人生においても仕事においても、ゴール設定は重要です。特にビジネスでは、ゴール設定が企業活動の活性化や、従業員個人のスキル・経験を大きく向上させてくれます。しかし、「ゴール設定と目標設定のなにが違うの?」「ゴールはどのように設定すればよいの?」という疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。本コラムでは、そもそもゴール設定とはどのようなものなのか、ゴールと目標・目的の違いは何なのかを確認しながら、ゴール設定のポイントや設定手順についても解説します。
ゴール設定とは
ゴール設定とは、企業や個人が近い将来にたどり着きたい場所(スキルやポジションなど)を設定することです。
設定したゴールへは、中間目標の達成を積み上げることでたどり着けます。ゴールにたどり着いたとき、個人や企業のスキル・経験は、飛躍的に高められているでしょう。
設定するゴールは「現状とは違う場所」でなければなりません。なぜなら、ゴール設定の意義は現状維持ではなく、成長だからです。
ゴール設定をすることで、企業としてのポジションや価値を高めやすくなります。また、個人においては、仕事でのスキルアップや経験値の獲得、希望するポジションにたどり着くための糧になるものです。
ゴール設定なしには、飛躍的な成長を期待しにくいのではないでしょうか。
「ゴール」「目標」「目的」の違い
ビジネスでは、ゴールのほかにも「目標」や「目的」の設定が重要だと考えられます。つまり、「ゴール」「目標」「目的」は区別して認識したほうがよいということです。
ここでは、「ゴール」「目標」「目的」の違いをみていきましょう。
ゴールとは
ゴールとは、近い将来において望む「最終的な目的地」のことです。
設定されるゴールは、企業や個人の「現状」とは別の場所でなければなりません。
極端な例を出すならば、現在課長職の個人が独立して起業するなどが考えられます。また、ベンチャー企業が東証一部に上場することもひとつの「ゴール」の考え方です。
少しの努力で成し得るものではなく、現状が大きく変化する目的地を設定するものがゴールだといえます。
目標とは
目標とは、設定したゴールにたどり着くまでに必要な行動や結果のことを指します。
ゴールにたどり着くまでに何をしなければならないのか、またどのような結果を積み重ねなければならないのかを明確化したものが「目標」だといえるでしょう。
「目標」を達成するごとに、「ゴール」に近づくイメージです。
目的とは
目的とは、行動理由のことです。
なぜそのゴールを設定したのか、なぜその目標が必要なのかといった理由が「目的」にあたります。
逆にいえば、目的がなければ「ゴール」は存在せず、「目標」も立てられません。
ゴール設定のポイント
それでは、ゴール設定をする際のポイントをみていきましょう。ここでは、3つのポイントを紹介します。
モチベーションが維持できるゴールを設定する
ゴール設定で意識すべきは、モチベーションが維持できる事柄を設定することです。
あなたが本当に望むものをゴールに設定することで、達成までのプロセスを楽しみ、創意工夫ができるのです。
本当の望みではなく、「体裁を気にした」ものや「現状維持でも手が届きそう」なゴール設定では、モチベーションを維持できない可能性が高まります。
背伸びしなければ届かないゴールを設定する
ゴール設定は、必ず「背伸びしなければ届かないゴール」を設定しましょう。
現在持っている経験やスキルで達成できるものをゴールに設定しても、成長や達成感は得られにくいといえます。なぜなら、「これだけ頑張ってやっとゴールした」という自己肯定や成功体験が薄れてしまうからです。
ゴールと目標は関連性を持たせる
ゴールと、それを達成するための目標には関連性を持たせなければなりません。逆にいえば、ゴールから逆算する目標には、必ず関連性が出てきます。
目標は、ゴール達成のために必要なプロセスを細分化したものですので、目標の中にゴールとは関係のない項目がある場合、プロセスの見直しが必要です。
ゴールにたどり着くための目標設定フレームワーク「SMART」
設定したゴールにたどり着くための目標設定に役立つフレームワークに「SMART」があります。これは、5つの要素の頭文字をあわせた用語です。これらの要素の相互作用によって、目標設定や課題解決に役立ちます。
S(Specific):具体性
目標には具体性を持たせなければなりません。ぼんやりとした目標では行動を起こしにくいからです。
たとえば、「毎日運動する」という目標ではなく、「毎日〇〇時~〇〇時まで〇〇時間ジョギングする」というように、具体的な時間や行動を目標に設定することで、行動しやすい目標設定ができます。
M(Measurable):測定可能
定量化できる目標を設定することも必要です。達成できたか否かを測定できる目標を設定すれば、明確な数値として進捗管理も可能になります。
たとえば、「〇〇時間ジョギングする」という行動ならば、その結果を「今日は〇〇%達成できた」という数値で確認できます。
A(Achievable):達成可能
達成可能な目標設定が大切です。もちろん、現状維持で達成できる目標では意味がありませんが、到底達成できない目標を立ててもモチベーションを維持できません。
R(Relevant):関連性
目標は、ゴールやあなたの望みと関連性があるものを設定します。関連性は非常に大切で、達成してもゴールにたどり着かない目標ならば見直しが必要です。
極端な例を出すならば、「SEとして独立する」というゴールのために、「介護の資格を取得する」では関連性が低すぎます。ここで立てる目標は「今年中にITの国家資格を取得する」のほうが関連性も高く、合理的な目標設定であることがわかります。
T(Time-bound):期限
目標を立てるときは、期限も設定しましょう。いつまでに目標を達成するのかが不明確であると、スケジュールも立てにくくなりますし、途中で優先順位の高いタスクが発生した場合、目標達成は先延ばしになってしまいます。
ゴールと目標の設定手順
それでは最後に、ゴールと目標の設定手順を3つのステップでみていきましょう。ここでは、会社員が副業で年収を上げるという身近な例を用いて解説しています。
1. 現状を把握する
まずは、あなたの現状を把握することからはじめます。
現状、どのようなスキルや経験があるのか、どのようなポジションにいるのかなどを洗い出しましょう。
たとえば、「〇〇の資格を持っている」「〇〇年間△業界で働いてきた」「従業員〇〇人規模の会社に属している」などです。
これらを精査することで、現状を基礎としてどのようなゴールが設定できるのかを見極めていきます。
2. ゴールを設定する
現状を把握したら、これからあなたが「何を望むのか」をしっかりと考え、ゴールを設定します。
たとえば、現状が「プログラマ、正社員、年収500万円」だとします。ここで「年収を100万円増やしたい」という希望を持っているならば「副業をする」という選択肢が思いつくでしょう。
このとき、「2年後に副業で100万円稼げるようになる」というゴールを設定します。このゴール設定ならば、現状のプログラマスキルや経験をいかせるゴール設定ですし、正社員と個人事業を両立させるなど、「背伸びが必要なゴール設定」だといえるでしょう。
3. ゴールから逆算して目標を設定する
ゴールから逆算して目標設定を行います。
上記の例でいえば、「2年後に副業で100万円稼げるようになる」ことがゴールですので、そのために必要な事柄を細分化して目標に設定していきましょう。
たとえば、以下のように細分化していくとよいでしょう。
- 1年半後には80万円の仕事を発注してくれる顧客を獲得する
- そのためには、1年後には、自分で50万円の仕事を受注できる営業力がみについていなければならない
- であれば、半年後には「顧客と直接契約できるスキルと営業力」が必要
- まず着手すべきは「営業するための実績を獲得するための案件獲得」
- すぐにできることは「クラウドソーシングで案件を取る」こと
上記をさらに具体的に、期限付きの目標へ落とし込んでいくことで、ゴールから逆算された目標設定ができます。
ゴール設定はモチベーション維持や能力の引き上げに欠かせない!
ゴール設定はビジネスにおいて欠かせません。それは企業としてはもちろん、従業員個人にもいえることです。特に、個人がゴール設定をすることで、仕事へのモチベーション維持につながり、ひいては個人のスキルや経験値の向上につながります。まずはゴール設定の概要を理解して、設定する際のポイントや手順を把握したら、「ゴール設定」を自社に取り入れてみましょう。
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