仕事の生産性向上のために企業が実施できる取り組みを解説

 2021.04.23  2023.03.30

生産性を向上させることは、企業が活動するうえでも重要ですし、多くの企業の生産性が向上することで国全体の経済力にも影響を及ぼします。しかし、具体的にどのような取り組みを実施すべきかわからず、悩んでいる企業の方も多いのではないでしょうか。ここでは生産性を向上させるために実施すべきことをまとめていますので、ぜひ参考にしてください。

仕事の生産性向上のために企業が実施できる取り組みを解説

生産性向上とは

最初に、生産性やこれを向上させることの意味を確認しておきましょう。「生産性」とは、成果を出すための投入に対する生産量をいいます。重要なのは単に生産量を見るのではなく、「投入に対する割合」を見るということです。つまり、生産量を上げたとしても「生産性向上」に直結するとは限りません。

例えば、商品の製造量を2倍、あるいは販売による売り上げを2倍になったとしても、そのために要した材料や勤務時間、人材の投下数も同じ程度で増加したなら生産性が向上したとは言えません。その場合は、いろいろな観点から効率を見なければならないでしょう。

逆に、製造量や売り上げがそのままでも、人員数や勤務時間、原材料などを削減できたのであれば生産性は向上したと言えるのです。

仕事の生産性を向上させる必要性

生産性は高いほうがよい、ということは誰もが理解できるかと思いますが、具体的になぜその必要性があるのでしょうか。以下では、生産性向上がどのようなことに影響するのか、特にその必要性があるとされる理由を説明していきます。

競争力の強化

日本の生産性は、主要国、特にG7の他国と比較して低いです。そして、グローバル化が進む近年においてはサービス提供の越境が容易になっているため、国内外での競争の区別もあいまいになりつつあります。そのため、国内で活動する企業であっても、海外企業との競争に勝つことが求められます。

例えば、Web上で提供されるサービスなら、日本のどこにいてもほぼあらゆる国の企業が提供するサービスを利用できます。国内の市場シェアも海外企業に取られてしまう可能性が十分にあり、実際多くの海外産サービスが国内でもメジャーなものとして使われています。

生産性が悪いと効率良く製品・サービスの提供ができず、結果として競争に勝てなくなってしまいます。そうすると利益を出せなくなり、最終的には企業活動をできなくなる恐れもあるでしょう。近年では、世界中の企業と争わなくてはならないため、なるべく効率的な仕事を実現し、競争力を強化する必要があるのです。

人手不足への対策

人手不足は、日本全体が抱える社会的な問題であり、企業単位でも対策を要する課題です。これから長期的に国内の人口は減少することが確実視されており、従来の働き方をいつまでも続けていたのであれば、企業は生き残ることができないでしょう。そのため、労働人口が減った場合でも問題なく業務が遂行可能な体制を整えておかなければなりません。

前述の通り生産性を高く保つということは単純な産出量を増やすのみならず、効率を上げるということを意味します。つまり、生産性改善に向けた取り組みを実施することが、そのまま人材不足への対策にもつながるでしょう。

仕事の生産性向上のために企業ができる取り組み

それでは、ここからは生産性を上げるためにすべき具体的な取り組みを紹介していきます。さまざまな取り組みが有効ですので、自社が実行しやすいことから始めるとよいでしょう。

現状の可視化と把握

効率を上げるためには、まず何が問題となっているのか、今の状態を把握しなければなりません。そこで、自社の業務内容やその進捗具合などを把握できるよう現状を可視化しましょう。

その際、大きなプロジェクトや業務単位で分けるとともに、その中に含まれる細かな作業・タスクなども細分化することをおすすめします。各工程においてかかるコストや課題を見つけ出しやすく、「誰がどれほどのスピード・効率で進めているのか」といったことも把握しやすくなります。場合によっては無駄な業務を見つけられるでしょう。現状を可視化することで、より注力すべき業務に人材や設備、時間を配分し、全体としてより高い能率が実現できるようになります。

また、各従業員が自己流で作業をしたり、自分だけが把握できる方法で情報を残したりしていたのでは管理が煩雑化してしまいます。そこで必要に応じてマニュアルを作ったり、ITツールを導入したりして、画一的な業務フローを策定するようにしましょう。ツールによっては見える化を支援するような機能も搭載されていますのでおすすめです。

労働環境の管理

管理権限のある者が、従業員の労働環境を把握し、最適な状態に保つことも大事です。長時間労働は生産性低下の大きな要因となり得ますし、働き方改革が推進される昨今においては企業イメージを悪化させてしまう恐れもあります。また、従業員のモチベーション低下が離職を促し、よりよい人材の確保も遠のいてしまうでしょう。

そこで可能な範囲で働き方に多様性を持たせることや、長時間労働を防ぐようなルール作りに努めましょう。テレワークなども、ツールを使えば従来ほど難しくありません。これまでテレワークを実践したことがない企業の場合、導入に際してさまざまな課題が出てくるはずです。それを是正することで生産性にどれほどの影響を及ぼすのかよく検討し、導入可否を判断するとよいでしょう。

なお、テレワークについては業種によって導入が現実的ではないケースもありますし、導入が必ずしもよい結果を招くとは限りません。しかし、長時間労働は企業のためにも従業員のためにも避けるべきです。できるだけ本来の勤務時間で必要量の成果を出すよう努めることで生産性は向上します。

業務の外注

労働時間の短縮は容易にできることではありません。いきなり残業をゼロにすることは困難ですし、業務に支障をきたしてしまうかもしれません。そこで徐々に削減を目指すとともに、その過程で外注も視野に入れた対策を取ってみましょう。

外注コストはかかりますが、自社の従業員はもっとも注力すべきコア業務に専念できるようになります。外注でも対応してもらえる作業は委託し、内部の人間にしか対応不可能な作業を内部で行えば、費用対効果も大きくなるでしょう。

業務の外注を上手く活用するには、コア業務・ノンコア業務は何かを把握する必要があります。そのためにも、業務の可視化は欠かせません。

スキルアップ支援

個々の従業員のスキルアップを企業が支援することで、生産性向上が期待できます。また、働くモチベーションが高まり、ひいては離職率の低下や人材の確保にもつながるでしょう。

スキルアップ支援のために、例えば定期的に勉強会を開いて業務に必要な知識・スキルを習得したり、外部で開催されている研修会に参加したりといったこともおすすめです。内部の人間関係を良好にし、他企業との交流につながるといった副次的なメリットも得られます。

また、資格取得を促進する制度を設ければ、より積極的に取り組もうとしている従業員をサポートできます。それぞれのスキルが高くなることで作業スピードは上がり、生産性も高まるでしょう。

適切な人材配置

生産性の向上を目指すのであれば、従業員を適切な業務に配置することが大切です。個々人には得意不得意があり、強みを生かすことでポテンシャルを発揮できます。また、従業員同士の関係性やコミュニケーション能力も重視したうえで、人材配置に取り組みましょう。

そのために重要となるのが、従業員一人ひとりについての理解です。戦略的な人材配置は「タレントマネージメント」とも呼ばれますが、定期的なヒアリングやアンケートを実施し、キャリアをサポートすることで生産性の向上につながります。

ITツールの導入

ITツールの導入は、企業が取り組みやすい施策の一つと言えます。いきなり新たな制度を運用したり、労働時間を削減したりするのはハードルが高いですが、ITツールの導入であれば比較的取り入れやすいでしょう。

ただ、ツールにもいろいろな種類がありますので、自社に適したものを選択することが大事です。例えばチャットやWeb会議向けのツールはすぐに導入できますし、それによって従業員同士のコミュニケーションを活発化していけるでしょう。ファイル共有サービスも同様です。

メールへの添付でファイルを送っていた場合など、情報共有が円滑に行えていない状況があるなら、クラウドサービスを取り入れることの費用対効果は大きいと言えます。

また、業務の可視化・効率アップの観点からプロジェクト管理ツールもおすすめです。タスク単位の進捗報告やスケジュール管理といった各種情報を電子化でき、生産性の向上に大きく役立つでしょう。ITツールを有効活用すれば、テレワークなどにもつながるため、働き方の多様化にも貢献します。

補助金や助成金の利用

生産性の向上や、そのための取り組みに関して補助金・助成金を利用できることがあります。これから本格的に生産性向上の取り組みを始めようと考えるのであれば、こういった制度を使えないか確認しておくとよいでしょう。

例えば、厚生労働省では「業務改善助成金」として、生産性向上に取り組む中小企業を支援しています。これは、生産性向上のための設備投資を行い、事業場内の最低賃金を一定以上引き上げることができれば、設備投資の費用が一部助成される制度です。

ほかには、一般社団法人サービスデザイン推進協議会が運用する「IT導入補助金」といったものもあります。ITツールの選定後に申請し、事業実績報告を行うなど、いくつかのステップを経て要件を満たせば補助金を交付してもらえるという制度です。最大450万円の補助が受けられますし、多様な業種に対応しているため、多くの企業に利用機会があると言えます。

補助金や助成金については各地方公共団体が独自に実施しているものもありますので、ほかにも検討したいという方は自社の所在地で適用し得るものを探してみるとよいでしょう。

まとめ

生産性が向上することで競争力を強化でき、人手不足への対策にもなります。これらはどの企業も直面し得る問題ですので、早期に改善への取り組みを始めるようにしましょう。なお、生産性向上に向けた取り組みに関しては、ITツールの導入に関連して交付される補助金などもありますので、費用に不安がある場合でもまずは検討してみることが大切です。

生産性の向上に役立つツールとしては、ファイル共有や社内コミュニケーションの活発化に資するものなどがありますが、「Asana」であれば仕事の整理・チームの連携を支援し、プロジェクトを効率的に進められるようになります。機能性が豊富で、多くの企業の課題を解決するツールとして役立つでしょう。企業の規模に応じたプランも用意されていますので、生産性向上を目指したい方はAsanaの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

https://asana.com/ja

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