部下の育成は、企業組織を成長させるためにも重要な課題です。しかし「部下をどう育成したらいいのかわからない」「部下の育成をあきらめてしまおうか・・・」と悩んでいる担当者は少なくありません。人が人を育成することは非常に難しいことなのです。そこで本コラムでは、部下を育成する際のポイントから、育成のためにやってはいけないこと、そして部下育成のための方法についても解説します。
部下を育成するポイント
部下の育成は非常に難しいことです。しかし、育成のポイントをおさえて丁寧に対応すれば、企業の戦力として成長させることもできるでしょう。
ここでは、7つのポイントを紹介します。
育成の目標を明確にする
まずは、部下を育成する目標を明確にすることが大切です。
部下がどのくらいの業務を遂行できるようになれば「育成が完了した」といえるのか、その基準を作りましょう。そして、その基準を目標に設定して、教育担当者自身が部下を目標達成へと導くのです。
例えば、「一通りの業務を覚えて、主体的に動けるようにする」「自社の商品を、部下が自信を持って、自分の言葉で顧客に伝えられるようになる」などが、ひとつの基準といえるのではないでしょうか。
育成の目標が定まっていないと、「言われたことだけを実行すること」だけが仕事になってしまい、部下の成長は望めません。
部下の能力を把握する
育成の目標を設定するためには、現段階の「部下の能力」を把握しなければなりません。
例えば、営業職において、業界未経験の部下であれば名刺交換の方法から教える必要があります。経験者ならば、自社の商品がどのような顧客をターゲットにしたものなのか、そして、これまでどのように顧客を獲得してきたのかを教育します。
部下の能力や経験によって、育成のスタートラインが異なるということです。
育成計画を立てる
育成計画を立てるということは、教育レベルと期間の設定を行うということです。
上述のように、部下の能力が把握できたら、育成のスタートラインがわかります。そのため、どのレベルからスタートして、どの時期に育成目標を達成するかといった計画を立てやすくなります。
手本を見せる
育成計画が整ったら、まずは教育担当者が手本を見せることが大切です。
最初から部下に「やってみろ」というやりかたでは、部下自身は「何がわからないのかが、わからない」状態になります。これでは、部下も「自身が乗り越えるべき問題・課題」を見出すことができず、「質問すべき事項」もわからないでしょう。これでは育成にはなりません。
まずは、教育担当者が手本を見せたあとに、部下にも実行させるという流れで、ある程度の業務を覚えてもらうことが大切です。
主体性を持たせる
部下が業務を覚えたら、次はその業務を効率化する工夫を考えてもらうことも大切です。
これにより、部下に主体性が身につきます。部下の育成には、「主体性を持たせる」ことが重要なポイントだといえるでしょう。
言われたことを実行するだけでは成長しません。自身の業務において、どのように効率化すべきか、どのように生産性を上げるべきかを考え、それを自ら実行する主体性を身につけてもらうことが大切です。
仕事を任せてみる
教育担当者は思い切って部下に仕事を任せてみることもポイントです。
「自分がやったほうが早い」という思いから、部下に仕事を任せきれない方も多いかもしれません。しかし、教育担当者も「育成のため」という強い心を持って、「部下に任せる」覚悟が必要です。
適切なサポートをする
仕事を任せたあとは、任せっぱなしにするのではなくサポートをすることが大切です。
ただし、サポートについては、逐一注意したり長時間声をかけなかったりするのではなく、適切なサポートを心がけましょう。
任せた仕事の中に「部下が苦手そうな部分」があればそれを事前に把握しておく、あるいは部下の様子を見ながら「悩んでいる」ようであれば声をかけるなど、バランスとタイミングが重要です。サポートのさじ加減は、部下の育成に欠かせないポイントのひとつだといえます。
部下の育成でやってはいけないこと
それでは、部下の教育において「教育担当者がやってはいけないこと」とはなんでしょうか。
ここでは、部下の教育での注意点を4つ紹介します。
コミュニケーション不足
部下の育成ではコミュニケーションが不可欠です。なぜなら、コミュニケーション不足は、部下との「信頼関係」や「話しやすさ」にも大きく影響するためです。
コミュニケーション不足は、部下育成の成功を大きく左右する要素ですので、教育担当者は適度なコミュニケーションを心がけましょう。
指示だけをする
部下を育成する際に、指示だけをするというやりかたは間違いです。
「これをやってほしい」「あれをやってほしい」と指示だけをされた部下は、指示を待つようになります。
これでは、業務に必要な主体性が育ちません。
部下を信頼できず自分でやってしまう
部下を育成したいのならば、上述したように思い切って部下に仕事を任せる勇気も必要です。
部下との信頼関係が希薄だと、教育担当者側も部下に仕事を任せるのが怖くなります。あるいは自分がやったほうが早いという判断をしてしまい、育成よりも「手戻りへの恐れ」を優先してしまうのです。
部下を信頼することも、部下育成に必要な要素だといえます。
質問・相談がしにくい雰囲気を作る
教育担当者が、部下に対して話しかけにくい雰囲気を作ることは、部下育成の妨げになります。
部下は「質問や相談がしにくい」と感じると、問題や課題を一人で抱え込んでしまったり、業務そのものに苦手意識を持ってしまったりする可能性があるのです。
困ったときはいつでも相談して良いという雰囲気作り、つまりコミュニケーションのとり方が重要だといえます。
部下の育成方法
それでは最後に、部下の教育方法を2つ紹介します。
OJT
OJTとは、実務や実践を通して人材を教育する手法のひとつです。
教育する部下と教育担当者が実際の現場に出ます。実際の業務を通して、指導やフィードバックを行うことで、即戦力を作るのです。
座学とは違い、現場で業務を体験するため、通常業務やトラブル対処など多くの経験を積めます。
OJTについては、【OJTとは?その目的やメリット・デメリットからOJTを成功させるポイントについても解説】にて詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。
1on1ミーティング
1on1ミーティングは、上司と部下が1対1でミーティングを行う人材育成方法のひとつです。
半年や1年に1度行われる評価面談とは違い、週に1回などの短い期間で、部下の状況把握や業務に対するフィードバックを行います。
主に、部下が上司に課題や悩みを話す場であり、上司は部下から話を引き出したり、傾聴したりすることが主な役割となります。部下が上司に話をすることで、自身の課題や解決方法を見つけるきっかけになる場が、1on1ミーティングです。
1on1ミーティングについては、【1on1ミーティングとは?その目的や実施例から1on1ミーティングの進め方や注意点についても解説】にて詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。
まとめ
部下を育成するには、まず目標を定めて計画を立て、部下と向き合い仕事を任せてみるなどのポイントをおさえておくことが大切です。また、教育担当者自身も共に成長していく意識を持たなければなりません。部下の育成は、企業を繁栄させていくためにも重要なことですので、ポイントを把握した上で、部下の育成方法を見直してみましょう。
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