業務プロセスを改善したいけれど、何から始めればよいのか分からない…。業務コンサルタントに依頼しないと実現しないのでは?
業務プロセス改善において苦手意識を持っている企業が多いようです。確かに、今までの歴史の中で積み上げてきた業務プロセスの中から課題を見つけたり、各業務プロセスを再構築したりするような取り組みは企業として勇気のいる行為ですし骨の折れる作業であることは間違いありません。しかしそうした企業の中にも、業務プロセス改善に成功し、様々な効果を得ている企業が存在することも確かです。
企業独自に業務プロセスを改善することは決して難しいことではありません。本稿では、業務プロセス改善のために取るべき行動について解説します。
業務プロセス改善の基本的な活動
まずは、業務プロセス改善の基本的な活動を8つのポイントに分解していきます。
- 業務を「洗い出す」
- 問題を「見つける」
- 原因を「追究する」
- 改善を「提案する」
- 計画を「立案する」
- 施策を「実行する」
- 結果を「評価する」
- 改善を「つづける」
1. 業務を「洗い出す」
業務プロセス改善では業務の洗い出しからスタートしています。企業の中にどんな業務プロセスがあるのか、それぞれの業務プロセスはどういった法則に従って流れているのか、業務プロセス同士の繋がりは、各業務プロセスの作業手順などについて改めて明確にしていきます。そのためには、現場に直接ヒアリングを行ったり、過去に作成された業務フロー図などを参照にしたりして、最新版の業務フロー図を作成していきます。
2. 問題を「見つける」
業務の洗い出しが完了したら、その中から特に解決すべき問題を整理していきます。そのためには「業務プロセス改善に取り組むそもそもの目的」が必要です。たとえば「当社は顧客満足度が競合他社に比べて低い。だから、顧客満足度を向上する!」というのが目的ならば、顧客満足度を下げている、あるいは向上を阻害している問題を見つけ出します。目的あっての問題なので、問題を見つけることだけに集中せず、最終的な目的から効率良く問題を見つけ出すのがポイントです。
3. 原因を「追究する」
次に、その問題が発生している原因を追究していきます。ポピュラーな追求方法としては「なぜなぜ分析」があります。これは、1つの問題に対して数回の「なぜ?」を繰り返していくことです。たとえばオペレーター応対における顧客満足度が低く、そこには「応対レスポンスが遅い」という原因があったとします。しかしこれを根本的な原因を決めつけて「では、オペレーターを増やそう」といった対処するにはまだ早いでしょう。応対レスポンスが遅いのは「オペレーターの数が少ないから」ではなく、「システムパフォーマンスが低く自然と応対レスポンスが遅くなっている」という根本的原因があるかもしれません。
4. 改善を「提案する」
何らかの方法によって問題に対する根本的な原因を掴むことができたら、次に具体的な改善を提案していきます。その際は、「①無くす」「②まとめる」「③組み替える」「④単純にする」の順に沿って改善策を考えると、効果的な策を効率良く提案することができます。改善はいくつか提案されるかと思いますので、その中で効果が高く、かつ実施コストが低いものを関係者の協議のもと決定していきます。
5. 計画を「立案する」
改善を実施するためには綿密な計画が必要です。施策をどのタイミングで実施するのか?どの部署やメンバーを対象に実施するのか?どれくらいの期間実施するのか?それにかかるコストはいくらなのか?何を基準に「成功」とするのか?などを明確にしていきます。この計画に沿って施策を実施することで、後の評価等につながるため、場当たり的に施策を実行するのではなくしっかりと計画した上で実行することが大切です。
6. 施策を「実行する」
施策を実行する際のポイントは、「極力計画に沿った施策を展開すること」です。業務プロセス改善に取り組む中で、イレギュラーな出来事が起こったり、正しいと認識していたことが間違っていたりということはよくあります。しかし、その度に施策に変更を加えていくと、たとえ施策が成功したとしても「何が要因で成功したのか?」がまったく分からなくなってしまいます。
7. 結果を「評価する」
実施した施策の結果は、必ず計画にもとづいて評価することが大切です。施策が成功したのか失敗したのか?この評価が無ければ、本質的な業務プロセス改善に繋げることはできません。結果を評価する際は、数値的に評価することもポイントです。そのために計画段階でKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)を設定しておくと評価がスムーズに行えます。
8. 改善を「つづける」
最後に、業務プロセス改善を継続的につづけていきます。たとえ施策が成功したとしても、改善活動をつづけていかないと本質的な業務プロセス改善は不可能ですし、継続するからこそ多大な効果を得ることができます。
以上が業務プロセス改善の基本的な活動です。この基本を押さえることで、企業独自でも比較的簡単に業務プロセス改善に取り組むことができます。
業務プロセス改善に欠かせない要素
基本的な活動以外に、業務プロセス改善に欠かせない要素、いわば「材料」について解説していきます。
「業務プロセス」の定義
業務プロセス改善において、多くの企業が気付かないうちに失敗していることがあります。その原因が「業務プロセスの定義が曖昧だ」ということです。業務プロセスの定義として、関係者が違った認識を持っていると取り組みの一貫性が無くあり、施策が成功することはありません。「業務プロセス」に関する定義をあらためて関係者間で確認しましょう。
責任の所在
業務プロセス改善にあたってプロジェクトチームを設置します。その際には、統一されたプロジェクト推進を行うために責任者による船頭が必要です。業務プロジェクト改善における責任の所在をハッキリとさせ、各メンバーの権限についても定義しておきましょう
業務プロセスのモデル図
業務プロセスのモデル図を作成しておくと、各業務プロセスの流れやプロセス同士の繋がりなどを視覚化できます。モデル図は業務プロセス改善における地図のようなものなので、関係者全員が同じように認識できるモデル図が必要です。
優先度に応じた解決
基本的な活動に沿って業務プロセスの問題を解決する際は、必ず優先度に応じた解決が欠かせません。施策効果が低い問題ばかりに取り組んでしまうと、コストに応じた成果が得られないようになります。
複数ケースのシナリオ
業務プロセス改善に取り組む中ではトラブルが発生したり、計画通りに事が運ばなかったりすることもあります。その際は、複数のケースのシナリオを作成しておき、急な計画変更にも対応できるように備えましょう。
定期的な進捗会議
業務プロセス改善において、定期的な進捗会議を実施することはとても大切です。関係者間で進捗を確認し合い、業務プロセス改善が計画通りに実行されているかどうかをチェックします。
以上のように、業務プロセス改善の基本的な活動を欠かせない要素を持って、改善活動に取り組んでみましょう!
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- BPR・変革管理