WebサイトやSNS広告、動画コンテンツなどマーケティング手法が多様化し、担当者の負担増が懸念される中、MAツールをはじめとするITツールの活用による業務効率化が注目を集めています。本記事では、マーケティング担当者が抱える課題と、マーケティング業務を効率化できるツールについてご紹介します。
マーケティング担当者が抱える課題
マーケティング担当者は昨今、人材不足や効果測定、データ管理、各部署との連携・コミュニケーションなど、業務のさまざまな面において課題を抱えています。
近年のマーケティング手法はWeb広告やSEOコンテンツ、SNS運用、動画広告、展示会、セミナーなど多様化しています。しかし、人手が足りないために施策を展開するだけで、効果測定や改善策の検討・実施にまで手が回らないというマーケティング担当者は少なくないでしょう。
たとえば、Webサイトを活用してリードの獲得を目指すのであれば、訪問者数や平均滞在時間、会員登録数、問い合わせ件数などをKPIに設定し効果測定を行います。ここで効果を最大化させるには、施策の実施から効果測定、改善までのサイクルを高速で回転させることが重要です。しかしながら、複数チャネルにおける効果測定をすべて適切に行うのは困難であり、顧客接点が増えるにつれて各チャネルのデータを統合的に管理することも難しくなります。
また、マーケティング予算の配分を検討する際は、チャネルごとのROI(費用対効果)を算出して比較する必要もあります。これら一連のプロセスをこなすには、膨大な時間と労力を割かなければなりません。
そのほか、営業をはじめとする各部門との連携不足も、マーケティング担当者が直面している課題のひとつです。マーケティング担当者は作成した見込み客リストを営業部門に引き渡し、営業担当者はそのリストに基づき営業活動を展開します。この際、受注率を高めるためには、単にリストを作成するだけでなく、その後の営業活動における結果をフィードバックすることが大切です。成約に至った顧客と失注した顧客のデータをマーケティング部門と共有することで、より精度の高い見込み客の抽出が可能になります。しかし、それには両部門のデータをスムーズに共有し、コミュニケーションを円滑にするなど連携を強化する必要があります。
マーケティング業務効率化のためのツール
これらマーケティング業務の課題を解消するうえでは、ツールの活用が有効です。ここでは、マーケティング業務の効率化や負担軽減に役立つツールをご紹介します。
MAツール
「MA」とは「Marketing Automation」の略で、マーケティング活動を自動化するツールのことです。顧客情報の収集や見込み客の育成に適した機能を備え、見込み客のリスト作成やメルマガ配信など、これまで手作業で行っていた業務を自動化できます。分析機能にも優れ、Webサイト上での動きやメールを開封したタイミング、利用頻度の高いデバイスなどが把握できるため、一人ひとりの興味・関心に合わせたアプローチが可能です。
また、SFAやCRMといった基幹システムとの連携機能もあり、マーケティング部門が収集した顧客情報と営業部門の顧客情報を統合的に管理できます。BtoCマーケティング向けのMAツールの中には、大容量のデータに対応している製品が多く、顧客数が多い企業にもおすすめです。
RPAツール
「RPA」とは「Robotic Process Automation」の略で、日本語では「ロボットによる業務の自動化」を意味します。データの取り扱いに強いことから、マーケティングのようにさまざまなデータを管理する業務との親和性に優れる特徴があります。
Excelでのデータ集計やWebサイトでの情報収集、SNS投稿、Web広告のレポート作成、ECサイトへの商品登録といった、パソコン作業のみで完結する定型業務の自動化が可能です。人が手作業で行うよりも遥かに短時間で業務を終えられるので、マーケティング担当者は空いた時間を有効活用でき、コア業務に集中して取り組めるメリットがあります。
戦略の立案など、機械には代行できないクリエイティブな業務に費やす時間が増えれば、より効果的な施策の実施が可能となり、売り上げの向上も期待できるでしょう。また、自動化により業務を大幅に効率化できるので、人件費の削減にもつながります。
チャットボット
「チャットボット」とは、顧客の問いかけに対し、あらかじめ登録しておいたFAQに基づき適切な回答を自動で返すプログラムです。中にはAIを搭載したチャットボットもあり、機械学習によって顧客の質問内容を分析し、回答の精度を自動的に高めていくことも可能です。
営業時間外など、オペレーターを配置できない時間帯でも問い合わせに対応できるので、主にWebサービスのお問い合わせページなどで利用されていますが、チャットボットはマーケティング業務を効率化する手段としても有効です。たとえば、LINEやFacebookなどのSNSにチャットボットを組み込めば、顧客から寄せられる質問に答えるだけでなく、企業が顧客に届けたい情報を定期的に発信できます。
また、チャットボットで行われたやり取りはすべてデータとして保存されるため、それらを解析すればターゲットの設定や見込み客の抽出に役立てることも可能です。
ビジネスチャット
「ビジネスチャット」とは、社内外の人とチャットで連絡できるコミュニケーションツールで、ChatworkやSlack、LINE WORKSなどが代表的です。社内のコミュニケーション不足を解消するツールとして広く利用されており、テレワークやリモートワークの実施には必須といえます。
「お世話になっております」のような挨拶文が必要なく、絵文字での意思表示もできることから、メールと比較するとより気軽でリアルタイムでのやり取りに向いています。またグループを作成すれば、1対1のやり取りだけでなく大人数での情報伝達も行えますし、部署単位・プロジェクト単位など目的ごとに複数のグループを作成することも可能です。
ファイル共有機能やタスク管理機能も搭載されているので、コミュニケーションや情報共有の円滑化に加え、やるべき作業の漏れや遅延防止にもつながります。
「Asana」でマーケティング業務を効率化
「Asana」は、プロジェクト管理やアジャイル管理、タスク管理などさまざまな機能が1つのプラットフォーム上にまとめられたワークマネジメントツールです。業務プロセスの可視化とチーム内での共有、各チームメンバーの仕事量の把握と調整、反復業務の自動化、キャンペーンの効果測定など、マーケティング業務の効率化に貢献する機能が数多く搭載されています。
まとめ
マーケティング業務における人材不足や負担増に対応するためには、ITツールの活用が欠かせません。MAツールやRPAなどで定型業務を自動化すれば、業務時間と人件費の大幅な削減が期待でき、戦略立案などのコア業務に時間を割けるようになります。また、チャットボットを使えば顧客から寄せられる問い合わせ内容の分析・活用が実現しますし、ビジネスチャットを使えば社内コミュニケーションが促進され、大人数でのやり取りや情報共有の円滑化も可能です。
今回ご紹介したワークマネジメントツール「Asana」も、プロセス管理や反復作業の自動化といった機能により、マーケティング業務の効率化に大きく貢献します。この機会にぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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