OKRは、組織マネジメントや人材育成の観点で注目を集めている手法です。しかし、OKRを組織として有効に実践するのは簡単ではありません。そこで、OKRに適用できるテンプレートが普及しています。OKRテンプレートの使い方や、目標設定におけるポイントや便利なツールをご紹介します。
OKRのテンプレート
OKRは"Objectives and Key Results"の略で、直訳すると「目標と主要な成果指標」です。チームとしての成果を高め、個人個人の能力を伸ばすために用いられるマネジメント手法で、近年注目を集めています。
以下では、OKRの実践にあたり便利なテンプレートをご紹介します。テンプレートを活用することで、正しい設定方法を確認することができ、各メンバーのOKR記入の効率が上がります。またチームや組織で共有できるため、マネジメントの立場でも管理がしやすいなどのメリットもあります。メンバー間の可視化の効率が上がり、相互フォローや指導もしやすくなります。自身のチームの特徴に合ったテンプレートを探してみましょう。
Googleスプレッドシート
身近なツールでいえば、Googleのスプレッドシートが便利です。スプレッドシートは、Googleのアカウントさえあれば誰でも無料で利用でき、共同でファイルを編集できるため、組織内の情報可視化の観点でも便利です。
そのなかでも、Googleが提供するOKR用のテンプレートがあります。成果ごとの目標や相当する数値を記入し、チーム内で簡単に共有できます。必要に応じて、使い方も工夫するとOKRの活用の幅も広がります。
もっと見る:OKRとは?Google、Facebookも使う目標管理のあり方
その他海外のテンプレート
Googleスプレッドシート以外にも海外発のテンプレートがあります。
Perdoo
無料で利用できるサービスで、手軽に開始できる目標管理ツールのなかにOKRテンプレートがあります。小規模から中規模程度の組織向けですが、目標のマッピングなどもあり、より組織内のOKRを可視化しやすいプラットフォームです。
weekdone
3人までは無料で利用可能で、それ以上は人数に応じて課金されます。週次レポートや達成に向けた具体的な計画も紐づけることが可能で、テンプレートだけなく、目標管理全体を行うツールとしても活用可能です。
Trello
タスク管理ツールとしても有名ですが、OKRのテンプレートも公開しています。カード型になっており、ドラッグアンドドロップで直観的に操作できます。またアドオン機能を多数提供しており、カスタマイズが可能です。
このように、会社によってテンプレートの特徴が異なります。自社やチームに合ったテンプレートを探すか、カスタマイズするとよいでしょう。
目標管理シートの項目例
OKRを実践するためのテンプレートにはどのような項目が必要でしょうか。以下では、項目の具体的な例や成果指標を設定するポイントについて解説します。
まず、達成したい目標を定めます。それが組織や部門、あるいは個人の目標なのか確認しましょう。次に、達成したい目標について以下のような項目を設定します。
- 目標指標内容:指標に対する具体的内容
- 目標基準値:目標設定時に参照する実績
- 目標設定時期:目標を達成する期限
- 目標値:達成したい水準となる数値
- 目標達成の方法:具体的な行動内容や計画
- 難易度:本人や上司が記入する指標
これらの項目に対して評価を行います。まずは本人が達成率などの定量面、コメントなどの定性面を記入します。この本人評価を受け、上司が評価およびコメントを行います。
成果指標を設定するポイント
OKRにおける成果指標は、定期的に計測し、チーム内でも共有していくため、定量的なものにします。また、目標から逆算してその成果指標を達成すると目標にどうつながるのかを明確にします。これらの指標は、組織内でオープンにすることで、メンバー同士が信頼して目標の実現に向けて動くことができます。
テンプレートよりも便利な管理方法
OKRの概要やそのメリットを理解しても、実践するのは難しいという人もいるでしょう。そこで便利なツールとして、冒頭でOKRのテンプレートをご紹介しました。実は、テンプレートよりもさらに便利なOKRのマネジメント方法があります。それが「目標管理ツール」です。
目標管理ツールは、目標やそれを細分化した項目などの記入、それらに対する人事的な評価などをクラウド上で一元管理します。それにより、目標管理によるマネジメントや人事評価の業務を効率化できます。ユーザーの目的に合わせて、目標管理の機能を重視したもの、人事評価との連携を重視したものなど、さまざまなツールがあります。このようなツールを活用することで、業務負担を軽減できます。
OKRの成果指標や目標管理シートへの記入は、メンバーにとってはメリットが大きいものの、管理する立場の負担は大きくなりがちです。テンプレートの作成や周知、集計やフィードバックなど業務が多岐にわたるからです。これらをペーパーレス、クラウド上で一元管理することで、管理業務の負担を抑え、人事評価とも連動できるのが大きなメリットです。また、クラウド上でデジタル管理を行うことで、OKRに照らし合わせたスケジュール管理や目標達成のためのフォローがしやすく、集計や分析の自動化ができるなど、多くのメリットがあります。
目標管理ツールの例
多くのメリットがある目標管理ツールですが、以下では具体的な目標管理ツールの例についていくつかご紹介します。
Resily
Resilyは、OKRのフレームワークを活用した目標管理ツールです。テンプレートに沿って目標や指標を入力すると、マップ機能で組織やチームの事業全体の目標や実行計画との紐づきが可視化されます。自身の頑張りがどのように組織に貢献しているかが分かるため、組織としての生産性向上にもつながるでしょう。OKRがツリー状の構造になっており、各成果指標やその内容の進捗状況の確認、それに対するコメント機能などもあり、コミュニケーションの活性化も期待できます。ツールの導入時にはワークショップを行うなどのサポートもあります。
Wistant
Wistantは、OKRやMBOなど複数の形式に対応した目標管理ツールです。目標の記入による管理はもちろん、フィードバックや1on1ミーティングの質を高めるためのコミュニケーション管理機能も備わっています。「ピープルマネジメント」という概念を提唱しており、上意下達のマネジメントではなく、メンバーの意欲を引き出し、自発的にパフォーマンスを発揮するためのツールとして目標達成をサポートしています。1on1やフィードバックの機能も充実しており、マネジメントや人事評価との連動においても有効なツールといえます。
BetterWorks
BetterWorksも、OKRに対応した目標管理ツールです。中小企業だけでなく大企業にも適用できる点が特徴のひとつです。OKRの継続運用に必要な目標設定、1on1ミーティング、社員間のフィードバックと評価を一元管理できます。チャットなどのコミュニケーション機能もあり、チーム内で可視化しながら目標管理を維持・推進できます。外部システム連携用のAPIも公開されており、営業支援ツールのSalesforceやチャットツールのSlackなどとの連携もできます。
まとめ
OKRの継続的な設定・管理をするためには、テンプレートやツールの活用が便利です。無料で手軽に利用できるもの、人事評価との連動がしやすいものなど、それぞれ特徴が異なります。どのテンプレートでもツールでも、個人個人がその目的と機能をよく理解し、全社や組織ごとに共有することが大切です。
- カテゴリ:
- OKR・目標管理