プロジェクト管理を行うにはコミュニケーション管理も理解しておかなければなりません。これからプロジェクト管理を学ぶ人はもちろん、プロマネの経験者でも「コミュニケーション管理」については深く理解できていないという人も多いのではないでしょうか。本コラムでは、プロジェクト管理に欠かせないコミュニケーション管理について、その目的やプロセスを交えながら、コミュニケーション管理をスムーズに進めるためのポイントを解説します。
コミュニケーション管理とは
コミュニケーション管理とは、プロジェクト管理の中でステークホルダーとどのようにコミュニケーションを取っていくかを計画するプロセスです。
なぜプロジェクト管理にコミュニケーション管理が重要なのでしょうか。それは、ステークホルダーの満足度がプロジェクトの成功を左右するからです。
ステークホルダーは、プロジェクトチームメンバーだけではなく、プロジェクトの決裁者や取引先など、プロジェクトに関わり利害関係が発生するすべての人や組織を指します。つまり、ステークホルダーとのコミュニケーションは、プロジェクト管理において重要な業務だといえるのです。
ステークホルダーについては【ステークホルダーとは?利害関係の範囲や種類から関連用語までをわかりやすく解説!】で詳しく解説していますので、併せて参考にしてください。
コミュニケーション管理の目的
コミュニケーション管理の目的は、プロジェクトのステークホルダーへ情報を正確に伝えるためのマネジメントです。
例えば、PMやPLはチームメンバーに対しての周知事項をメールで送信するだけではなく、メンバー一人ひとりが正確に情報をキャッチしたか否かまで把握しなければなりません。そのために、メールというコミュニケーション手段が適した伝達方法であるかどうかまでを管理します。
これは、チームメンバーに対してだけではありません。取引先を含めたプロジェクトに関わるすべてのステークホルダーに対して、それぞれに適した管理をしなければならないということです。このように、各ステークホルダーに対して最適な手段でコミュニケーションを取るのが、コミュニケーション管理の目的なのです。
PMBOKにおけるコミュニケーション管理の3つのプロセス
コミュニケーション管理は、PMBOKにおいて3つのプロセスで定義されています。ここでは、PMBOKのコミュニケーション管理を基準にそのプロセスをみていきましょうュニケーション管理は、PMBOKにおいて3つのプロセスで定義されています。ここでは、PMBOKのコミュニケーション管理を基準にそのプロセスをみていきましょう。
PMBOKについては【PMBOKとは?知識エリアも解説】で詳しく解説していますので、併せて参考にしてください。
1.計画:コミュニケーション計画
計画のプロセスでは、まずステークホルダーに対してどのようにコミュニケーションを取るのか、そのニーズに応じた方法を計画します。
例えば、会議やメール、チャットツールやWeb会議など、ステークホルダーの状況に合わせてその仕組みを構築することが大切です。
また、各ステークホルダーに何を伝えるのか、その内容や伝え方(説明の方法や言語・文言など)まで、計画書として作成します。
2.実行:情報の収集・配布
実行のプロセスでは、上記「1.」で計画したコミュニケーション計画に従って、情報の収集や配布を行います。
ステークホルダーからの情報収集や配布の手段は、各ステークホルダーの状況に応じた対応が必要です。例えば、プロジェクトメンバーであればチャットやメール、取引先などであれば会議を開くなどといった手段が考えられます。
3.監視・管理:実績報告・ステークホルダー管理
監視・管理のプロセスでは、コミュニケーション計画の通りにコミュニケーションが取れているかどうかを監視・管理を行います。
ステークホルダーに誤解なく情報が伝わっているかをはじめ、しっかりとコミュニケーションが取れているかが重要です。もし、情報の理解に相違がある場合は、実績報告の方法や内容の記載方法の見直しが必要ですし、ステークホルダーが現状のコミュニケーション方法に満足していなければ、どのような方法が良いかを直接ヒアリングするなどの行動も必要です。
コミュニケーション管理のポイント
コミュニケーション管理を円滑に行うには、いくつかのポイントがあります。ここでは、コミュニケーション管理のポイントをみていきましょう。
コミュニケーション「5C」の考え方を知る
コミュニケーションの5Cとは、コミュニケーションの中で招く誤解や誤認を最小限にするための注意事項です。
その概念を示した5つの単語の頭文字「C」を取って「5C」と表現されています。
- Correct:正しい文法と記述
- Concise:簡素な表現と過剰な文言の排除
- Clear:明確な目的と読み手に合った表現
- Coherent:論理的でわかりやすい
- Controlling:アイディアと言葉の流れをコントロール
これらを意識することが、正確で論理的、かつ相手にわかりやすく情報を伝えられ、誤解のないスムーズなコミュニケーションを取るための一つのテクニックです。
トラブルを回避するために記録を残す
コミュニケーション不足の問題として、情報の誤解や「言った言わない」というトラブルが挙げられます。
このようなトラブルを回避するためにも、文書や録音・録画などで記録を残すことが大切です。これは、コミュニケーション管理におけるリスク管理の基本だともいえるでしょう。
ツールを活用する
コミュニケーション管理は、ステークホルダーの環境によってツールを使い分けることが大切です。これは、相手が使い慣れていて扱いやすく理解しやすいツールを利用するということです。
例えば、遠隔地にいるステークホルダーに対してはWeb会議で会話をする、FAXをメインで利用している企業にはFAXで対応するなどの配慮をしましょう。
コミュニケーション管理に使えるツール
上述したように、コミュニケーション管理に使うツールは、ステークホルダーに合わせて選定することが大切です。
例えば、以下のような選択肢を参考にすると良いでしょう
- 取引先:Web会議システム、メール
- プロジェクトの決裁者:ExcelやPowerPointなど、使い慣れたツールでの資料提示
- プロジェクトチーム:チャットツールやプロジェクト管理ツール
特に、リアルタイムで密なコミュニケーションが必要なプロジェクトメンバーとのやり取りには、プロジェクトの状況管理なども集約できるプロジェクト管理ツールの利用が望ましいといえます。
例えば、プロジェクト管理ツールのAsanaでは、WBS作成からタスク管理、進捗管理などのプロジェクト管理に必要な基本的な機能はもちろん、ツール内でメンバーとコミュニケーションがとれるのです。一つのツールに管理を集約すれば、コミュニケーション管理も含めたプロジェクト管理が効率化されるのです。
Asanaについては「チーム内コミュニケーションをオンラインで管理する方法」をはじめ、公式サイトを参考にしてください。
まとめ
コミュニケーション管理は、プロジェクトを成功させるためには欠かせないものです。チームメンバーと密なコミュニケーションを取るのは基本的なことですが、その他のステークホルダーとのコミュニケーションを円滑に行うための施策も重要なミッションなのです。プロジェクト管理を行うならば、コミュニケーション管理の重要性をしっかりと把握し、必要に応じたツールの利用も視野に入れておきましょう。
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