富士通&Asana社のAI活用事例
Asana AIで効率化を超える変革を実現

 2024.12.02  ワークマネジメント オンライン編集部

Asana Japanの菊井氏、内山氏が講師を務め、富士通株式会社の大長氏と上林氏にご登壇いただいたオンラインイベント「富士通&Asana社のAI活用事例」が開催されました。

本イベントでは、新しくリリースされたAsana AIの概要および具体的な活用方法を解説しています。また、富士通株式会社のAsana アンバサダーがAsana AIの機能をどのように使いこなし、チームワークの向上に役立てているかについてもご紹介いただきました。

今回は、セミナーの内容をレポートにまとめたので最後まで読んでみてください。

Asanaについて

Asana Japan 菊井氏:Asana Japanの菊井と申します。はじめに、私からAnasa AIの概要について説明します。

Asana AIの概要

Asana Japan 菊井氏:AsanaがAI機能をリリースしてから約1年が経過し、この期間中に多くのAI機能が追加されました。その中でも、業務の効率化に大きく貢献している機能として「スマートステータス」があります。この機能によって、以前は複数のチームで時間をかけてデータを集めて対応していた、ステータス更新を瞬時に実行できるようになりました。また、目標を設定してくれる「スマートゴール」や、新しいプロジェクトを構造的かつ迅速に作成できる「スマートプロジェクト」も注目の機能です。

さらに、最新機能として「AIチャット」機能もリリースされ、AsanaのWork GraphのあらゆるレベルでAI機能が活用できるようになっています。これにより、これまで一部のレベルでしか使えなかった「スマートステータス」や「スマートサマリー」が、より多くのシーンで活用できるようになりました。

Work GraphのあらゆるレベルにAsana AIを導入

AI機能の具体的な活用方法

菊井氏:今回は架空の会社「アサナ商事」のPMO部長、浦野さんを例にして、Asana AIの活用例を紹介します。

アサナ商事 浦野さん

菊井氏:浦野さんは、組織全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するプロジェクトの計画、実行、報告を担当しており、夏季休暇から戻ったばかりです。そこで、まずは休暇中のプロジェクト進捗を迅速に把握するため、「スマートサマリー」と「AIチャット」を活用して状況を確認していきます。

Asana AIの活用

菊井氏:では、実際のAsanaの画面を用いて、浦野さんのAI活用の流れを順を追って見ていきましょう。

浦野さんは、プロジェクト全体のポートフォリオをAsanaで管理していますが、AI導入以前は各プロジェクトのステータス更新を1件ずつ確認しなければなりませんでした。しかし、「スマートサマリー」機能を使用することで、進捗を瞬時に把握することが可能となりました。

画面上部の「進捗」タブの「ポートフォリオのサマリー」からクリックひとつでプロジェクトの最新状況が要約され、休暇中に起こった変化をすぐに確認できるようになっています。サマリーは共有したい特定のメンバーにのみ提供でき、更新も随時可能です。

AI機能の具体的な活用方法

菊井氏:プロジェクトの状況把握ができたため、早速仕事に取りかかろうと思います。

次に、浦野さんはAIチャット機能を使って、業務の優先順位を確認しつつ、必要なサポートを得ようと考えました。AIチャットは、組織全体に関する質問に応じてくれるだけではなく、タスクの生成や編集も可能です。

浦野さんは新たにトレーニング教材を作成するにあたり「社内で相談できる人材は誰か?」とAIチャットに尋ねることにしました。すると、AIが社内のデータを検索し、過去にトレーニング制作経験のあるメンバーを根拠と共に提示してくれました。

AI機能の具体的な活用方法-01

菊井氏:続いて、浦野さんはプロジェクト全体のステータスを最新にするため、「スマートステータス」機能を使用してステータス更新を行います。ポートフォリオの「進捗」タブにある「ステータスを更新」をクリックし「AIで下書きを作成」を選びます。ステータスの設定や期間の指定をすることで、AIが自動的に情報を収集し、下書きを作成してくれます。

AIで下書きを作成

菊井氏:「+ガイダンスを追加」からステータス更新の出来上がりイメージをあらかじめ指定しておくと、それに沿った形で作ってもらうことも可能です。今回は、以下4つの項目を指定した上でAIに下書き作成を依頼しました。

  • 進捗のサマリー
  • 達成されたマイルストーン
  • リスク
  • 今後のマイルストーン

出力された下書きは次の通りです。

AIで下書きを作成-01

菊井氏:下書きが生成されたら、「下書きを編集」ボタンから、必要に応じて情報を追加および削除し、最終的に「投稿」ボタンを押すことで、ステータス更新が完了します。

ステータス更新を終えた浦野さんは、次に顧客満足度を把握するためのエスカレーション追跡プロジェクトを立ち上げようとしています。まずは「スマートプロジェクト」機能を使って新規プロジェクトを作成していきます。「作成」ボタンからプロジェクト名を入力し、表示された「セットアップ」を選択することで、AIがプロジェクトの内容や必要なセクション、カスタムフィールドを自動提案してくれます。

Asana Intelligence でプロジェクトをセットアップ

これにより、プロジェクトの準備が格段にスムーズになりました。このようにAsanaでは、日常業務に役立つAI機能を増やしています。

Asana AIが実現するチームワーク

富士通株式会社 大長氏:富士通株式会社のデジタルシステムプラットフォーム本部に所属している大長と申します。

私からは、当社でAsana AIをどのように活用しているかをお話ししたいと思います。私と上林は、社内でOneDigitalプロジェクトを担当しています。本プロジェクトに携わっているメンバーはテレワークをしており、顔を合わせて会話する必要がある場合のみ本社(川崎市)に出勤しています。

OneDigitalとは

富士通株式会社 上林氏:「OneDigitalプロジェクト」は、全社員一丸(One)となった業務のデジタル化に取り組み、生産性向上を行う全社活動です。このプロジェクトでは、主に以下3つの取り組みが行われています。

  • 情報を集約したポータルサイトの公開
  • おすすめコンテンツNavi
  • プロジェクトデジタル化支援

私が本格的にAsanaを使い始めたのは、このOneDigitalプロジェクトに参入した7カ月ほど前からです。それまでもアカウントは持っていましたが、あまり活用できていませんでした。しかし、OneDigitalプロジェクトでタスクを複数のプロジェクトに追加する「マルチホーム」機能を知り、使いこなしが加速してAsanaは今や私の好きなツールの一つになっています。

取り組み内容ー全体概況

Asana AI導入のきっかけ

上林:私たち富士通はAsanaのEnterpriseプランを利用しており、Asana AIが利用できる環境が整っていました。また、富士通自体がAIによる業務効率化を積極的に推進しており、役員もAsana AIの導入に積極的でした。このような背景から、前向きに導入を進めたという経緯があります。

OneDigitalプロジェクトとしても全社でAIを用いて業務を効率化していく姿勢を掲げており、最新の機能を積極的に使うマインドを持ったメンバーが多かったため、Asana AIの利用はスムーズに進みました。

富士通でのAsanaの利用事例

大長氏:OneDigitalプロジェクトでは、Asanaのポートフォリオ機能を使って各チームのプロジェクト状況を一覧で確認しています。OneDigitalプロジェクトには、イベントを企画するチーム、勉強会を主催するスキルアップチーム、私が所属しているコンサル支援チームなどがあり、総勢40名を超える大所帯です。

Asanaの活用方法は主に以下の2点です。

  1. ステータスで全体を俯瞰してプロジェクト進捗を確認
  2. マネージャーも各チームの細かな進捗を把握

Asana AI導入前から、各メンバーの作業状況を俯瞰的に把握する使い方はうまく機能していましたが、各メンバーが定期的にプロジェクトの進捗をアップデートしなければならない点に手間を感じていました。

Asanaの使い方-全体-

AIによる利用前後の変化

上林氏:Asana AIを導入してから、作業におけるさまざまな変化がありました。まず1つ目の変化として、ステータス更新が容易になったことです。

以前は各チームにステータス更新を依頼し、状況確認と報告作成にかなりの時間を費やしていましたが、Asana AIがタスク情報から自動でレポートを作成してくれるため、更新にかかる時間が20分から5分に短縮されました。

また、報告にPowerPointなどの他資料を準備する必要がなく、Asanaのレポート機能をそのまま活用できるため、業務効率の向上も実現できています。

大長氏: 他のメンバーが担当したタスクや、過去の記録についてもAIが過去データを元に情報を提供してくれるため、「記憶の彼方にある情報」をすぐに引き出せて助かっていますね。

ステータス更新が簡単に!

上林:2つ目の変化は、AIによってプロジェクトの最新状況が自動で生成されるようになったことです。以前はタスクの進捗をメンバー同士で共有していたため、情報伝達の漏れや遅延が発生していました。

また、長期休暇から復帰した際のキャッチアップも大変な作業でしたが、Asana AIの「プロジェクトサマリー」機能でプロジェクトの最新状況が自動表示されるようになったため、メンバーに直接聞かずとも状況把握が可能になりました。

大長氏: 私も「プロジェクトサマリー」機能を使うようになって、AIの便利さを強く実感しています。上司も「どんどんAIを活用して業務効率化を進めていこう」と言っています。

プロジェクト最新状況をAIが自動生産

上林氏: 3つ目の変化は、プロジェクトに関する質問にAIが回答してくれる点です。これまでは担当者以外が進捗を知りたいときは、担当者に直接問い合わせる必要がありました。特に階層が深いプロジェクトの場合、情報収集に膨大な時間がかかっていました。

しかし、Asana AIがプロジェクト全体の状況や細かなタスクの更新までサポートしてくれるようになり、業務効率が向上しています。大長さんもよくこの機能を使われていますよね。

大長氏: はい、私はコンサルチームのリーダーをしているため、メンバーの進捗状況を逐一確認する必要がありますが、この機能を使えばメンバーに直接確認せずとも状況が把握できるため非常に助かっています。情報の網羅性は100%とはいきませんが、何度も催促せずに済むためストレスも軽減されました。

プロジェクトに関する質問をAsanaに!

上林氏: 4つ目の変化は、途中から参入してもタスクのキャッチアップが容易になったことです。やり取りが多いタスクでは、コメントのスレッドが長くなり、状況把握が難しい場面が多くありましたが、AIの要約機能を利用して主要ポイントを素早く把握できるようになりました。

大長氏: 途中で参入したタスクにコメントが多いと、内容を把握するのが負担になりますが、AIが要約してくれるおかげで状況を追いやすくなりました。

途中で入ってもキャッチアップが容易

今後の期待

大長氏: Asana AIにはこれまで欲しかった機能がたくさん実装されており、非常に満足しています。一方で、今後はさらなるアップデートも期待しています。

AIを活用するためにはAsanaのプロジェクトに十分なデータを登録する必要がありますが、例えば推定作業時間のフィールドに過去の実績から自動で値を設定してくれると便利です。各メンバーが都度入力するのは負担であり、推定時間が自動で設定されることで、作業負荷の管理もさらに楽になると思います。

また、AIの質問機能においても、ユーザーが意識的に質問する形式ではなく、Asanaのバックグラウンドで情報を収集してタスクに提案を反映するような機能があると嬉しいですね。例えば、プロジェクトの進行状況をもとにAIがリスクを警告してくれるなど、ユーザーが気づかない潜在的な課題を先回りして教えてくれる仕組みがあると、より便利になると思います。

AsanaのAI機能には私たちも多くの期待を寄せており、これからの機能改善によりチームのさらなる効率化が進むことを楽しみにしています。

イベントのローカライズ業務におけるAsanaの活用

Asana Japan 内山氏:Asana Japanでソリューションエンジニアリードを務める内山と申します。ここからは、Asana Japanでの私の担当業務において、Asanaをどのように活用しているかを紹介します。

ワークイノベーションサミットの舞台裏

内山氏: 2024年5月にAsanaが日本で初めて開催した「ワークイノベーションサミット」では、100人以上の方々にご来場いただき、大盛況となりました。

ワークイノベーションサミットの舞台裏

ここでは、そのサミットの舞台裏を少しご紹介します。

外資系企業の日本法人としてイベントを開催する際の一つの課題は「ローカライズ」です。例えば、英語圏ではプロダクトマーケティングチームが用意したデモやトークスクリプトをそのまま使用できますが、日本ではそうはいきません。「英語のアセットを作ったから、後は日本語で適宜アレンジしてください」というように、日本法人は自身でローカライズすることが求められるのです。

そして、ローカライズといっても単に翻訳するだけではありません。Asanaにはチーム、ユーザー、ゴール、ポートフォリオなど多種多様なオブジェクトがあり、それらをすべて日本市場向けに調整しなければなりません。イベント開催日が5月15日だったため、それに間に合わせるためには4月30日から5月2日という短い期間にローカライズを完了させなければならないという状況でした。

ローカライズ 対象

そこで、私には「人海戦術で対応する」か、「テクノロジーを活用する」の2つの選択肢がありましたが、ソリューションエンジニアとしてテクノロジーに賭け、効率化を図ることにしました。

ローカライズの方法

内山氏: 私は以下のような手順でローカライズを進めました。

  1. AsanaのREST APIでデータを抽出し、Googleスプレッドシートに「TEMPORARY TABLE」として配置
  2. Googleスプレッドシート上のデータにDeepLやGoogle翻訳を適用し、翻訳を実行
  3. 翻訳したデータをPower Automate経由で再度Asanaに登録し、ローカライズ完了

ゴール、ポートフォリオ、プロジェクト、セクション、タスクなどさまざまなオブジェクトをこの手順で処理することにより、イベント全体のローカライズを完了させることができました。

活用したテクノロジー群

しかし、前述したように「ローカライズ=翻訳」ではありません。例えば、英語の「Naomi Burns」を「ナオミ・バーンズ」とカタカナ表記にするだけでは日本らしさを表現できないため、私はChatGPT(GPTs)を使って以下のような要件でリストを作成しました。

  • 名前は日本人の一般的な名前に変更(トップ500以内の苗字から選定)
  • 名前は読みやすいものとし、性別は元のリストと一致させる
  • 出力形式はCSVで、一覧表示

これにより、英語のユーザーリストを日本向けに調整した内容を自動生成し、イベントのすべてのコンテンツを隅々まで日本仕様にすることができました。

ローカライズの方法

このように、Asana API、Power Automate、Googleスプレッドシート、DeepL、ChatGPTなどのテクノロジーを駆使した結果、休日を返上せずにオンスケジュールでデリバリーが可能となりました。

現在の取り組み

内山氏: 今、私が進めている新たなチャレンジについてもご紹介します。

ワークイノベーションサミットでは、ローカライズ用の元データが用意されていましたが、「シナリオ自体をAIで自動生成できないか」、「Asanaだけでローカライズを完結できないか」、「お客様ごとのカスタマイズデモを提供できないか」という、さらに高度な目標を設定し、その実現に向けた取り組みを行っております。

現在の取り組み

これまでのAsanaは、業務のメタデータ(いつまでに、誰が、何を)を記録し管理するためのツールでしたが、今後はAIの支援によって、業務自体を推進するためのツールへと進化すると考えています。問い合わせチケットや意思決定案件など実際の業務内容をAI スタジオにのせ、自動で処理できる部分は自動化し、人が関与すべき部分にはAIがアシストしてくれるようになります。

今後Asanaは、人とAIがチームメイトのように協力して業務を進める世界を創出し、より生産性の高い環境を目指していきますので、ぜひご期待ください。

現在の取り組み−01

まとめ

本セミナーでは、富士通&Asana社のAIの活用事例を通して、Asanaの最新AI機能とその効果について詳しく解説しました。

Asana AIは、プロジェクト進捗の自動更新やレポート作成の効率化、リアルタイムでの情報共有などを実現し、従来のタスク管理に革新をもたらしています。今回ご紹介した「スマートステータス」や「スマートサマリー」機能以外にもさまざまなAI機能がリリースされているため、興味のある方はぜひお問い合わせください。

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