個人のタスクやスケジュール、チームのタスク、部門としての業績、これらは全て1つのビジネスを形成する要素であり、それぞれに個別の管理項目を設けて円滑なビジネス推進を図ることが計画的な目標達成を実現し、ビジネスの更なる成長を促します。
そのために大切なことは「個人・チーム・部門がコミットした目標に対して、現時点でどの程度達成できているのか?」を表すKPIの運用です。本記事ではKPIについて解説します。
KPI(Key Performance Indicator/重要業績評価指標)とは?
KPIとはつまり、「目標達成において重要となる業績を評価するための指標」です。1つの大きな目標を達成するには、細かいタスクをこなして少しずつ小さな達成を積み上げるというプロセスが必要です。
例えば皆さんが東京マラソンに出場したと仮定して、制限時間である7時間以内の完走を目指すとします。42.195Kmという距離を規定の時間内で走り切らなければいけないわけですから、10Km地点、20Km地点、30Km地点と各ポイントにおいて明確なタイムを設け、7時間以内で完走するための進捗を確認する必要があります。進捗が確認できればいずれかのポイントで想定タイムを落としていることが分かれば、ペースを上げて調整するでしょうし、逆に想定タイムを切っているならもう少しペースを落として体力を温存したりペースを維持して目標よりも早いタイムでの完走が見込めます。
このことから、KPIというのは「最終的な目標を達するために必要な小さな目標をいくつか設定するための指標」だと言い換えることができます。
ビジネスにおけるKPIの一例
上記は分かりやすくマラソンでKPIを説明しましたので、次にビジネスにおける具体的な一例をご紹介します。
月間の営業利益100万円を捻出するのに1,000万円の売上高が必要だと仮定します。5人の営業担当者で切り盛りしている企業の場合、単純に計算して1人あたり200万円の売上実績が必要です。
では、売上実績200万円を達成するには何が必要なのか?まずは営業担当者ごとの平均顧客単価から200万円を達成するのに必要な契約数を割り出します。例えば営業担当者Aの平均顧客単価が100万円とすると、必要な契約数は2件です。次に、2件の契約を獲得するためにどれくらいの見積理を提出すれば良いいのか?これは契約率から割り出し、仮に契約率が20%だとすると10件の見積もりを提出する必要があります。
では、10件の見積りを提出するのにどれくらいアポイントを取れば良いのか?案件化率が20%だとすると、50件のアポイントを取らなければいけません。数値が現実的かどうかはさておき、営業担当者Aには次のようなKPIが設定できると考えられます。
<営業担当者AのKPI>
売 上 目 標:200万円
アポイント件数:50件
獲得案件数 :10件
契 約 数 :2件
顧 客 単 価:100万円
ただし、これらのKPIは「その月のどのタイミングで達しも良い」わけではありません。月間200万円という目標を達成するには月末時点で2件の契約数を獲得する必要があり、案件化から契約成立まで平均して2週間かかるとすると、少なくとも月の半分までに10件の引き合いを獲得する必要があります。もしもそのKPIが達成できていない場合、月間200万円の売上目標を達成できない可能性が高いため、目標を下方修正したり契約が獲得できそうな案件に対してクロスセルなどを実施して顧客単価引き上げに努めたりと、様々な施策を講じることができます。これに、それぞれのKPIを達成するにあたり期限を設定するとより実用的なKPIとして運用できます。
ちなみに具体的かつ正確なKPIを設定するには、「Specific(明確性)」「Measurable(計量性)」「Achievable(現実性)」「Result-oriented or Relevant(結果志向または関連性)」「Time-bound(適時性)」の、それぞれの頭文字を取って「SMART」を意識すると良いとされています。
KGIとの違い
KPIに関連するものとして「KGI」という言葉があります。これは「Key Goal Indicator:重要目標評価指標」のことであり、いわゆる「最終的な目標を表す数値」のことです。先程の例で言うならば営業担当者Aの売上目標200万円がKGIとなります。部門においては売上目標1000万円がKGIとなります。
KGIの設定は仕事に対するモチベーションを大きく左右します。「とにかく高い目標値を設定する」ことで仕事に対するモチベーションを高めようとする企業もありますが、現実的に達成が不可能に近い目標値は逆にモチベーションを下げる原因になります。大切なのは、「努力すれば必ず達成できる目標値」を設定することであり、目標達成がイメージできるからこそモチベーションも向上できます。
また、KGIを設定する際はやはり具体的な数値で表すのが望ましいでしょう。「業界No.1になる」というようなKGIでは漠然としすぎていますし、そもそも何をもって業界No.1なのかの定義も曖昧です。従って、KGIは具体的な数値と期間で表すことが、その後に続くKPI設定を正確にすることができます。
KFSとOKR
KPIとKGIの他にも、個人や組織の目標達成に使われる言葉があります。それが「KFS」と「OKRです。
KFSとは「Key Success Factor/重要成功要因」のことで、KPIやKGIを達成するに欠かせない成功要因を整理することを意味します。一方、OKRとは「Objectives and Key Result/目標と主要な結果」を意味し、組織全体のKGIから部門・チーム・個人とそれぞれ細かいKPIに落とし込んでいき、組織全体の目標と結果をツリー構造として整理するものです。
分かりやすく整理すると、まず組織としてのゴールが設定され、それを達成するために部門・チーム・個人ごとのKGIが設定されます。このツリー構造がOKRの基本となり、さらに個々のKGIを達成するために細かいKPIが設定され、枝葉のようにツリー構造を構成していきます。そしてKFSによって成功要因を整理し、それを具体的な数値として落とし込んだのがKPIです。
このように、KPI・KGI・KFS・OKRの意味と役割を理解し、それぞれの使い所をしっかりと考えれば実態に即した目標設定と、それによる効率的なビジネス推進が見込めます。
KPIをツールで管理しよう
組織的にKPIを管理し、目標達成に向けてあらゆる活動やタスクを最適化するにはKPIが管理可能なツールが欠かせません。情報の更新性が極めて重要であり、組織全体がリアルタイムにKPIを共有できることがKGI達成に繋がります。
AsanaではOKRを実践するためにAsana Goalsを提供しています。チームが会社のミッションや目標、そして自分の仕事がそれらにどう貢献するかを明確に把握すれば、画期的な成果を達成できるでしょう。Asana のゴールを使って目標を設定、追跡、管理することによって組織にもたらされる効果の大きさを、ご自身でぜひ、お確かめください。
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