働きがいとは?SDGsでも注目されている内容について

 2022.05.26  ワークマネジメント オンライン編集部

変動や競争が激しい現代の市場状況下において企業が生き残っていくためには、従業員の積極的貢献が欠かせません。そして従業員の仕事に対する積極性を根付かせるためには「働きがい」を向上させることが重要です。そこでこの記事では、働きがいの意味や重要性、働きがいのある企業を目指すためのポイントなどについて解説します。

働きがいとは?SDGsでも注目されている内容について

企業における働きがいとは

企業における「働きがい」とは何を意味するのでしょうか。まずはその定義や構成要素について見ていきましょう。

働きがいについて解説

働きがいとは、仕事やその対価に肯定的な価値を感じると同時に仕事に対してモチベーションがあり、前向きに仕事をしている状態のことを言います。

そして労働組合専門のシンクタンクとして運営する公益社団法人国際経済労働研究所においては、社会心理学の点から「働きがい」を「ワークモチベーション(仕事に対する動機づけ)」と定義しています。
参照:公益社団法人国際経済労働研究所

ただし、従業員の働きがいは一人ひとりで異なり、企業のどの要素が関係するか明確ではありません。

働きがいと働きやすさの違いとは

働きがいとよく並べて挙げられる言葉に「働きやすさ」があります。働きやすさとは、従業員が企業に勤務し、業務を遂行する上での快適さを表す言葉です。たとえば、「人事評価が公正である」「福利厚生が整っている」「労働時間の融通が利く」といったような事柄が挙げられます。

このように、従業員において働きがいが働く価値を感じながら前向きに仕事へ取り組む状態(内的要因)に対し、働きやすさは自分らしく働くことができる作業・環境条件(外的要因)という違いがあります。

とはいえ、働きがいと働きやすさがまったく無関係というわけではありません。なぜなら、いくら自分の出世や自社の事業にとって重要なプロジェクトだとしても、不十分な労務管理の下で働いていたらモチベーションは下がってしまいます。つまり、企業が持続的な成長を遂げるためには、従業員の「働きがい」と「働きやすさ」両方へのアプローチが必要なのです。

働きがいを構成する要素を紹介

前述したように従業員の働きがいに明確な定義はありませんが、世界約60カ国で「働きがい」に関する調査・分析を行っている専門機関「Great Place to Work(R)(以下GPTW)」では、働きがいのある会社を構成する要素として、組織に対する「信頼(信用、尊敬、公正)」、仕事に対する「誇り」、従業員同士の「連帯感」の3要素(「信頼」を細分した場合は5要素)を挙げています。

そしてGPTWでは、「働きがいのある会社」とは、「働きやすさ」と仕事に対するモチベーション「やりがい」の両方を兼ね備えた組織であると定義しています。

参照:Great Place to Work(R) 「「働きがい」とは?」

リモートワーク時代の新しい働き方 Asanaまるわかりガイド
メンバーの意識をまとめ、チーム力を底上げした Sansanのイベント部門が挑むプロセス改革

働きがいが注目される理由をSDGsと共に考える

ここ数年、企業経営において「働きがい」や「働きやすさ」が求められているのには理由があります。そこでここではその理由を近年、ニュースなどでも多く取り上げられるようになった「SDGs」への取り組みと共に解説します。

そもそも働きがいが注目されている時代背景とは

現在、私たちは深刻化する環境破壊、国家間の対立、感染症の世界的パンデミックなど、従来の考え方では通用しない「VUCA(ブーカ)」時代に突入していると言われています。VUCAとは、将来に何が起こるのか不透明な状態を指す言葉で、「曖昧さ」や「複雑さ」などを表す英単語の頭文字を取った造語です。

このような不安定な社会情勢下でも事業を存続していくためには、人材を育成し、その能力を最大限に発揮させて自社の競争力を強化していかなければなりません。そして、そのために必要なのが従業員一人ひとりの働きがいやワークモチベーションなのです。

たとえば、上司に指示されるまま嫌々働いているような従業員からはイノベーションなどが生まれようもありません。また、急速に変動する市場状況に素早く対応するには、従業員が絶えず新しいことを学び、適応していく努力が重要です。

つまり、働きがいが現在注目されているのは、VUCA時代を乗り越えるための人材の原動力として重要だからです。

SDGsについて紹介

働きがいはSDGsの観点からも注目視されています。SDGsとは「Sustainable Development Goals」の略称で、日本語では「持続可能な開発目標」と訳されます。SDGsは国際社会全体で環境・経済・社会についての問題を共有し、2030年までに解決していこうとする17の目標・計画のことです。

そして企業にとっても今やSDGsへの積極的な取り組みは、世界規模の貢献だけでなく、企業イメージの向上や資金調達が有利になる、ビジネスチャンスにつながることなど、さまざまなメリットがあります。

働きがいを向上してSDGsに取り組む

SDGsの8番目には「働きがいも経済成長も」というものが定められています。さらにこの目標にはターゲットとして10の達成目標と、実現のための2つの方法があり、その中には「働きがいのある人間らしい仕事ができるようにする」という働き方改革の推進などが掲げられています。

また、「一人あたり経済成⻑率を持続させる」ことも目標として掲げられており、目標を達成するためにも働きがいの向上が不可欠なのです。

働きがいの向上で得られるメリット3点

企業が従業員の働きがいを向上させることで得られるメリットとして、以下のことが挙げられます。

従業員の定着率向上や離職率の低下

働きがいとはいわば、「この仕事をしたい」「この会社で働きたい」と積極的に感じられる状態です。したがって、働きがいの向上は従業員の定着率向上、裏返せば離職率の低下につながります。

また、働きがいを向上してSDGsの掲げる目標に積極的に取り組む企業は、労働環境の改善にも注力することが想定され、この面からも人材定着率向上が期待できます。

企業の業績向上持続的な成長

働きがいの向上は、企業の業績アップや持続的な成長にもつながります。働きがいを強く持っている従業員は、仕事へ主体的に取り組み、新しい知識やスキルの習得にも貪欲です。多くの従業員が仕事に対して積極性や向上心を強く持つようになれば、企業の業績や事業活動によい影響をもたらします。

SDGs経営で資金調達が容易になる

既に触れたように、働きがいの向上はSDGsへの取り組みに深く関係しています。特に昨今、投資家のあいだで企業のSDGs活動等を投資の際の評価基準とする「ESG投資」が広まっています。

つまり、働きがいの向上をSDGs経営の一環として実施し、それを広くアピールしていけば、ESG投資の対象となってキャッシュフローが改善される可能性があるのです。

働きがいのある企業を目指すためのポイント2点

では、働きがいのある企業を目指すためには、どのようなことに取り組めばよいのでしょうか。ここでは実現のためのポイントを2つ紹介します。

キャリアマネジメントを強化する

まずは従業員のキャリアマネジメントを強化することです。企業として具体的に従業員のキャリアを設計し、それをサポートすることで、従業員の承認欲求や自己実現の欲求が満たされ、働きがいの意識を高めることができます。

また、組織として共通のビジョンを明確にし、円滑なコミュニケーションを図ることで従業員の共感を得ることができるでしょう。

帰属意識やエンゲージメントを高める

働きがいを高めるには、金銭的な報酬だけではなく、社会貢献や自己実現、あるいは他者からの感謝やねぎらいによる精神的な満足感も重要なカギになります。それゆえ、自社への「帰属意識」を高めたり、「従業員エンゲージメント」の向上を促したりするような施策を積極的に実施しましょう。

なお、帰属意識とは従業員の「組織の一員である」「所属する部署の仲間である」といった意識のことです。一方、従業員エンゲージメントとは、企業と従業員が互いに貢献しあえる関係性を指す概念です。つまり、帰属意識が従業員の一方的な忠誠心を指す言葉に対し、従業員エンゲージメントは従業員と企業の両方の意識を指します。そして働きがいのある企業を目指すためにはこの両方を高めていくことが大切です。

まとめ

現在のVUCA時代を企業が生き抜いていくためには、従業員一人ひとりの働きがいを向上させることが重要です。そのためにもキャリアマネジメントを強化したり、帰属意識や従業員エンゲージメントを高める取り組みをしたりして、働きがいのある企業を目指しましょう。

Asana」はチームメンバーそれぞれの仕事状況を可視化して「働きやすさ」を高めるワークマネジメントツールです。Asanaを活用することで、リモート環境下においても従業員間のつながりが保て、働きがいを向上させることができます。

できる!仕事術 多様化時代の最高効率の働き方最前線 ~マーケティング編~

RECENT POST「業務のヒント」の最新記事


業務のヒント

働きがいとは? 向上させるメリットや方法を解説

業務のヒント

働きやすさを求める職場が意識すべき指標とは?

業務のヒント

リモートワークとは?そのメリットと注意点について解説

業務のヒント

多様な働き方の実現メリットや推進に重要なポイントは?働き方の種類も紹介

働きがいとは?SDGsでも注目されている内容について
New call-to-action

RECENT POST 最新記事

ブログ無料購読のご案内

RANKING人気記事ランキング