「分析」と聞くと、収集したデータをグルーピングしたりクロスすることで様々な情報を得る作業、を思い浮かべる方が多いでしょう。事実筆者も「分析」と聞けばまず最初に前述したイメージが思い浮かびます。
しかし、BPM(ビジネスプロセス管理)における「ビジネスプロセス分析」は少し毛色が違います。必ずしも収集したデータを活用するのではなく、ビジネスプロセスがどう機能しているのか?を分析し、改善案策定に繋げていくことを指すのです。
とはいえこの説明だけではビジネスプロセス分析を理解するのは難しいので、今回はこの点について掘り下げて説明していきます。
「ビジネスプロセス」って何?
ビジネスプロセス分析について知る前に改め「ビジネスプロセスって何なの?」という疑問を投げかけてみます。普段当たり前にように使用している「ビジネスプロセス」というフレーズですが、本質を理解し人に説明できるという方のほうが少ないでしょう。
この「ビジネスプロセス」に関してはIT情報メディアのZDNet Japanに掲載されている、「「4つの特性」さえ分かればビジネスプロセスの本質は理解できる」が良くまとまっているので引用しつつ説明していきます。
ビジネスプロセスの4つの特性とは?
まず当該記事の主題でもある「4つの特性」についてですが、これは「目的が定義できる」「入力と出力がある」「何度でも繰り返せる」「効果が測定できる」を指しています。
細かい説明は割愛するとして例を一つあげます。
例えば「郵送」というビジネスプロセスではまず「相手先に何かを届ける」という目的が存在します。さらに「郵送プロセス」を入力することで「請求書発行プロセス」や「集金プロセス」、最終的には「代金回収プロセス」が出力されることで利益を生み出します。
そして「郵送プロセス」は請求書の送り先が変更したとしても繰り返し行え、相手先に郵送するまでの時間などで効果を測定することができます。
上記の例はあくまで「郵送」という極部分的なビジネスプロセスに焦点を当てたものであり、組織には数百数千のビジネスプロセスが複雑に絡み合っています。しかし、個々のビジネスプロセスに焦点を当てれば必ず「4つの特性」が存在するのです。
要点をまとめると「目的があり、入力することで別のプロセスとして出力され、繰り返され、効果を測定できる」のがビジネスプロセスの本質です。
ビジネスプロセスを分析するってどういうこと?
再度疑問を投げかけることになってしまいましたが、本記事のテーマでもあるのが「ビジネスプロセス分析について理解する」ということです。具体的な分析方法としては次のようになります。
- 既存のビジネスプロセスを洗い出しモデリングする
- ボトルネックとなっているビジネスプロセスを抽出する
- 細かい業務プロセスを明確にして原因を究明する
大まかな流れは上記のようになりますが説明するほど簡単なものではありません。
まずビジネスプロセスのモデリングに関してですが、既存ビジネスプロセスを記号などを用いてマッピングする必要があります。ビジネスプロセスのマッピングと言えば「QC工程図※」などで馴染みの深いものですが、ビジネスプロセス分析を行う上では全社的に共有化されたモデリング手法を用いらなければなりません。
各部署責任者が各々、丸や四角などの記号を用いてモデリングを行うことは可能ですが、認識のずれから問題が生じるのは明白です。このためBPMNなどのモデリング手法を用いて標準化されたモデル図を作成する必要があります。
BPMNはビジネスプロセス分析を行う上で基本的なモデリング手法ですが、習得に学習と経験を有するため時間がかかってしまう傾向にあります。
BPMNについて詳しい説明を知りたい方は、こちらのブログもおすすめです。
ビジネスプロセス管理(BPM)の教科書
https://www.work-management.jp/blog/textbook.html
次のボトルネックとなっているビジネスプロセスの抽出に関してですが、オンプレやクラウドなど複合的なシステム環境が構築されている場において、ボトルネックを洗い出すことは非常に困難です。こうした環境ではBPMソリューションによるボトルネックの抽出が効果的になります。
各ビジネスプロセスには細分化された無数の業務プロセスが存在します。何らかのビジネスプロセスがボトルネックとなっている場合、ビジネスプロセス自体ではなく細分化された業務プロセスの中に原因が潜んでいる可能性が高いでしょう。
こうした一連の流れがビジネスプロセス分析なのですが、この分析がいかに難しいものか理解していただけたのではないでしょうか。そこで重要になるのがBPMソリューションによるアプローチです。
※製造工程における品質管理のプロセスを体系的に明示するためのツール
BPMソリューションで実現できること
単刀直入に言えばBPMソリューションでは既存ビジネスプロセスのモデリングからボトルネックの洗い出し、さらに原因究明までトータル的なビジネスプロセス分析を行うことができます。
第一に「モデリング機能」ですが、これは世界標準(ISO19510)にもなっているBPMNに準拠しているので全社的に標準化されたモデリングを行うことができます。前述しましたが標準化されたモデリングは非常に重要で、深い学習なしにシステム上でBPMNを実践できるのはBPMソリューションの大きな利点だと言えます。
第二にBPMソリューションは複数の業務アプリケーションとインタラクティブに連携できるため、各業務に潜んでいるボトルネックを効率的に抽出することが可能です。また、仮想化環境やクラウド環境など複合的なシステム環境下においてもシームレスに連携するので総合的にボトルネックをあらい出します。
そして第三に、モニタリングによって最終的な「ビジネスプロセス分析」を実現します。BPMソリューションではKPIをモニタリングできるダッシュボードによってビジネスプロセスの効果を測定し、同時に改善に向けた分析を行うことが可能です。業務遅延や仕事量推移などを正確に把握することで根本的な原因究明を支援します。
上記以外にもBPMソリューションには様々な機能があります。製品によってはWebサービスの開発・管理・展開まで実現するものまであるので、ぜひBPMソリューションについて深く知ってください。
分析は何のためにあるのか?
最後に分析の本質について説明して終わりにしたいと思います。皆さんは、そもそも分析とは何のために行うものと考えていますか?実は分析の本質を理解していないことで「ただ分析するだけ」で終わってしまう企業が少なくありません。
分析とはそもそも、ビジネスにおける新たな知見を見い出したり改善案を導き出すために存在するものです。このためビジネスプロセス分析には「PDCAサイクルを行うための」という大前提が必要です。
BPM取り組みにおいて再設計して展開したビジネスプロセスを「ただ分析する」だけではいけません。確実に次の改善へと繋げていく必要があります。こうしたPDCAサイクルを何度も繰り返した延長線上に、真のBPMが存在します。
皆さんも自社のビジネスプロセス分析について今一度考え、正しいビジネスプロセス分析を行っていきましょう。
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