働き方改革の一環として、「テレワーク」の導入を検討する企業も増えていましたが、新型コロナ感染症の流行による出勤者削減要請によって、よりいっそう、注目されています。テレワークを行うには、働きやすい環境構築をすることが重要です。ここでは、快適なテレワーク環境を構築するためのポイントについて説明します。
テレワークとは
「テレワーク」とは、情報通信技術(ICT=Information and Communication Technology)を活用した、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方を指します。「テレ」(tele:離れて)、「work」(働く)という造語で、文字通り、「離れた場所で働く」形態を意味しています。
テレワークは、働く場所によって在宅勤務、モバイルワーク、サテライトオフィス勤務の3種類に分けられます。以下、それぞれについて簡単に説明します。
在宅勤務
自宅のインターネット環境からICTを活用して仕事をするスタイルです。
モバイルワーク
モバイルインフラ環境を利用して、オフィス以外の環境で働くスタイルのことを指します。例えばカフェや公共施設などを利用します。
サテライトオフィス勤務
企業が本社や支社以外の場所に設けたオフィスで、ICTを活用して遠隔勤務をするスタイルを指します。
テレワークの環境構築について考える重要性
テレワークはパソコンがあればできる、と簡単に考えがちですが、社員ひとりひとりの生活環境が異なるため、オフィス勤務とは異なる問題も発生し得ます。
例えば、もっぱらスマートフォンを利用する社員は、自宅のインターネット環境を業務に使用できるレベルでは整備していない場合もあります。
また、作業に適したデスクと椅子がなく、床やソファ、ベッドなどに座って仕事をしなければならないような環境では、集中力は持続しないでしょう。腰痛の原因になることすらあり得ます。そして家族と一緒に暮らしている社員は、仕事の時間と家族と過ごす時間とを、きちんと分けることが難しくなります。
このように、会社勤務では考えられなかった問題が、テレワークでは発生することもあります。その結果、業務効率が低下したり、仕事に支障をきたしたりしかねません。各社員が、生産性の高い環境を構築するために、準備を進めましょう。
企業がテレワーク環境を構築する際のポイント
では、実際にテレワーク環境を構築するためにはなにが必要なのでしょうか。ここでは、企業がテレワーク環境を構築するにあたって、考慮すべきポイントについて説明します。
テレワークの場所を選定する
テレワークといっても、上記で述べたように、仕事をする場所はさまざまです。必ずしも社員が自宅で勤務することだけを意味しません。テレワークをする目的や、自社の状況などを考慮して勤務場所を選ぶのがよいでしょう。
仕事のデバイスを用意する
まずは、テレワーク用のパソコンやタブレットなど、社員用のデバイスを用意しましょう。仕事の生産性を向上させるために最適なアイテムを用意することが大切です。
テレワークに適したパソコンや機器を選ぶポイントとしては、以下の点が挙げられます。
処理能力
業務で使用する場合には、長時間の作業や高負荷の作業においても作業効率を損なわないパワーが求められます。許容可能なコストで、できるだけ高性能なCPUの搭載機を選ぶほうがよいでしょう。
通信機能
特にモバイルワークでは、場所によって適切なWi-Fiを探したり、モバイルWi-Fiルーターを持ち歩いたり、さらにはルーターの充電をしなくてはならないといった面倒が常につきまといます。しかし、LTE対応パソコンであれば、ネット接続における手間がかからず、常時接続が可能です。
LTEは「Long Term Evolution (ロングタームエボリューション)」の略称で、携帯電話用の通信回線規格です。近年では通信技術の向上によって、パソコンでもこのLTE接続で業務可能になってきました。ネット接続の手間も、LTE対応のノートパソコンであれば軽減できるでしょう。
LTEの通信速度については年々向上しています。しかし、電波のスポット環境やアクセスしている人数などによって、実際の通信速度は変わります。通信費用もWi-Fiよりは高くなりますので、その点は注意が必要です。
バッテリー容量
また、通信機能と同時に重要になるのが、バッテリー稼働時間です。長時間、外出時に業務を行うようであれば、バッテリーの最大駆動時間も考慮したパソコンを選びましょう。また、モバイルバッテリーを用意することも有効な方法です。
重量
社員が、得意先回り中や新幹線などでの移動中に仕事をすることが多いなら、デバイスの重量にも注目しましょう。軽量であるほど、持ち運び時の負担は少なくなります。また、カバンに収納しやすいことも考慮し、薄型のものであるほうがよいでしょう。
堅牢性
移動中にデバイスを落下させたり、ぶつけたりというリスクも考えられます。そのため、堅牢性も配慮しましょう。対策されたパソコンなどであれば、衝撃を受けても内部のメインボードにダメージを与えない作りが施されています。
また排熱機能の脆弱なデバイスだと、作業中の熱を冷却するためにCPUのパワーが低下する場合があります。外部の堅牢性に加え、内部の性能についてもよく検討することが、テレワークに適した製品選びには不可欠です。
セキュリティ対策
社外で業務を行うテレワークでは、万全なセキュリティ対策が求められる。デバイスのパスワード認証設定はもちろんのことですが、最近では顔認証・指紋認証によるログインが可能な製品も登場しています。
交通機関やカフェでの業務を許可する場合は、スクリーンを覗き見される危険性への注意も必要です。プライバシーフィルターの貼り付けを義務化することも有効ですし、最近では、プライバシースクリーン機能を搭載しているデバイスも発売されています。
万が一、盗難・紛失などが起きてしまったときのために、Bluetooth通信でパソコンを追跡できる機能を搭載している機種を選ぶこともセキュリティ対策としては有効です。もちろんウィルス対策ソフトは常にアップデートし、サイバー攻撃などの被害に遭わないよう、最新の状態を維持しましょう。
デスク周りの備品を調達する
仕事用のデバイスが整ったら、次は、作業スペースの備品を調達していきます。テレワークを行うためにデスクや椅子はほぼ必須です。どのように・どんな金額まで、企業側が負担するのかを明確にしつつ、社員の備品用意をバックアップしましょう。
在宅勤務用にデスクを選ぶ際には、「仕事に使うスペースがどの程度必要か」考慮しましょう。ノートパソコンだけを置くなら、省スペースのもので十分です。しかし図面などの大きな資料を広げたりする必要があれば、ある程度面積が必要になります。用途をきちんとイメージしつつ検討してください。
また、椅子も長時間座るのに適した、快適なものを選んでください。社員が腰痛や肩こりに悩まされることのないように、注意する必要があります。正しい姿勢を保つためのクッションなどがあれば、体への負担も軽減できます。
印刷する必要があるなら、プリンターも用意します。用紙やインクタンクも必要になるでしょう。
通信(インターネット)環境を整備する
テレワークにおいては、通信環境を整備することが重要です。社員の自宅にネットワーク環境がない場合には、モバイルルーターを貸与するなどの準備が必要です。
ただし、モバイルルーターには通信制限があるため、高負荷の作業が必要となる業務ではネットワーク回線を契約したり、Wi-Fiルーターをレンタルしたりする必要があります。その場合は、会社が費用負担するなどの対応を検討しましょう。
コミュニケーション手段を確保する
テレワークでは、社員同士のコミュニケーション手段を確保するために、ITツールを導入することが望ましいです。
Web会議システムを使えば、離れた社員同士で打ち合わせや業務の進捗を報告し合うといったことが可能になります。そうしたITツールは、業務上のコミュニケーションだけでなく、社員間のチームワーク向上のためにも必要です。社員同士の気軽な雑談から、突破口が開けたり、新しいアイディアが生まれたりすることが期待できるでしょう。
また、強い孤独感に陥る社員が出ないためにも、社員間の積極的なコミュニケーション確保が望ましいでしょう。そうしたITツールを快適に使用するためには、Webカメラやマイク、イヤホンといったアクセサリ類を充実させることも大切です。
勤怠管理システムを導入する
テレワーク下においては、社員が働いている状況を見られないため、勤怠状況を管理・監督をするのは難しくなります。テレワークでの勤怠管理を円滑に行うためには、勤怠管理システムを導入することをおすすめします。以下のような観点から選ぶとよいでしょう。
勤務時間の記録
従業員の勤務時間(始業・終業・休憩)を正確に記録ができることは最低限必要です。
社員の状況の記録
遠隔で働いている社員の状況がわかる製品もあります。移動の多い社員の立ち寄り先をGPS機能で確認できるものも便利です。
給与システムとの連動
せっかく勤怠管理システムを導入するのであれば、自社の給与システムと連動可能なものを選び、業務効率向上を狙います。
勤怠管理システムは複数登場しており、システムごとに搭載されている機能が異なります。自社の現状を見極め、適切なものを選ぶことが大切です。
セキュリティ対策を実施する
テレワークにおいては、外部ネットワークを使用するため、常にセキュリティリスクにさらされます。テレワーク環境を構築する際には、セキュリティ対策を万全なものにすることが不可欠です。
社員に提供するデバイスに、セキュリティ対策を施すことは基本です。また、フリーWi-Fiなどではなく、VPN回線などの暗号化通信を使用するようルールを定めるなど、すべての社員にセキュリティ意識を持ってもらいましょう。
ネットワーク環境自体に対策を施すことも重要ですが、会社のセキュリティガイドライン自体をテレワークに即したものに整備・改定することが不可欠です。その上で、情報漏えいや機密情報の紛失などがないように、社員への研修・教育を徹底しましょう。
まとめ
それぞれの企業によって、テレワークを導入する最善の方法は異なります。しかし、今回の記事で挙げたポイントを軸とすることで、導入方法の目安を定めることはできるでしょう。
また、テレワーク環境構築には、各種ツールの利用も効果的です。例えば「Asana」は、テレワーク中のチームワーク向上を支援するためのツールです。
在宅勤務など、場所を問わずにメンバー全員がチームとして業務を全うできるようサポートします。タスクオーナーやプロジェクト内容、スケジュールなどを円滑に把握させてくれます。Microsoft Office 365とも提携し、Microsoft Teamsとも連動しているので、多くの企業へスムーズに導入可能です。
テレワーク中のコミュニケーション不足を解消しつつ、企業全体の業務効率もアップさせたい場合、ぜひAsana導入もご検討くさい。
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