BPRとは?業務改善との違いや成功のポイントなどを解説

 2022.04.06  2022.09.02

昨今ではDX推進やグローバル化など、ビジネス環境におけるさまざまなトピックが飛び交っています。「BPR」もそのひとつですが、しばしば「業務改善」と混同されているケースもあるようです。そこで本記事では、両者の違いやBPRのメリット、成功のポイントなどについて解説します。

BPRとは?業務改善との違いや成功のポイントなどを解説

BPRとは

BPRとは「Business Process Reengineering」の略で、直訳すると「ビジネスのプロセスを再構築する」となり、より自然な日本語に直すと「業務改革」と表現するケースが一般的です。意味合いとしては、ビジネスの本来のゴールに向けて、既存の業務の在り方やプロセスを抜本的に見直し、再設計していくことを指します。

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BPRと業務改善の違い

では、BPRが「業務改革」だとすると、一般的に企業で用いられることの多い「業務改善」とは何が違うのでしょうか。非常によく似た単語ですが、それぞれがもつ意味は大きく異なっており、その違いは「どのポイントに着目して見直しをするか」という点にあります。

業務改善は一般的に、組織やチーム、ときには個人といった比較的小さな単位で、「既存の業務プロセスで非効率な部分や無駄があればそれをなくしていく」営みといえます。一方、BPRは「改革」の名にふさわしく、ビジネスの目的に沿って「サービス提供にあたって付加価値を創出しているか」という観点から、業務プロセスを一から再構築していくという非常に大胆な営みを指します。

簡単な例を示すと、マニュアルの作成や会議資料の簡素化などが業務改善にあたり、自社で運営していたコールセンターをやめ、問い合わせ対応を自動チャットボットに切り替えるなどはBPRに該当します。既存の枠組みにおける変化ではなく、その枠組みの必要性から疑うといった抜本的な考え方が、BPRの特徴といえるでしょう。そのためBPRを実行する際は、経営陣も関わるような事例も少なくありません。

BPRを進めることのメリット

抜本的な改革と聞くと、取り組みに対して及び腰になってしまう方も多いでしょう。ここからは、自社でBPRを進める主なメリットについて解説していきます。

生産性を高めることができる

BPRの主なメリットとしてまず挙げられるのが、生産性の向上です。

BPRは「顧客へのサービス提供にあたり、その業務は付加価値を生み出しているか」「その業務があることで、顧客がよりよい体験や価値を享受できるか」という視点に立つことからスタートします。そのため、正しく進めていけば、必然的に大幅な業務効率化を図れます。

そして、不要な業務に割かれていた人員などのリソースを、より強化したい領域に再配分するといった組織の見直しが可能となり、最終的には会社全体として生産性の向上につながっていきます。

従業員 / 顧客満足度を改善することができる

もうひとつのメリットは、従業員満足度(ES)と顧客満足度(CS)の両方を高められる点です。

繰り返しになりますが、BPRは「顧客への価値提供」を念頭に置いて行うものです。そのため、BPRを実行することで生産性が上がり、結果としてそのメリットは顧客にも還元されます。企業が優れた価値や体験を顧客に提供できれば、顧客満足度は当然上昇していきます。顧客満足度が上昇すると、一度購入した顧客がリピーターになったり、口コミなどで自社サービスの認知度が増して新規顧客の増加につながったりと、企業の業績向上にもプラスの影響がもたらされます。そして業績が向上すれば、従業員の満足度も上昇していくでしょう。このように、顧客への価値提供を軸とした好循環の構築が期待できます。

また、従業員満足度の観点からすると、BPRにより業務が効率化されれば、それだけで負担が減るという点で従業員に喜ばれますし、人員の再配置などで従業員の新規スキル獲得が見込めるケースもあります。こうした側面があることも、BPRのメリットとして押さえておくべきでしょう。

BPRを成功させるためのポイント

では、実際にBPRに取り組む場合、どのようなことに気をつければよいのでしょうか。以下では、BPRを成功に導くうえで重要なポイントをご紹介します。

目的・目標設定から経営層が関与して進める

1つ目のポイントは、目的・目標設定の段階から経営層が積極的に関与し、プロジェクトを推進していくことです。

BPRは最終的に顧客への価値提供につながるため、企業戦略に則った目標や目的を設定する必要があります。経営層が、企業戦略と絡めてどのような課題点があるかをしっかり検討しながらも、トップダウンの一方的な施策にならないよう、さまざまな部門の担当者から課題点をヒアリングし、全社として推進していくことも重要です。そして、この目標設定のフェーズで、どの業務にフォーカスして改革を行うのかといったこともしっかり決めておくようにしましょう。

具体的に「どの業務に対して」「どういう目的意識のもとで」BPRを実行していくのかという部分が、経営層も含めた全社共通の認識になっている状態が出来上がれば、最初のステップはクリアです。

現状分析や課題把握をしてから取り組む

2つ目のポイントは、取り組む前に現状分析や課題把握を適切に行うことです。

「ヒアリングをもとに、業務プロセスの中で課題がありそうな部分はおおよそわかった」というだけの状態で闇雲に進めても、なかなか事はうまく運びません。分析手法などを用いて、どのプロセスに課題があるのかを明確に洗い出すことで、その課題に対する適切なアプローチを検討でき、BPRの成功につながるのです。なお、ここでいう分析手法には、たとえば以下のようなものがあります。

  • ABC(活動基準原価計算)
    「1回あたりどの程度の費用がかかるか」「1回あたりどの程度の時間がかかるか」「それが何回繰り返されるか」という3つの基準を掛け合わせて原価計算をする手法
  • BSC(バランススコアカード)
    BPRの戦略を「財務」「顧客」「内部プロセス」「学習と成長」という4つの観点から多面的に評価する手法

方針策定やプロセス設計をおこなう

3つ目のポイントは、方針の策定やプロセスの設計を行うことです。

前項まででしっかり目的意識をもち、課題の洗い出しに成功していれば、そこであらわになった課題に対し、どのような解決のアプローチができるかを検討しましょう。インターネットなどで他社事例をリサーチするのもよいですが、とにかく課題に対してプロジェクトのメンバー全員で考えきることが大切です。

その際、課題解決のアプローチとして、改善後の業務が属人化しないように「標準化」「自動化」ができないか検討したり、そもそも自社でやるべきなのかという観点から、「外部委託」はできないかなど大胆に発想を切り替えたりしてみましょう。この設計こそがBPRの結果を大きく左右する部分です。

手法について理解・検討する

4つ目のポイントは、手法についての理解を深めることです。BPRの実行に際しては、どのような手法があるのか理解しておくことが重要です。BPRの推進手法にはいくつか選択肢がありますが、ここでは「EPR」と「BPO」について簡単に触れておきます。

ERP

ERPとは「Enterprise Resource Planning」の略で、一般に「統合基幹業務システム」と呼ばれるものです。予算や人員、物品の在庫といった情報を一元管理できるため、これを導入することで業務のさまざまな側面の可視化が可能になります。業務の可視化が幅広くできれば、課題の洗い出しやそれに対するアプローチの検討も捗るでしょう。ただし、システムによっては多額の管理費用がかかる可能性もあるため、注意が必要です。

BPO

BPOは「Business Process Outsourcing」の略で、業務を丸ごと外部へ委託する方法を指します。外注という意味では、一般的に使われる「アウトソーシング」と共通しますが、両者の決定的な違いはその恒常性にあります。

アウトソーシングは一時的に作業を外注するような意図で用いられることが多い一方、BPOは特定の業務を完全に自社から切り離し、恒常的に外部委託することを指します。よく大手企業のコールセンターなどで、この手法が取り入れられています。

BPOの対象業務については、今後の人員配置も検討する必要がないため、自社の貴重な人材をコア事業に投入できるメリットがあります。反面、その業務上のナレッジが基本的には自社に蓄積されなくなる点には注意しておきましょう。

実施後はモニタリング・評価する

5つ目のポイントは、実施後に必ずモニタリングや評価を行うことです。どのような取り組みもそうですが、最終的にどのような結果が得られたのかを定量的・定性的に振り返りましょう。どのような点が自社にプラスになったか、継続検討すべき課題があるかなどを振り返り、PDCAのサイクルに沿って改善を続けていくことが理想です。

まとめ

BPRは業務改善と比べ、顧客への価値提供に主眼を置いた、より抜本的な業務改革の取り組みを指します。実行に際しては、業務の可視化や課題の抽出が欠かせませんが、これらはワークマネジメントツール「Asana」を活用することで効率化できます。

Asanaは組織のプロジェクト・タスクの一元管理を実現し、業務の可視化・集約に資するツールです。プロジェクトにおけるボトルネックの発見や、業務負荷が大きいプロセスの洗い出しにも役立つため、ぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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