企業がレジリエンスが必要な理由や構築のポイントを解説

 2021.06.29  2022.09.05

変化が激しい昨今では、「レジリエンス」の仕組みを企業経営に導入することが強く求められます。しかし、ほとんどの企業では、レジリエンスの仕組みを自社に導入できていないのが現状です。そこで本記事では、企業に求められるレジリエンスの概念や、レジリエンスを導入するポイントについて詳しく解説します。

企業がレジリエンスが必要な理由や構築のポイントを解説

企業に求められるレジリエンスとは

「レジリエンス(resilience)」とは、日本語で「回復力」を意味します。本来は物理学の領域でよく使われていた言葉で、「反発力」や「弾力性」などの意味で使われていました。そこから転じて、現在のビジネス用語では、「困難な状況でも高い柔軟性を発揮し、かつ肯定的に課題解決に迎えるような企業の対応能力」を指すようになったのです。

レジリエンスは、企業全体の体質としてももちろん大切ですが、企業の構成員である従業員個人の資質としても重要な特性です。とりわけ、現在の世界が見舞われているコロナ禍のように、不確実性が目の前を覆っているような状況下において、企業やその従業員がレジリエンスを高めることが求められています。

企業にレジリエンスが求められる理由

以下では、なぜ企業にレジリエンスが求められているのか、その理由についてさらに詳しく解説していきます。

予測不能なリスクにも対処可能

企業にレジリエンスが求められる理由としては、まずレジリエンスを高めることにより、予測不能なリスクにも対処可能となることが挙げられます。

現在の世界情勢は、予測困難な「不確実性」が高まった状況下にあると言われています。新型コロナウイルスの世界的流行をはじめ、米中貿易摩擦などに代表される各国の保護主義的動向や、地政学的リスク、頻発する自然災害など、さまざまな不確実性が国際社会を覆い、国も企業も手探りで進路を探っているのが現状です。しかも、この不確実性は一過的なものではなく、新しい常態、つまり「ニューノーマル」であると見る傾向すらあります。

企業に今、レジリエンスが特に求められているのは、このように予測不可能な不確実性が世界中で蔓延していることを反映してのことです。コロナ禍により出勤や対面営業などの自粛が政府から要請されたように、従来の経済活動は半ば制限されており、それがいつ終わるのかもわかりません。このような状況下で、次々と現れる課題に迅速かつ適切に対応し、組織の競争力を損なうことなく経営活動をしてくためには、レジリエンスが不可欠です。

危機対応能力に長けた組織は、あらゆる状況においてポジティブな結果を出しやすいと言われています。レジリエンスを高めることは、企業を真に強い組織へと成長させることを意味するのです。

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組織の強化

上記でも触れましたが、レジリエンスを高めることは組織の強化に直結します。

例えば日本人は、外国人と比べると自己肯定感が低く、自信を持った大胆な意思決定をためらう傾向にあるとされています。実際、平成27年に文部科学省が高校生を対象として行った調査「日本の子どもたちの自己肯定感が低い現状について」にて、「自分には人並みの能力がある」という問いに対し肯定的に回答した人は、わずか55.7%でした。一方「自分はダメな人間だと思うことがある」と答えた高校生は、72.5%にも上っています。この自尊感情の低さは、中国・韓国・アメリカなどの国と比較しても非常に顕著です。

このような自尊感情の低さに反して、2018年に行われたOECD加盟国による国際的な学力調査では、日本は未だ平均以上の得点をキープしています。日本人はもはや、約3人に2人が「根拠なき自信のなさ」を抱えているという、憂慮すべき状況にあると言えます。

このように根本的な部分で自分に自信を持てない人間が、自己主張を強くしていかなければならない、熾烈なグローバル競争の中で戦っていけるでしょうか。海外企業も含めた競合他社との競争を生き抜くためには、レジリエンスを高めてポジティブに物事を捉えることが欠かせません。失敗してもめげずに課題に取り組めるような、主体性ある従業員を育てていくことが、企業にとって重要な課題でしょう。

目標達成力や課題解決力の向上

レジリエンスの高さは、企業ないし従業員の目標達成力や課題解決力の向上にもつながります。

レジリエンスは、従業員個人の精神的資質と見た場合、困難な状況でもめげずに問題解決に取り組む、いわば「ストレス耐性」を一面で表していると考えられます。常に変化や競争に晒されるビジネスシーンにおいては、困難な状況でも常に取り組む姿勢が大事であることは明白でしょう。

難しい仕事に当たっても、粘り強く柔軟に対応できる従業員が増えることで、企業はそれだけ成功しやすくなり、組織の維持もしやすくなります。従業員のレジリエンスを高めることは、従業員個人と企業全体の目標達成力を高めることにもつながるのです。

企業にレジリエンス経営の仕組みを導入するポイント

では、企業がレジリエンスを高めた経営を行うためには、どのような仕組みを導入すればよいのでしょうか。そのポイントについて解説していきます。

リスクに対応できる全社戦略

レジリエンスを企業に導入する際は、常日頃からリスクに対応できる企業戦略を練っておくことが大切です。不確実性が高まっている今の情勢において、単一のプランがいつまでも通用する保証はありません。つまり、リスクが顕在化したときでさえも対応し、企業が持続的に成長していけるような、柔軟性を持った経営計画を策定することが重要となります。

このように長期的に物事を捉え、考えうる可能性に備えるプランニングを「シナリオプランニング」と呼びます。リスクマネージメントに優れたレジリエンス経営を導入するためには、このシナリオプランニングを有効活用する必要があります。

組織のブランドと独自性の創出

レジリエンスを高めるには、組織のブランドと独自性を創出することが不可欠です。たとえ社会的状況など、外的な要因に変化が生じたとしても、ほかにはない自社の強みなど差別化されたブランドや独自性があれば、組織として生存しやすくなります。

つまり、取引企業や消費者にとって、唯一無二の代えの効かない存在になることが、企業のレジリエンスを高めるうえで重要です。これができていれば、仮に強力な競合他社が出現したとしても、並大抵では負けません。

もちろん、こうした独自ブランドの創成は、どの企業にとっても容易なことではないでしょう。しかし、だからこそ企業は自社のブランドを高めることに、日頃から長期的に取り組む必要があるのです。

環境への調和

東京商工リサーチの調査によると、2020年の倒産企業の平均寿命は23.3年であると報告されています。老舗企業は少子高齢化による働き手不足という課題を抱え、片や新興企業は財政基盤の脆弱さから、コロナ禍などの社会的情勢の変化に対応しきれず倒産に追い込まれるケースが目立った、と同調査では報告されています。

社会情勢の変化が激化する中、事前に立てたプランニングだけでは対応できないことも起こり得るでしょう。そうした状況下に置かれてもなお、企業が生き残っていくためには、新たな環境に都度柔軟に対応し、調和していく力が求められます。レジリエンスの本質とは、まさにこの環境への調和力、「環境適応能力」にこそあると言えるでしょう。

まとめ

本記事では、企業が求められている「レジリエンス」の重要性について解説しました。社会の不確実性が高まる中、企業が困難な状況下でも持続的に成長していくためには、レジリエンスの向上が欠かせません。そして、レジリエンスを高めるには、自社の現状を分析したうえで、長期的なシナリオプランニングを行うことが重要です。

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