プロジェクトを円滑に進めるために必要なのがリソースです。「リソース」はIT用語や経営に関する用語に使われますが、明確に何を指す言葉なのかを再確認したいという人も多いのではないでしょうか。本コラムでは、そもそもリソースとは何なのか、リソースマネジメントの必要性からプロジェクトにおけるリソースやHRMについても解説します。
リソースとは
リソースとは、「活動をするための資源」のことです。
IT用語として使う場合は、コンピューターを動かすために必要なCPUやハードディスク・メモリの容量などを指します。コンピューターにとって、CPUやハードディスクなどは活動するために必要な資源であり、欠かせないリソースの一部だからです。
一方ビジネスでは、プロジェクトをはじめとする企業活動を実現させるために必要な資源は「ヒト・モノ・カネ」です。さらに時間や情報、ノウハウや経験も資源として意識する必要があります。つまり、プロジェクトの目的を達成するために必要な資源全般を「リソース」という言葉で表現するのです。
リソースマネジメントの必要性
リソースマネジメントなしにプロジェクトを成功させることは難しいといえます。
なぜなら、実質的にプロジェクトを動かすのは、ビジネスにおけるリソースの「ヒト・モノ・カネ」だからです。人材・設備・情報や、そこに時間やノウハウといった要素を考慮してリソース配分することで、プロジェクトは動きます。
例えば、プロジェクトをスケジューリングする際にも、人的リソースや必要な設備のリソース、人材が持つスキルやノウハウなどを確認した上で、タスクごとの時間配分や、そのタスクにどのくらいのリソースが使えるかを正確に把握しなければなりません。
つまり、リソースを把握しなければプロジェクトマネジメントはできないということなのです。
プロジェクトにおいてマネジメントすべきリソース
それでは、プロジェクトでマネジメントすべきリソースの種類を見ていきましょう。ここでは、主に意識しておきたい5つのリソースについて解説します。
人的リソースのマネジメント
人的リソースとは、ビジネスにおけるリソースの「ヒト・モノ・カネ」のうち「ヒト」に該当する部分です。
プロジェクトは、人材がいてこそ進められる業務であり、さらにはその人材のスキルや経験を把握して適材適所に配置する必要があります。そこで必要なのが、人的リソースのマネジメントです。
設備や材料のマネジメント
設備や材料をマネジメントすることも、プロジェクトにおいては必須です。
ビジネスにおけるリソースの「ヒト・モノ・カネ」のうち「モノ」に該当する部分で、社屋をはじめプロジェクトに必要なモノ全般をマネジメントします。
例えば、システム開発ならばパソコンはもちろん、サーバーやネットワークなどのインフラ全般もプロジェクトに必要な設備や材料です。さらには、デスクや椅子などもマネジメント対象で、生産性を上げるための物質的な資源を整理・管理しなければなりません。
資金やコストのマネジメント
資金やコストは、人的リソースや設備・材料といったリソースに大きく関わるマネジメントです。これは、ビジネスにおけるリソースの「ヒト・モノ・カネ」のうち「カネ」に該当する部分です。
プロジェクトに参加する人件費、設備や材料を用意するためにもコストがかかります。これら全体を把握し、プロジェクトにはどのくらいの資金が必要なのか、プロジェクトが完了するまでにどのくらいのコストがかかるのかをマネジメントしなければなりません。
プロジェクトの途中で資金が尽きてしまえば、プロジェクトが失敗に終わる可能性もあります。
時間のマネジメント
プロジェクトには期限があります。また、プロジェクトは細かなタスクに細分化され、それら各タスクにも期限を設けてプロジェクトは進みます。
そこで重要なのが時間というリソースのマネジメントです。時間をマネジメントするためには、人材の稼働時間や、各人材のスキルや経験によって異なるタスクの消化スピードに合わせてプロジェクトをコントロールしなければなりません。
限られた時間の中で、万が一のトラブルなども考慮しながら、プロジェクトの期限が守れるように時間をマネジメントしていく必要があるのです。
情報のマネジメント
情報のマネジメントは、企業が蓄積しているノウハウなどの知識を活用することです。
プロジェクトに役立つ情報を企業が所有する情報から抽出して、応用できるノウハウなどを取り入れ、必要に応じて情報へのアクセス権限をプロジェクトメンバーに持たせます。
このとき、どのような情報をどのように活用するのか、また、情報を活用するための仕組みを管理するのが情報のマネジメントであり、プロジェクトを成功させるために重要なマネジメントのひとつです。
知っておきたい「ヒューマンリソースマネジメント(HRM)」とは
リソースマネジメントを意識する上で知っておきたいのが「ヒューマンリソースマネジメント(HRM)」です。
ヒューマンリソースマネジメントは「Human Resource Management」を略してHRMと呼ばれており、企業で営利活動を行う上でもっとも必要な人材を、経営資源として活用する仕組みとして体系化する考え方です。
これまで、企業の従業員雇用は「コスト」だという考え方が一般的でした。しかし、この考え方をあらため、企業活動を円滑に運用するための大切な「資源」としてとらえる考え方が浸透しつつあります。
プロジェクトマネジメントにおいても、さまざまなスキルやノウハウを持つ人材を組み合わせて、プロジェクトを成功させることがヒューマンリソースマネジメントだといえます。
例えば、システム開発で「〇〇言語」を使う場合を考えてみましょう。
〇〇言語の知識やノウハウを持つ人材、システム開発全般のノウハウと豊富な経験を持つ人材、システム開発のプロジェクト管理を行ったことがある人材など、各人材のスキルや経験を考慮して適切なリソース配分をすることで、プロジェクトが成功に近づきます。
もちろん、プログラミング言語の知識を持つ人材だけではなく、開発したシステムを導入する企業の業務を把握している経験者のノウハウも必要ですし、さらにはプロジェクトマネジメントスキルを持つ人材は必要不可欠です。つまり、これら人材は「コスト」ではなく、大切な「リソース」なのです。
このように、プロジェクトを円滑に遂行するために必要な人材の需要を把握してマネジメントすることが、プロジェクトにおけるヒューマンリソースマネジメントだといえます。
まとめ
リソースについての知識は、プロジェクトマネジメントにおいて欠かせないものです。プロジェクトを進める上でなぜリソースマネジメントが必要なのか、そしてリソースにどのような種類があるのかをしっかりと把握して、円滑なプロジェクトマネジメントを行いましょう。
- カテゴリ:
- プロジェクト管理