業務を円滑に進めるには、適切な頻度で進捗報告を行わなくてはなりません。進捗報告を疎かにしてしまうと、マネジメントが現状を正確に把握できず、スケジュールの遅延が発生するおそれもあります。本記事では、進捗報告の重要性や正しい報告のポイントなどについて解説します。
進捗報告とは
「進捗報告」とは、業務がどれくらい進んでいるのか、もしくは遅れているのかなど、状況をマネジメント担当者に報告することです。チームで進めているプロジェクトや、個人に割り振られたタスクなどが対象です。
しばしば「進捗管理」と混同されやすいのですが、こちらはマネジメントを担う側の仕事です。報告を受けた内容に目を通し、現状を把握したうえで納期の調整、人員の割り振りなどを行います。
マネジメントに伝える際は、口頭やメールのほか、日報が用いられるケースも少なくありません。「〇〇の作業まで完了しました」と伝えるようなこともあれば、「進捗率〇〇%」のように数値を用いて報告することもあります。
進捗報告の重要性
ビジネスでは進捗報告が重要だといわれていますが、なぜなのかご存じでしょうか。業務の現状をきちんと把握し、必要に応じて軌道修正をするために進捗報告は必要です。以下で詳しく見ていきましょう。
現在の進捗状況を把握
そもそも進捗報告とは、現在の進捗を把握するために行われるものです。仕事の進み具合を把握できていないと、マネジメントが管理できず、スケジュールの遅延を招くおそれがあります。このような事態を回避すべく、現状を正確に伝える必要があるのです。
現状を正確に把握できれば、問題の早期発見にもつながります。問題が顕在化する前に適切な対処を講じられるため、トラブルを回避できるのです。
また、従業員のモチベーションを維持する目的もあります。業務の進み具合を現場の人間が把握できれば、常にゴールを意識しつつ仕事に取り組めます。「今日はここまで進んだから、あと〇日で完了する」といった具合にゴールを意識できるため、モチベーションを高く保って業務に臨めるのです。
未来に向けての軌道修正
未来に向けた軌道修正を目的としても行われます。報告された内容から、「プロジェクトが計画通り進んでいない」「遅延する可能性が高い」などの問題が認められたときに、適切な対処を行えます。
たとえば、当初の計画通りにプロジェクトが進んでいない場合は、納期の調整が必要です。また、必要に応じて人員を増やしたり、より高いスキルをもつ人材を投入したりといった手も打たなくてはなりません。このような対処をするには、報告から現状を正確に把握する必要があります。
スケジュールの遅延が生じると、人的コストが増大し、機会損失も発生します。連携するほかのプロジェクトにも影響を与えてしまい、大きな損失を出してしまうかもしれません。早めに現状を把握し軌道修正できれば、このような事態を回避できます。
進捗報告における4つのポイント
報告を行うにあたっては、業務の進みや遅れを結果から正確に伝え、スケジュールを可視化しましょう。課題を抽出するだけでなく対策も併せて報告し、相談したいことがあれば具体的な内容を記載するのもポイントです。
進捗状況
報告を受けるマネジメントにもわかりやすいよう、内容をまとめることが大切です。プロジェクト全体ではなく、個々のタスクごとに細分化し、箇条書きにするなどしてわかりやすく伝えましょう。
また、結果から伝えるのもポイントです。余計な前置きを記載してしまうと、もっとも重要な部分がぼやけてしまい、読み手に伝わらない可能性があります。一番伝えたいことを最初に記載し、必要に応じて経緯や詳細を書き足すとわかりやすいでしょう。
そのほか、業務で生じたミスやトラブル、遅れなども隠さずに伝える必要があります。これらの情報に基づき、マネジメントは軌道修正が必要かどうかの判断をします。叱られるかもしれないからといって、ネガティブなことを隠してしまうのはNGです。
スケジュール
どの程度タスクが進んでいるのか、いつまでに終わりそうなのかといった情報を、言葉では伝えきれないことがあります。このようなときは、表にして可視化するのがおすすめです。
ひとつの方法として、抽出したタスクのガントチャート化が挙げられます。ガントチャートに展開すれば、タスクの進捗を正確に把握でき、当初のスケジュールに沿って進んでいるかどうかも一目でわかります。
課題と対策
現状の課題を羅列するのではなく、併せて対策も記載しましょう。マネジメントの立場からすると、課題だけを報告されても困ってしまいます。いくつもの問題が上がってくると、すべての解決策をマネジメントが考えなくてはならなくなり、業務負担が大きくなってしまうのです。
また、これは自身の評価にも関わってきます。課題への適切な対策まで考えられると、問題解決力が高いと認識してもらえ、好印象を与えられる可能性が高いのです。ベストな解決策が見出せなければ、どのような解決手段が考えられるのかを提案しましょう。
相談事項
マネジメントに求めることがあるのなら、相談事項として記載しておきましょう。相談しなかったばかりに「業務が遅れてしまう」「予見できたはずのトラブルを見逃す」といったことが生じる可能性もあります。
マネジメントに求めるアクションは、できるだけ具体的に伝えることが大切です。曖昧な表現をしてしまうと、マネジメントは具体的に何をどうすればよいのか判断できません。「追加タスクの発生により業務が遅延しているため、人員を1人追加してほしい」といった具合に、具体的な要望とその理由を正確に伝えましょう。
進捗報告のやり方
口頭やメール、報告書、タスク管理ツールなどが代表的です。それぞれの方法に違ったメリット・デメリットがあるため、以下で押さえておきましょう。
口頭
マネジメントの担当者に対し、直接口頭で伝える方法です。これといった準備が必要なく、緊急時にもすぐ報告できるのがメリットです。普段は紙やメールで報告しているケースでも、緊急度が高いときにはあらかじめ電話や対面で状況を伝えておくと、スムーズに対処してもらえます。
一方、言葉だけではすべての状況を正確に伝えきれないのがデメリットです。頭の中で要件をまとめて伝えるため、漏れが生じるおそれがあります。特に語彙力や説明力が乏しい方の場合、状況をうまく伝えきれず、認識違いが生じるかもしれません。
また、マネジメントの都合に配慮しなければならないのもデメリットといえるでしょう。会議や商談中には報告できず、タイミングを見計らわなくてはなりません。そのため、報告が遅れてしまう可能性があります。
メール・報告書
メールや報告書など、文面で伝える手法です。要件をきちんとまとめて報告できるうえ、チームメンバー間の情報共有も容易です。わざわざ担当者を探す必要がなく、内容を記録として残せるのもメリットです。
一方で、メールの書き方によっては要点がわかりにくくなり、伝えたいことが伝わらない可能性があります。また、報告書を用いる場合はフォーマットの起案や作成を要するため、手間と時間がかかるのもネックです。
タスク管理ツール
タスク管理ツールは、進捗状況の可視化ができるため、状況を正確に伝えやすいのがメリットです。管理業務にも活用でき、チームメンバーで情報共有も行えます。オンライン上で報告・管理できるため、時間の短縮も実現できます。
デメリットとしては、手間とコストの発生が挙げられます。また、ツールによっては操作が難しいものもあるため、運用までに時間がかかってしまうかもしれません。導入に際して業務フローも大きく変化するので、従来のフローの見直しや改善が求められるでしょう。
まとめ
進捗報告には、目標達成への舵取りやプロジェクトの健全性を評価するなど、重要な目的があります。正しいポイントを踏まえ、自社や業務にマッチした手法で報告を行いましょう。
タスク管理ツール「Asana」を活用すれば、チームメンバーと容易に情報共有が可能です。マネジメントも状況をオンラインで確認でき、コミュニケーション機能を用いて適時指示を出せます。報告の質を落とさず頻度だけ減らせるため、生産性向上にもつながります。この機会にぜひ、導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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