上司が残っていると先に帰りづらい
「何かお手伝いすることはありますか?」
日本の職場では、自分の仕事が終わっても、まだ上司が会社に残っていたら、そうやって声をかけることによって、何となく退社の同意を得る慣例がよく見られます。「時短」が叫ばれていても、なかなか根強く残っているようですね。
私の働いてきた会社ではほとんどの場合、そんな配慮は無用でした。
上司が働いていても自分のその日の仕事が終われば、特に退社の同意を取りつけることなく「お先に失礼します」と帰ります。
日本は同調圧力が強いイメージがあります。
そのため、みんなが残っている場面で1人だけ先に帰れないとか、上司の残業中に退社できないという意識が芽生えるようです。 仕方がないので、しばらく調べ物の振りをしてネットをウロウロして時間を潰すなんて経験をした人も意外と多いのではないでしょうか。
加えて、労働時間=賃金という影響も大きいと考えます。
収入がオフィスにいる時間で計算されるのであれば、時間を稼げばいいという話になるのも必然です。
また遅くまでオフィスのデスクに向かっている人を見ると「頑張っている」と評価しがちです。アウトプットが出ていようがいまいが、時間を稼いだ人の評価が高いわけです。
その意識をベースとして毎日過ごしていれば、「残業をなくせ」といわれても、残業している姿がそのまま高評価につながり、残業時間が収入増になるので、残業は減らないという悪循環に陥ります。
テレワークでもパソコン前の時間で管理する
コロナ禍におけるテレワーク勤務が増え、日本の働き方が大きく変わるかと期待しています。
ただ、大きく立ちはだかる壁がビジネスワーカーへの“ 評価基準” でしょう。
少なくない企業が、在宅であろうと、始業時間になったらパソコンの前に着席してクリックすることで、勤務時間を測定している。オフィス勤務時と同様に、相変わらず“ 労働時間” で管理されています。
Excel など特定のアプリケーションソフトを立ち上げている時間、ラップトップについているカメラでPC の前にいる時間を測ったり、残業上限規制のために会社支給のパソコンやスマートフォンを定時以降使えなくしている企業もあります。
まったくもってナンセンスな仕組みだと感じます。
在宅で仕事をするビジネスワーカーには、個々人でそれぞれの家庭の事情があるはずです。
子どもがいる家庭であれば、仕事をしながらも、ちょっと10分、20分くらい仕事を離れて子どもの喧嘩を仲裁したり、3時以降は子どもの世話や夕飯の支度をして、子どもが寝てから残りの仕事をしたい人もいるかもしれません。
逆に、昼間にExcel の画面を長時間開いていても、実作業は遅々として進まないビジネスワーカーもいるでしょう。
作業時間だけでパフォーマンスを測るには限度があり、仮に作業時間を正確に計測できたとしても、その時間の長さとアウトプットや成果には、まったく相関関係がない可能性があります。
今こそ真剣に評価の問題を考えなければいけないタイミングでしょう。
仕事の評価が、結局は消費された時間、いわゆる自分の時間を提供した対価として計測されるのは、これからの働き方にそぐわないと思います。
いかがでしたか。実態を伴わない、時間を主軸においた評価は改めるべきでしょう。次回は、改めて「無駄な仕事」について振り返っていきます。
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