プロジェクトを進めていく上ではプロジェクト管理をしたほうが良いといわれることがあるものの、目的やポイントについて、よく分からないという人も多くいるでしょう。本記事では、プロジェクト管理の意味や目的、手段などについて解説します。
プロジェクト管理とは
まずは、プロジェクト管理の基本について、プロジェクト管理の意味とそれを行う目的を解説します。
プロジェクト管理の意味
プロジェクト管理の基本的な意味は、その文字通り「プロジェクトを管理すること」です。なお、「プロジェクト」とは、決められた目標を達成するための計画策定と、その遂行のことを指します。通常、「プロジェクト」と呼ばれるものの定義としては、「必ず作業の開始と終了があるもの」や、「一時的な組織として構成されたもの」などが挙げられます。
プロジェクトを進める上では、1人のプロジェクトリーダーと、複数人のメンバーが集められる場合が多いようです。このようなプロジェクトを円滑に進め成功させるために必要なのがプロジェクト管理であるといえるでしょう。プロジェクト管理は、業務の進捗管理やプロジェクトそのものの管理だけではなく、予算や資源活用、成果など、プロジェクトにまつわるトータル的な管理を行わなくてはいけません。
プロジェクトを成功させるためには、決められた期間に決められた予算に収まる範囲で資源を有効活用しながら、顧客が求めるレベルまで作り上げることが求められます。これを可能にするために、プロジェクト管理ではさまざまな観点からプロジェクトの全体を把握していくのです。
プロジェクト管理をする目的
プロジェクト管理をする目的は、第一に、決められた予算・納期・品質を守りシステムや製品を作り上げるためといえるでしょう。しかし、プロジェクト管理を行う上では、顧客の要望に応じて納期を守り、システムや製品を作り上げることはもはや当たり前のことになっています。
1990年代初めは、できるだけ早く、安く、高品質なものを顧客に提供することが重要であると考えられ、プロジェクト管理の目的もそれらを達成するためだけにあったといっても過言ではありませんでした。しかし、1990年代中頃になるとそれだけではなく、顧客が必要とするタイミングに、適切なものを提供できるかどうかが重要になってきたのです。
時代が進むにつれて、できる限りコストを抑えつつも、品質は落とさないシステムや製品を作り、企業の利益を高めることも重要なポイントとなっています。このような目標を達成するために、全体を見ながら人件費の削減やコスト削減が可能な箇所を探していくことが、プロジェクト管理の目的です。
プロジェクト管理の手段
プロジェクト管理のための手段としては、プロジェクト計画書・ガントチャート・管理用ツールを用いることが挙げられます。ここからは、それぞれの手段について1つずつ解説します。
プロジェクト計画書を用いる
プロジェクト計画書とは、プロジェクトを成功させるために、品質や納期などの目標を決め、その目標を達成するための活動計画をまとめたものです。プロジェクト計画書の作成には時間と労力がかかります。しかし、最初にしっかりと計画を決めておかないとコストや納期が予定とずれてしまうこともあるので、プロジェクトに取り組む前に作るようにしましょう。
計画書には、プロジェクトの開始から終了までの計画を書きます。具体的な項目には、プロジェクトの概要や作業スケジュール、プロジェクト体制や作業を進める上で想定されるリスクとその対策などがあります。プロジェクトの規模によっては計画書が数十ページにも及ぶ可能性もあります。
計画書のフレームワークは、さまざまありますが正解はないので、その時々で最適な計画書を作れれば問題ありません。プロジェクト計画書は経験を積んできたプロジェクトマネージャーであれば的確に作成することができるものの、経験が少ない若手社員がスムーズに計画を立てるのは難しいかもしれません。焦らずにゆっくりと取り組んでいくことが大切です。
ガントチャートを用いる
ガントチャートとは、プロジェクト管理や生産管理を行う際の進捗状況を確認するツールの1つです。アメリカ人のヘンリー・ガントによって考案されたものであることから、このような名前が付けられました。ガントチャートを用いることで、タスク自体を可視化することができます。いつまでに終わらせなければいけないのかが一目で確認できるので、作業の遅れを防ぐことが期待できるのです。ガントチャートは、ExcelやGoogleスプレッドシートのほかに、管理用ツールを用いて作成できます。
管理用ツールを用いる
プロジェクトを管理するには、管理用のツールを用いるのも1つの方法です。プロジェクト管理はExcelやGoogleスプレッドシートを使うこともできますが、その方法では情報を手動で入力したり、別途レポートを作成したりしなくてはいけないなど、手間がかかってしまいます。管理用ツールを使えば、管理項目ごとの入力のみで、自動的にレポートを作成してくれるものもあるので手間が省けるのです。また、プロジェクトの進捗状況が可視化しやすくなるだけでなく、メンバー間の情報共有もしやすくなる点が魅力といえるでしょう。
プロジェクト管理のポイント
プロジェクト管理を行うには、いくつかのポイントがあります。ここでは、作業の細分化をすることや進捗についての会議をすることなど、5つのポイントについて解説します。
作業の細分化をする
1つのプロジェクトは、いくつかの作業が組み合わさって構成されています。プロジェクト管理を行うプロジェクトリーダーは、1つ1つの作業工程を把握し、それぞれを細分化しておく必要があります。こうすることで各作業に必要なタスクを抽出できるだけでなく、全体を通してどれだけのタスクがあるのか、またどのようなスケジュールで作業を進めるべきかを把握できるのです。
状況の可視化をする
プロジェクト管理を行う上では、常に進捗状況を確認しなくてはいけません。そのためにも、適宜状況を可視化しておくことが重要です。タスクの中で進捗が遅れているものがあれば、納期に間に合うように調整することが求められます。状況の可視化ができない状態のままプロジェクトを進めてしまうと、気が付いたときには納品締め切りに間に合わないなど、取り返しのつかない事態にまでなる恐れもあるので気をつけましょう。
進捗についての会議をする
滞りなくプロジェクトを進めていくためには、進捗状況について定期的に会議を行うなど、報告する機会を設けることが必要です。プロジェクトリーダーが全体の進捗状況を把握しておくことはもちろん大切ですが、業務に携わっているメンバーもそれぞれの進捗状況を確認しておくほうがよいでしょう。進捗状況の共有は、口頭のみで行うのではなく、図などを載せた資料を使うことで、より分かりやすいものになります。その資料に終わったタスクを書き込むなど、進捗状況を追記することで今後進めていくべきタスクを明確に共有することができるでしょう。
利益率を上げられるように調整する
もちろん製品の品質を下げることはできませんが、プロジェクトの中には不必要な工程が含まれていることもあります。たとえば、製品設計のフローを行う場合、必要以上の人件費をかけ過ぎていないか、かかる日数を減らすことはできないのかを検討するとよいでしょう。意外なところで人件費などのコストを削減できるかもしれません。このようなプロジェクトの中の無駄をなくして、できる限り利益率を上げられるように調整することが大切です。
適切なツールを導入できるよう検討する
プロジェクト管理を行うためのツールには、さまざまな種類があります。それぞれの種類によって特化している面が異なっているので、導入時は適したものを選んで検討するようにしましょう。
管理用ツールには無料版と有料版が分かれているものもあります。少人数であれば無料版だけで事足りる場合もあるでしょう。大人数で同時に使用したい場合やすべての機能を使いたいという場合は、有料版を活用してみてください。また、有料版を申し込む前に無料版で使用感を確認してみるのもおすすめです。
まとめ
プロジェクト管理は、滞りなくプロジェクトを進めていく上で重要な役割を果たします。しかし、間違った方法で実行しても効果は出にくいので注意が必要です。ここで紹介したポイントを踏まえつつ、効果的なプロジェクト管理を行いましょう。
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