ビジネスプロセス管理(BPM)の教科書。表記や4つのフェーズなどについて解説

 2022.05.27  ワークマネジメント オンライン編集部

「ビジネスプロセス管理(BPM)の教科書」とは少々大げさなタイトルになっていますが、それに恥じない内容でBPMの手法や概念などを紹介していきます。

従来、業務プロセスを行うためのITソリューションと言えばERPが一般的であり、現在もその認識は強いかと思います。ERPにより統合的な情報基盤を導入することで、業務アプリケーションの連携性を高め全社的な業務効率化を行います。

しかし業務プロセスを抜本的に改革するのであればERPでは効果が不足してしまいます。というより、BPMソリューションなしで業務プロセス改革を実現することが難しくなっているのです。また、現代の激しい事業環境から抜け出し明日のビジネス社会を生きていくためには、やはり抜本的な業務プロセス改革が強く求められています。

こうした背景からBPMは現在多くの企業が積極的に取り組んでいる改革手法です。しかし、全ての企業がBPMの導入効果を感じているかというと、そうではありません。むしろ所見ではBPMに失敗している企業の方が多いのではないでしょうか?

前置きが長くなりましが、本記事で紹介する内容はBPMの基本的な手法やBPMソリューション選定に向けたアドバイスです。今後BPMに取り組む、あるいはBRPに取り組みたいという企業はぜ参考にしてください。

ビジネスプロセス管理(BPM)の教科書

業務フローを洗い出すBPMN(ビジネスプロセスモデリング表記)について

初めにBPMを実践する上で欠かせないBPMNについて紹介していきます。BPMNとはいわば記号によって業務プロセスのフローを視覚化し、既存業務プロセスを全て洗い出すために使用する表記方法です。

ビジネスプロセス管理(BPM)の教科書

引用:BPMNを活用したビジネスプロセス・モデリング(2):「BPMN」の基本要素を理解する

BPMNは2004年5月に米非営利団体「BPMI(Business Process Management Initiative)」から標準仕様の「BPMN1.0」が公表されました。BPMIにはBPM関連企業50社(当時)が参画し、各種標準の策定を進めつつBPMの普及を目的としています。現在ではISO19510により国際標準にも規定されている表記法方です。

BPMNを行うには専門的な学習や経験が必要な場合もあり、本格的にBPMに取り組むには社内でBPMNに特化した人材を育成あるいは確保するか、BPMソリューションによってGUI化されたBPMNを活用する必要があります。

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BPMを進めていく4つのフェーズ

BPMの流れを簡単に説明すると「モデリング」「再設計」「展開」「モニタリング」という4つのフェーズに分類できます。

フェーズ1.モデリング

モデリングとはつまり業務プロセスの洗い出しを行い、BPMNを利用してモデル図を作成した上で自社内の業務プロセスを正確に把握するというフェーズです。多くの企業がこのフェーズに多くの時間を費やしますが、実はモデリングでは如何に迅速に業務プロセスを洗い出し、次フェーズである「再設計」に繋げていくかが重要です。

なぜなら、モデリングにあまりの時間を費やしてしまい、BPMプロジェクト自体頓挫してしまうというケースが少なくないのです。さらに言えば、モデリングに時間を費やしている企業はいきなり全社的なBPMへ取り組みがちです。

BPMはもっとスモールスタートで、少しずつ業務改革を行っていく必要があります。

フェーズ2.再設計

モデリングが完了すれば次に業務プロセスを再設計していきます。このとき、BPMソリューションやアウトソーシングを活用していくケースが多いでしょう。

例えばBPMソリューションでは業務プロセスのモデリングから再設計、さらには実用化まで行えるので少ないリソースでBPMを進めていくことが可能です。アウトソーシングならばコストはかかるものの、既存業務プロセスの一部分はまるごと社外に持ち出すことができます。

フェーズ3.展開

このフェーズではいよいよ再設計した業務プロセスを適用していくわけですが、事前に現場従業員の理解などを得ていなければなりません。また、既存業務プロセスの問題点・課題点を事前に共有していくことも大切です。

従業員への理解や共有化を怠ることでBPMに失敗するケースは少なくないのです。

フェーズ4.モニタリング

BPMを実践する上で最も重要なのがモニタリングです。展開した業務プロセス改革が実際に機能しいているのかを把握し、さらには今後の改善点を抽出していくために重要となります。

BPMというビジネス概念が浸透する以前はBPR(ビジネスプロセス再設計)という概念が業務プロセス改革の主流となってしましたが、BPRには「展開後のモニタリング」という実践項目がありません。

つまりPDCAサイクルがなく業務プロセスを継続的に改善していくことができないのです。

「BPMは一日にして成らず」たった一度の業務プロセス再設計を展開しただけで成功できるほどBPMは単純ではありません。同じ業務プロセスにおいても複数回のフローを経て、初めて導入効果が最大化すると言えます。

BPMソリューションの正しい選び方とは

部署ごとに行われる業務改善とは違いBPMはまさに「変革」です。これまでの業務プロセスを一度破壊し、新たに再構築するというイノベーション的要素が強く現れます。このためIT戦略なしでBPMを成功させることは非常に困難です。

さらに、BPMソリューションの導入なしでBPMNを実践したり、その後の再設計やモニタリングを行うにはかなり豊潤なリソースと費用が必要になります。だからこそ、BPM実践にはBPMソリューションの導入が欠かせません 

そこでBPMソリューションの選定方法についてポイントをまとめておきます。

  1. BPMに期待する効果と実際に導入した際の効果を測定する
  2. BPMへ取り組むにあたり優先的に改革した業務プロセスを洗い出す
  3. BPMNによるモデリングについて基本知識を付けておく
  4. 社内のインフラ環境を視覚化しておく(特にオンプレクラウドが複合している場合)
  5. 機能面、ユーザービリティから自社に適したBPMソリューションをピックアップする
  6. BPMベンダーの導入コンサルティングについて確認を取る
  7. 担当者のBPMに対する知識やノウハウを見極める
  8. コスト面からさらにBPMソリューションを絞り込む
  9. 積極的にトライアルやデモを利用し自社にマッチしたBPMソリューションを選ぶ

以上がBPMソリューション選定のポイントです。あくまで基本的なポイントなので、さらに独自の選定方法を織り交ぜて正しいBPMソリューション選定を行いましょう。

 まとめ

いかがでしょうか?本記事で紹介した内容により、まずは「BPMは単純ではない」ということをご理解いただければ幸いです。BPMを成功させるためには複雑なプロセスを多く有しますが、成功したときに効果は絶大であり、中小企業においても年間1億円の人件費削減なども可能です。

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