ビジネス環境が激しく変化する中、近年では、組織の壁を越えたプロジェクト型で業務を進めるケースも増えています。プロジェクトを成功させる鍵のひとつ「原価管理」で、お悩みの方も多いのではないでしょうか。本記事では、プロジェクトにおける原価管理のポイントや、その重要性、活用できるシステムなどについてご紹介します。
そもそも「原価」とは何か
ビジネスを考えていくうえで、「原価」への理解は欠かせません。一方で、原価という言葉自体は知っていても、理解が曖昧なケースも意外とあるのではないでしょうか。
原価とは、製品の仕入れや製造、販売にかかった費用を合計した金額のことです。製造業がイメージされやすい部分ですが、製造業に限らずさまざまなサービスにおいて、その仕入れや製造、開発、販売にかかる費用が該当します。より具体的な例を挙げると、有形商品の場合はその材料費が、有形・無形に関係ないところでは人件費が、基本的に商品・サービスの提供にかかる原価となります。
企業が利益率を高めていくにあたり、この原価の管理や削減が、ひとつのポイントになります。
プロジェクトにおける原価管理とは
近年では、プロジェクト形式でビジネスやサービスが推進されるケースも増えてきています。ここでは、プロジェクトにおける原価管理の考え方について解説します。
原価管理の目的
原価管理では、そのプロジェクト内で費やされるすべての原価を把握・管理することにより、削減の余地がないか注視していくことを目的とします。というのもまず、企業の利益とは「売上から原価を差し引いた金額」です。利益を最大化させていく手段として、大きくは「売上の増加」か「原価の削減」の2択になるからです。
この2要素を比較すると、売上は外部環境によるところが大きいです。他方、原価については企業努力で改善できる余地が相対的に多いといえます。よって利益増大という目標について、原価削減や原価管理の重要性は、たいへん高いのです。
原価管理の重要性
まず、原価管理を行うことにより、プロジェクト単位で収支のバランスを確認できます。そのプロジェクトにおける収入や支出を、適切なタイミングで可視化することで、課題の発見や対策の検討が可能となります。
製造業であれば、製品自体の原価は可視化しやすいです。しかしプロジェクトにおける原価管理には、可視化しづらい点も多く、適切な原価管理が求められます。また、収支のバランスを把握することは、削減可能なコストなどの「無駄」を発見するうえでも重要です。
原価管理における計算
原価計算の目的や重要性から、基本的にはプロジェクト単位で原価計算を行います。この原価計算にはさまざまな方法があり、財務会計上のルール確認なども、もちろん大切ですが、プロジェクトの性質に合わせて、適切な原価計算方法を採用することがポイントです。
具体的な原価計算方法としては、主に以下が挙げられます。
- 個別原価計算
- 総合原価計算
- 実際原価計算
- 標準原価計算
- 部分原価計算
- 全部原価計算
プロジェクトの原価計算では頻繁に、個別原価計算が採用されるので、今回は個別原価計算を例にご説明しましょう。個別原価計算では、個々の製品やプロジェクトごとに原価を計算します。ステップとしては、種類(費目別)の計算を行い、そこから部門別の計算に落とし込み、そのうえでプロジェクト別の計算を行うという手順を踏みます。
原価管理に関する注意点
なお、原価計算は単に行えばよいというものではなく、いくつか注意点もあります。
まず、労務費に関する取り扱いには注意が必要です。労務費は、人件費の中でも「プロジェクトに直接関わる従業員の給与」を指します。あくまで、直接プロジェクトに関わる人であることがポイントで、バックオフィスで会社を支える人や、販売員などで直接プロジェクトに関わっていない人の場合、その人件費はプロジェクトの費用に含まれません。
また、プロジェクト管理における原価の多くは、労務費関連になることが想定されます。何か商品やサービスを仕入れたり、製造したりといった内容ではなく、「特定の目的に向かって、プロジェクトにアサインされたメンバーによるアウトプット」が中心になるからです。よって人件費が中心となるため、その適切な算出では、時間管理が非常に重要です。
従業員によっては、特定のプロジェクトのみにアサインされている場合もあれば、ほかのプロジェクトや業務を兼任している場合もあるでしょう。そうした各個人について、時間管理を適正に行うことが、プロジェクトの原価管理につながるのです。
プロジェクトの原価管理に活用できるシステムについて
インターネット技術の発展により、世間にはさまざまなITツールが登場しました。プロジェクトの原価管理に活用できるツールも、もちろんたくさん出ています。プロジェクトの原価把握のためのさまざまな計算を、自動化・効率化可能なシステムもあるので、ぜひチェックしましょう。また、特定のプロジェクトについて、そこに関わるメンバーの工数など、多様なデータと状況を可視化し、簡単に全容を把握できるツールも提供されています。
近年では働き方の柔軟性も求められており、リモートでプロジェクトを推進する企業も多いでしょう。現在は、クラウド技術を活用したシステムの登場により、インターネット環境さえあればシステムにアクセスできるサービスも増えています。そのため、リモートでの原価管理も比較的容易に実行可能となってきているのです。
このような原価管理システム以外にも、プロジェクト管理に活用できる多種多様なシステムがあります。そのひとつとして、ここでは「Asana」をご紹介しましょう。
Asanaのワークロード機能を活用すれば、メンバー別・プロジェクト別に仕事量や状況を可視化でき、人的リソースを適材適所に割り当てられます。これにより、人件費の大まかな計算も行えるようになるため、原価管理に役立つのはもちろん、プロジェクト管理の包括的な効率化が期待できます。無料のお試しも用意されているので、興味のある方はぜひチェックしてみてください。
https://asana.com/ja/product/workload
まとめ
製造業のように、有形の製品を中心とするビジネスだけではなく、プロジェクト型のビジネスにおいても、原価管理は非常に重要です。企業の利益は売上と費用からなっており、企業努力で改善できる余地の大きい費用面を効率化するうえで、原価管理は欠かせません。
各プロジェクトの特性に応じた原価計算方法をもとに、労務費などの取り扱いにも注意しながら、プロジェクト単位での収支を適正に把握することがポイントです。
近年では、プロジェクト管理や原価計算をシステム上で自動化・効率化できるツールも増えてきています。中でも「Asana」は、プロジェクト管理に必要な機能をトータルでそろえているためおすすめです。原価管理にお悩みの際は、ぜひAsanaを活用してみてはいかがでしょうか。
- カテゴリ:
- プロジェクト管理