生産性の向上を目的として海外で積極的に取り入れられてきたテレワーク。新型コロナウイルスの影響を受けて、日本でも導入の動きが加速しています。しかし、テレワークの導入により逆に生産性が下がったという声も少なくありません。テレワークで生産性が下がる理由は何なのか、解決策とあわせて詳しく解説します。
テレワークの生産性に関する問題
アメリカなどの海外企業で積極的に取り入れられているテレワークは、昨今日本でも、社員のワーク・ライフ・バランスの改善や、生産性向上のために導入が進んでいます。特に最近では、新型コロナウイルスの影響を受け、社員へテレワークを推奨する企業が増えてきました。
テレワークを導入すると、「通勤時間の削減」「仕事をする環境を自由に選べる」「育児との両立が可能になる」など、社員にとってさまざまなメリットがあります。
また企業側も、コスト(交通費・家賃・備品・光熱費など)の削減をはじめ、「社員のパフォーマンス向上」「離職率の低下」「求人応募率のアップ」など、多くのメリットを得られます。
一方、テレワークには解決しなければならない課題もあります。それは、生産性の低下です。テレワークの導入で生産性が向上した成功例が多いアメリカに対し、日本では生産性が下がったと感じている企業が少なくありません。
「生産性向上のために導入したはずのテレワークで生産性が低下してしまう」。こうした事態の理由を、次の項目で詳しく解説します。
テレワークを導入すると生産性が下がる理由
テレワークを導入すると生産性が下がるのはなぜでしょうか?考えられる理由について解説します。
社員管理のしにくさ
テレワーク導入後に生産性が下がる大きな原因として、「社員管理の難しさ」があります。
従来のように出社して仕事をするスタイルであれば、上司が部下の仕事内容や進捗状況を把握することは容易でした。また、同僚や担当チームごとに進捗管理や情報共有などもスムーズに行えたことでしょう。
しかし、在宅ワークに切り替わることで部下の状況を上司が把握しにくく、職場全体でのスケジュール管理が難しくなります。そのため、企業全体の業務スピードが低下し、結果として生産性の低下につながると考えられているのです。
さらに、始業時間や終業時間が曖昧になりやすいため、社員のなかには仕事をサボる人もでてきます。また、就業時間が定まらないことで休憩を取らない、いつまでも仕事をしてしまうといった社員もいるでしょう。
その結果、パフォーマンスが低下したり体調を崩したりする社員もでてくるなど、上司の目が行き届かないことによるデメリットはさまざまです。
こうした社員管理面の問題を解決することは、テレワーク成功に不可欠です。
勤務環境の問題
生産性が下がる2つ目の原因は、「勤務環境が整っていない」という点です。これは社員と企業の双方が解決しなければならない問題です。
在宅ワークをするときに最低限必要となるのが、「仕事をする部屋・パソコンなどのデバイス・机・椅子・インターネット回線」です。しかし、社員のなかにはこれらの環境が自宅に整っていない人もいます。
その場合、小さなテーブルで仕事をして体を痛めたり、インターネット回線が遅かったりして仕事が捗らないなど、生産性の低下につながります。また、家族と暮らしていて仕事スペースの確保が難しい場合、子どもに邪魔をされたり、リビングでの仕事に集中できなかったりするでしょう。また、企業側のテレワーク環境が整っていないときも生産性の低下を招きます。
「社員にテレワークを勧めてはいるが、自社内にはITツールやテレワークシステムの導入をしていない」という企業は要注意です。この場合、家で業務を行っている社員が、「はんこを押すために出社する」「承認印をもらうために出社する」などという無駄が生まれます。また、主な連絡手段に電話を使用することも、効率低下の一因です。電話が来るたびに、社員は作業を中断せざるを得ないので、モチベーションまで低下してしまいます。
コミュニケーション不足
「社員同士のコミュニケーションが不足すること」も生産性を下げる原因の一つです。テレワークを導入すると無駄な私語や会議、打ち合わせなどが減り、時間を有効に使えるというメリットがあります。
しかし一方で、文字だけのやり取りで誤解を招いたり、ミスが生まれたりする可能性も否めません。説明不足のまま作業を進めることは、重大なミスにつながる恐れがあるため注意が必要です。テレワークの場合は、「誰がいつ、どういうミスを犯したのか」という情報共有にも時間がかかるため、問題解決が遅れ、さらなるトラブルに発展する可能性もあります。
このように、テレワークの導入によって社員同士のコミュニケーションが希薄になることで、企業全体の結束力が弱まり、生産性の低下につながると考えられます。
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テレワークの導入による生産性低下の解決策
テレワークの導入による生産性の低下を防ぐために、企業ができることは何でしょうか?ここからは、テレワークの課題を解決するための対策を説明します。
管理体制を見直す
社員管理の難しさについて先述しましたが、これを解決するには管理体制の見直しが必要です。まず勤怠管理は、ITツールやクラウドサービス、リモートワークに適したアプリなどを活用し、上司にわかりやすいよう可視化します。
また、チャットツールやオンライン会議ツールなどを使い、会議や打ち合わせへの参加を促しましょう。会議や打ち合わせへ出席させることでコミュニケーションの機会を増やすだけでなく、きちんと在宅ワークをしているか調べられます。
さらに、仕事の進歩状況を1日1回必ず報告するように義務づけたり、成果物の提出期限を明確にしたりするなど、社員のサボりを防ぐ仕組みを構築しておきましょう。ただし、社員管理が監視のようになってしまうと、かえって社員がやる気をなくしてしまう可能性もあります。そのため、フレックスタイム制の導入を検討するなど、社員にある程度の自由を与えることも大切です。
また、短時間で仕事を終わらせられる優秀な社員には昇級や昇進といった形で評価するなど、「リモートワークでは正当な評価が得られない」といった不満の解消に努めましょう。
必要な環境構築をサポートする
テレワークをする社員のなかには勤務環境が整っていない人もいます。また、インターネット回線が通っていても速度が遅かったり、セキュリティ面で不安が生じたりといった場合もあるでしょう。
このような社員に対しては、企業が必要なものをそろえるなど、勤務環境を整えるためのサポートが必要です。具体的には、「パソコンやタブレット端末の貸し出し・インターネット環境の構築・セキュリティソフトの導入・その他資金補助」などです。
全額費用負担が難しい中小企業は、厚生労働省・経済産業省・総務省・各自治体などが実施しているテレワーク助成金制度(テレワーク導入にかかる一部費用を補助する制度)を上手く活用しながら、社員の勤務環境構築をサポートしましょう。
コミュニケーションの機会を作る
コミュニケーション不足による生産性の低下を防ぐために、テレワーク導入後は意識的にコミュニケーションの機会を増やすことが大事です。先述した会議や打ち合わせを実施することのほかにも、チーム単位でのミーティングを活発に行ってもらうよう促しましょう。社員たちに、自主的で気軽な話し合いや情報共有ができる場を準備することが重要です。
また、上司と部下がマンツーマンで話し合いをする機会を定期的につくるのもいいでしょう。部下から不安や不満を聞き出すことでストレスケアにもつながります。
社員同士のコミュニケーションを活性化させるためには、チャット・Web会議・ビデオ通話などさまざまなツールを取り入れるのがおすすめです。次の項目で業務支援に役立つツールについて紹介します。
業務支援に役立つツールを導入する
「社員管理が難しい」「勤務環境が整わない」「コミュニケーションが取りにくい」といったリモートワークの問題を解決するために、ITツールの導入を検討しましょう。リモートワークにおけるITツールには、勤怠管理・Web会議・チャットツールなどがあります。なかでも1つのツールですべての業務が完結できる「Asana(アサナ)」は、リモートワークの強い味方です。Asanaを利用すれば勤怠管理はもちろん、タスク管理機能やカレンダー機能を使って、進歩状況も確認可能です。
さらにチャット機能によって、社員間に気軽なコミュニケーションも生み出せます。また、コメント機能やリンク機能などを使えば、SNS感覚で簡単にコミュニケーションも取れます。テレワーク導入で最大の問題とも言える「コミュニケーション不足」の解消へ、魅力的な機能で貢献します。
加えてAsanaには、コメントへのメンション機能も備えられており、社内連携面でのサポートをより強化しています。これを活用することで他部署の社員や、ほかのメンバーとも容易に情報を共有できます。
まとめ
社員や企業にとってメリットばかりのように思えるテレワークにも、さまざまなデメリットがあることがわかりました。
デメリットを避けメリットを発揮させるためには、「社員管理体制の見直し」「勤務環境の構築」「コミュニケーションの活性化」の3つをしっかりと実践することが重要です。AsanaのようなITツールを導入すれば、上記3ポイントへもスマートに対応できるでしょう。ぜひ、自社に適合するツールを選んで、テレワークを成功させてください。
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