プロジェクトを進行するには欠かせない「マイルストーン」。その言葉は聞いたことがあっても、具体的な内容まではわからないという方も多いかもしれません。そこで本記事では、マイルストーンの意味や語源、ビジネスシーンにおいての使い方や設定方法について解説します。
マイルストーンの意味とは
マイルストーンとは日本語で「中間目標」という意味を指します。
物事に取りかかる際、たとえば最終的なゴールを決めたとしても、そこまでの道筋があまりに長いと、途中で路頭に迷ってしまうこともあるでしょう。
そこで、スタートとゴールの間にマイルストーンを挟むことで、目標まであとどれくらいなのかといった到達具合や、途中で修正を加えたほうがいいのか?という確認ができるなど、プロジェクトをスムーズに進めるために重要な役割を果たします。
マイルストーンの語源
国語辞典の「大辞林 第三版」で、マイルストーンの意味を調べてみると「道路のわきなどにたてる、起点からの距離をしるした標識」「歴史や人生における画期的な出来事」と書かれています。
昨今ではビジネス用語として浸透しはじめたマイルストーンという言葉ですが、もともとは鉄道や道路で、起点からの距離をマイル形式で表した標識のことでした。ここからビジネスシーンでは、一定の距離ごとに標識を立て、出来事を確認するという意味合いで使われるようになったのです。
1マイルごとに石を置いていくことで、今までしてきたことを振り返りながら確認作業を行うという意味であることが理解できるでしょう。
ビジネスにおけるマイルストーンの使い方
マイルストーンをビジネスシーンでの用語に置き換えると、「進捗状況」です。動いているプロジェクトのスケジュールに対して、進捗管理をスムーズに行うために設けた区切りといえばわかりやすいかもしれません。
プロジェクトを進行しているとたいていの場合、企画→計画→実施→評価という流れで作業を進めていると思います。
マイルストーンはそれぞれの流れのなかで、作業の中核を担う重要な工程に設定されます。
たとえば、企画から評価と飛ばして進めた場合、それまでの過程がしっかりしていないと、作業の効率化は著しく悪くなるでしょう。
作業の効率化を図るためにもマイルストーンをしっかり設け、それぞれの区切りできちんと達成できているのか、今ここで修正しておくべきなのかが明確になり、目標までの道のりがスムーズに進行します。
マイルストーンの設定方法
プロジェクトが発生しマイルストーンを設定する場合、まずきちんと達成できる内容の目標を設定しなければいけません。
人間は最初の目標設定を高めにすると挫折しやすく、心身に負担をかける可能性も高くなるでしょう。
以下では、マイルストーンを作成するときに必要なこと、意識をしなければいけない事項について説明します。
イベントを明確化する
マイルストーン上では、イベントを明確化することで、実施すべきポイントが見えてきます。具体的には外部業者や他部署などとのやりとりが発生するかどうかを示すことで、「ここを期日通りに達成できなければ、次の作業に影響が出てきてしまう」と予測できます。この気づきがないと、外部との無駄なやりとりが増えたり、プロジェクトに遅れが発生したりします。漠然と目の前の業務をこなしていても、目標到達には到底及びません。各イベントをはっきりと見えるようにすることで、ゴールに到達するためには、ここで何をするべきかをしっかり洗い出します。新たにタスクが発生した場合には従業員に割り振ることでミスや遅延が抑制され、イベント達成に向けた足並みが揃うでしょう。
ゴールまでにチェックすべきポイントを記載
マイルストーンは道標の役割を果たすので、段階を踏んでゴールに正しく進めているのかどうかを確認できます。プロジェクトにおいて、完了させるべきタスクやポイントを明確にしないと、ゴールには向かえません。ただ羅列して書いているだけでは道のりが不安定で、何をすればいいのかがわからなくなります。そうならないためにもきちんとポイントを設定し、ゴールまでの道のりを明確化しましょう。
現実的で遂行可能なスケジュールになっているか
割り振られたタスクはその人によってさまざまです。もちろん役割の重みも変わってきます。理想ばかりを追ってしまい、担当した人が達成できないようなマイルストーンを設定してしまうと、目標を達成できず、プロジェクトも計画通りにいかない可能性があります。これではマイルストーンの本来の意味を成さなくなってしまいます。関係しているメンバーと話し合いながら作業時間や役割分担を決め、計画通りに進められる現実的なスケジュールを立てるとよいでしょう。
タスク漏れや具体的なタスクになっているか確認
マイルストーンを設け、その間で具体的なタスクを割り振ることでミスや遅延を防止できます。なるべく時間に余裕を持たせて設定することで気持ちに余裕も生まれ、焦って取り組んだ結果タスク漏れが起きてしまったなどといったミスをさらに防ぐ効果もあります。
また、マイルストーン間のタスクは、できるだけ細かく設定してから役割分担を決めることで、先のスケジュールが見えやすくなります。無理のない時間設定をすることで、途中トラブルなどで変更があっても、軌道修正がしやすくなるでしょう。
マイルストーンがビジュアルに設定可能な働き方管理ツールAsanaの使い方は「【公式】Asana 基本の使い方を紹介!初心者必見!」をご確認ください。
マイルストーンの各シーンでの使い方
これまでビジネス全般においてのマイルストーンの使い方について説明しましたが、分野によってマイルストーンの使い方は異なります。ここでは「システム開発」「商品リリース」「ウェブページ公開」の3つのシーンに絞って、マイルストーンの使い方について具体例を挙げて紹介します。
システム開発での使い方・具体例
システムを開発する際のマイルストーンは以下のとおりです。
- 要件定義
- 内部設計
- 外部設計
- 実装
- テスト
- 商品リリース
商品リリースでの使い方・具体例
新商品などをリリースする場合のマイルストーンは以下のとおりです。
- マーケティング
- 企画立案
- 商品設計
- 量産設計
- 試作
- 評価
- 量産
ウェブページ公開での使い方・具体例
ウェブページを公開する場合のマイルストーンは以下のとおりです。
- 情報収集、マーケティング
- 記事作成
- 誤字脱字の確認
- 記事の反映
このように使い方や具体例を提示しましたが、分野によって設定方法も異なるため、今までの流れを項目化し、それらをマイルストーンに置き換えて設定しましょう。きちんとしたマイルストーンを踏むことで、ミスを防ぎながらゴールまでたどり着けるでしょう。
ガントチャートとマイルストーン
ここまでの説明で、マイルストーンを設定することで、スケジュールが明確化することをお伝えしました。
マイルストーンと同時に使われるのが「ガントチャート」です。名前は聞いたことがあるが、使い方がよくわからないという方もいるかもしれません。
ガントチャートを使用すれば、スケジュール間のタスクや日程の割り振りがわかりやすくなります。以下ではどのように使うのかを詳しく解説します。
ガントチャートとは
ガントチャートとは、スケジュール作成の際に使われることが多く、簡単にいえばタスクの割り振りと時間設定がされている表を指します。
各タスクには担当者を割り振り、縦軸に担当者の「名前」、横軸に「時間」を設定し、時間については業務時間を1時間置きに設定します。
各担当者の項目に「予定」と「実施」の2つを盛り込み、予定時間のなかで、作業した順序や実施した時間を記載することで進捗状況が可視化できます。
ガントチャートは「タスクの割り出し」「日程の振り分け」がポイント
ガントチャートを設定する上で必要なのは「タスクの割り出し」と「日程の振り分け」の2点です。タスクを割り出して、日程の振り分けをすることで進捗状況が明確に確認でき、目標までの到達率も一目瞭然です。
タスクの進捗状況を見たときに、予定時間よりも実施時間が多ければ、タスク担当者の業務負担が大きいことがわかるため、途中で他の人にも割り当てて調整することが可能です。
このことから、決められたマイルストーンを達成するためにも、ガントチャートを使用し、タスクの割り出しと日程の割り振りをきちんと行うことでプロジェクト進行中の大きなミスやトラブルを回避できるのです。
ガントチャートは「表計算ソフト」で作成する
ガントチャートは「表計算ソフト」を使用することで作成できます。前述したとおり、縦軸に担当者の「名前」、横軸に「時間」が設定し、時間については業務時間を1時間置きに設定します。
縦軸に担当者の名前を記載し、各マイルストーンにおけるタスクを割り振りっていきます。
日程の割り振りを行うなかで、どうしてもこの時間までに終わらせたいという場合は、横軸の時間のところに記号を記載し、記号までの時間を予定時間に設定します。
このときに注意したいのは、時間をタイトに詰め込みすぎないことです。詰め込みすぎることで、作業が予定時間よりもオーバーし、タスクを完了できない可能性が出てくるため、設定時間は余裕を持って設定しましょう。
また時間内に終わらなかったタスクについては、ガントチャートを利用して原因を追求したり、能力に合わせた時間の割り振りをしたりすることもできます。
個々の能力に合わせたガンチャートを作成することが、マイルストーンを達成できる重要なポイントとなります。
まとめ
マイルストーンは「中間目標」を意味し、企画→計画→実施→評価といった各項目がマイルストーンに当てはまります。マイルストーンを使うことで、各イベントが明確になり、それらを達成するために必要なタスクもはっきりとしてきます。
タスクを達成するためには、ガントチャートを使用して、タスクを割り振ったり、タスクを達成するための時間配分を可視化したりできるので、一人だけオーバーワークになることもなく、担当者はモチベーションの高い状態で業務に取り組めます。マイルストーンという中間目標があるからこそ、メンバー同士が足並みを揃えてゴールに向かえるのです。
仮に達成できなかった場合でも、どのように達成できるのかという再評価を行い、新たなマイルストーンの作成にもつながります。
プロジェクトをトラブルなく達成するためにも、マイルストーンを設定してぜひ作業の効率化を目指してみてはいかがでしょうか。
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