強力に主導する役割を担っています。

データ提供の統制

CDOの役割として、データやデータを分析して加工することで得られたインサイトを、社内の意思決定者に提供したり、社外へ販売したりすることが挙げられます。その際、プライバシーやセキュリティを保持しつつ、販売にかかわるプロセスを統制することが求められます。

たとえばどのようにデータを提供するのか、提供ルートや提供手段を理解したり、セキュリティなどのリスクを前もって確認し、少しでも軽減させるための方法を策定したりすることが挙げられます。しかし、それらは専門的なスキルが求められるため、場合によっては外部の専門企業と協力して取り組んでいくことを検討する必要があるでしょう。

CDOを設置することのメリット

ここまでCDOの役割について見てきましたが、企業がCDOを設置することで得られるメリットとは具体的にどのようなものがあるのでしょうか。

迅速な意思決定

前述したように、データを活用せずに勘や経験で属人的な意思決定を行うと、判断の正確性や迅速さが乏しくなります。そこで、デジタル部門と経営に関する領域を同時に統括するCDOを設置することで、責任の所在を明確にできます。重大なトラブルなど、判断が必要な状況で責任者が明確であれば、迅速な意思決定のプロセスを実現できるでしょう。

また、CDOにより組織を横断した全社的な経営戦略を立案できるようになるため、社内のDXを大きく進化させることができるのです。

ITを具体的な戦略につなげる

ITテクノロジーは常に新しく進化しています。それらを迅速かつ正確に理解し、自社の経営に活かしていくことが、ビジネスの成功には求められます。

CDOはITデジタルのエキスパートであり、また経営にも精通したリーダーであるため、両方の観点から深く考察、分析し、より実践的な企業戦略へ活かしていくことができるでしょう。また、そういったデータアナリティクスを重視する企業文化の醸成にも寄与していくことが期待できます。

まとめ

CDOはITデジタル部門のエキスパートであり、さらに経営にも精通したリーダーとしての役割であり、新しく設置する企業が増えています。DXを経営に活かすため、データの適切な管理やデータガバナンスの方針策定、データアナリティクスの整備など、CDOの役割は多岐にわたります。

またDXの推進をより効率的に進めるには、Asanaのような業務効率化ツールを併せて導入するのがおすすめです。さまざまなタスクを一元管理し、チームでの進捗状況も一目で確認できるため、業務効率化に役立つでしょう。

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