社内で大きなプロジェクトが発生した場合、皆さんは課題管理表を作成していますか。課題管理表は、プロジェクトを円滑に進めるために必須といっても過言ではないほどのツールです。本記事では、課題管理表が必要とされる理由や、どのように作成・運用するのかについて詳しく解説します。課題管理への理解を深めたい方は、ぜひ参考にしてください。
課題管理表とは
課題管理表とは、組織のプロジェクトなどで課題管理に用いられる表を指します。具体的な項目例は後述しますが、現状発生している課題や今後発生しうる課題と、それらに対する打ち手の詳細を記載する、プロジェクトを円滑に進めるための羅針盤のようなものと理解しておくとよいでしょう。
顕在・潜在問わず課題とその解決策を可視化できるため、組織のメンバーがそれぞれこの表を用いることで、先んじて行動し課題を解決したり、回避したりできるなどの利点があり、何かプロジェクトを始めるときにはぜひ活用したいツールです。Excelのような表計算ソフトやプロジェクト管理ツールを用いて作成するのが一般的です。課題管理表を作成する理由
前項でも少し触れましたが、プロジェクトの運営に課題管理表の作成が推奨される理由はいくつかあり、主に以下のようなものが挙げられます。
- 組織/チーム内の連携強化
- 必要なタスクの把握
- 各種ノウハウの蓄積
チームの連携
課題管理表を作成することで、このプロジェクトにはどういった課題があるのか、それに対してどのような検討を進めているのか、それぞれの課題を誰が抱えているのか、といった情報をチームメンバー全員が一目で把握できるようになります。これにより、チーム内の情報共有や共通認識のすり合わせが非常に容易となります。
加えて、課題に対する打ち手の検討が深まりきっていない項目や、一定期間目立った更新がない項目があれば、それを見たメンバーが進捗の把握などを行い、必要に応じてサポートを提供する、といった連携もスムーズに進みます。互いに情報共有しやすいということは、互いの様子がすぐにわかるということであり、これによってチーム内の協力姿勢が醸成されやすくなります。必要タスクの把握
チーム内での情報共有や連携といった観点と非常に近いですが、課題管理表によってタスクが明確になるため、自身やチームが起こすべき具体的なアクションについて意識しやすくなります。また、管理表によって記載されている課題が、現状どの程度解決されているのかを把握できるため、プロジェクト全体の進捗の把握も容易です。
個々人がタスクやプロジェクト全体の進捗を把握・理解できるようになれば、チームにより自発的な動きを促すことにつながり、さらなるプロジェクト遂行の円滑化が望めます。ノウハウの蓄積
ノウハウの蓄積は、課題管理表を作成し正しく運用することで得られる大きなメリットです。課題管理表には、どのような打ち手が検討され、どの手法を採用したのかという情報や、実際に課題解決に着手した期間などが記されます。そのため、非常に価値の高い情報が詰まりやすくなっています。したがって、以降のプロジェクトで「この課題にはどのように対処すればよいのだろうか」という疑問が出てきた際に、過去の対応を参照できる貴重な資料になるのです。
課題管理表の項目例
では、実際に課題管理表を作成する場合、どのような項目が必要になるのでしょうか。必要になる項目は、大きく分けて以下の3つです。
- 課題に関する項目
- 課題への対応に関する項目
- 課題への対応状況に関する項目
課題に関する項目
課題に関する項目は、文字通り課題の詳細を把握するために必要な項目です。以下のような項目を設定しましょう。
- 課題番号
管理表上で通し番号を振っておきましょう。会議などで「課題管理表の何番の課題が~」と、スムーズに議論を進めることができます。
- 課題タイトル
課題の内容を簡潔に表すタイトルをつけることで、どのような課題があるのかを一目で捉えやすくなります。また、個人が自身に関係ある課題かどうかを判断する助けにもなります。
- 課題の詳細
チーム内の他メンバーが読んでも内容がわかるよう、客観的な視点で課題の背景や内容の詳細を記載します。課題の内容を正しく把握することで、効果的な打ち手の検討が可能になります。
- 発生日
その課題がいつ発生したのか、あるいは発生しうるのかを記載しましょう。タスク・プロジェクト管理の際に、時系列がはっきりしていることは非常に重要です。
対応に関する項目
課題への対応に関しては、以下のような項目が例に挙げられます。
- 対応担当者
その課題に対して、中心的に動く人物は誰なのかを明確化するために必要です。プロジェクトの内容やチームの運営体制にもよりますが、正担当と副担当を設けておくとよいでしょう。「課題管理表に名前がないから気にかけない」という思考に陥りがちな人も多いため、担当を1人しかつけない場合、進捗が遅れた際のフォローが及ばない可能性があります。責任を1人に押しつけるのではなく、チーム内で協力して遂行していくという意味も込めて、2人以上の担当をつけておくのが理想です。
- 対応策
課題に対する対応策を具体的に記載しましょう。これにより、担当者の取るべきアクションが明確になります。
- 対応期限
その課題への対応をいつまでに完了すべきか、という期限を記載しましょう。プロジェクトの状況にもよりますが、すべての課題に対して真の期限を記載すると、進捗が遅れた場合のリカバリーが全くきかないことになるため、できれば少し余裕をもって各課題への期限を設けておくのがよいでしょう。
- 対応優先度
各課題の優先度を明確にすることで、各担当者がどのタスクから着手すればよいかが明確になり、プロジェクト全体が円滑に進みやすくなります。
状況に関する項目
課題への対応の状況に関する項目とは、実際にその対応がどの程度進んでいるのかを視覚化するための項目です。具体的には、以下のような項目が例に挙げられます。
- 対応ステータス
その課題の解消に対して、着手したのか、未着手なのか、完了したのかをはっきりさせておきましょう。未着手でステータス設定されている案件があれば、忘れているのか、時間がなくできていないのかなど、他メンバーからのフォローが入りやすくなります。
- 進捗の詳細
ステータス項目が着手済みであっても、具体的な進捗状況まではわかりません。そのため、進捗を記載する項目は必ず設定しましょう。
課題管理表作成・運用のポイント
課題管理表に記載する項目を理解しただけでは、よい課題管理はできません。課題管理表の作成や運用にあたってのポイントがいくつかあるため、それらを理解したうえで実際の活用に移りましょう。
優先順位を意識する
課題の優先順位を意識するためには、課題管理表の項目に重要度や緊急度を設定しておく必要があります。1人が対応する課題は、常にひとつとは限りません。複数の課題を進行する場合、それぞれに優先順位をつけて対応する必要があります。その際、何に基づいて優先順位を決めるかというと、課題の重要度や緊急度です。そのため、管理表にこれらの項目が記載されていれば素早く行動に移せます。
記載や更新漏れに気を付ける
当然のことながら、課題管理表に記載漏れがあってはなりません。課題がきちんと網羅できているのか、という点でチェックを行うようにしましょう。また、課題管理表を作って終わりではなく、適切に運用される環境が重要です。日々新たに課題が発生することもあれば、課題への対応が進むこともあるため、そうした細かい情報の更新漏れがないように、毎日記載の時間を設けるなどの工夫を取り入れてください。課題管理表は将来的に貴重な参考資料になりうるため、その点も意識して作成・活用しましょう。
共有を忘れない
課題管理表は、組織やチーム単位での活用が前提のツールです。したがって、課題管理表の共有を忘れないようにしましょう。稀に作成した管理表が、権限の問題で一部の内容しか表示されなかったり、特定の人物のみに公開されていたりするケースがあります。そうした事態にならないよう、プロジェクトに関わる全員が制約なく見られる環境を整えることは必須条件です。
まとめ
課題管理表はプロジェクト運営において重要なツールですが、記載項目や押さえておくべきポイントが多く、初めて作成する際は戸惑ってしまうかもしれません。そこでおすすめなのが、ワークマネジメントツール「Asana」の導入です。
「Asana」は社内の多岐にわたるプロジェクトや、それに紐づくタスクの効率的な管理を実現するツールです。チームごとのタスクをリスト化したり、それらを時系列でプロットしタイムラインとして見やすく表示したりと、マネジメントが容易になる仕組みが整っています。また、日々のルーティン業務の自動化や、さまざまなビジネス系アプリケーションとの連携も可能であるため、仕事の効率化にも大きく寄与するでしょう。
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