業務量を平準化するための手法とは

 2024.08.19  ワークマネジメント オンライン編集部

特定の社員や時期に業務が偏っていると、イレギュラーが発生した際、業務が滞るおそれがあります。そうした兆候が見られる場合は、すぐに業務および業務量を平準化する必要があります。そこで本記事では、業務平準化の具体的な手法や、平準化に役立つツールなどについてご紹介します。企業課題の解決に向けて業務平準化を目指している方は、ぜひ参考にしてください。

業務量を平準化するための手法とは

業務平準化とは

「業務平準化」とは、ある一定の時期や社員に集中して偏りが出ている業務を、できる限り均一にすることをいいます。業務および業務量が一点に集中している状態は、人的リソースを有効に活かしきれていないことを示すため、速やかな改善が求められます。業務平準化を行うことで、リソースを最適化し、会社全体の生産性の向上が期待できるでしょう。

業務平準化ができていない場合のデメリット

業務・業務量の平準化ができていない場合というのは、たとえば「〇〇に関する業務は、〇〇さんでないと進められない」「〇〇さんは業務量が多いのに、△△さんは手持ち無沙汰になっている」「顧客から問い合わせがあったが、担当でないため答えられない」といった状態です。このような状況には、さまざまなデメリットがあります。

まず、特定の社員しか業務を進められない状況を「業務の属人化」といいますが、この属人化が起こると、担当社員の不在時に業務が滞ってしまい、全体的な工程が遅れたり、現場が混乱したりするなどのトラブルが発生します。

当の担当社員も、「自分が休むと業務がまわらない」という責任感から休暇を取りにくくなり、長期的に不満を溜め込んでしまう可能性が高まるでしょう。「自分は忙しいのに、〇〇さんは余裕がありそうだ」といった具合に、社員同士の分断にもつながりかねません。人件費の観点からしても、特定の社員に集中して残業代が支払われるような状況は非合理的です。

また、特定の社員に業務が集中してしまうと、その業務がいわゆる「ブラックボックス」になるおそれもあります。誰も指摘しないまま非効率な作業が続けられたり、ミスを隠ぺいしてリーガル的な問題に発展したりする場合もあるので、業務のブラックボックス化には注意が必要です。

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業務量を平準化するための主な手法

では、業務平準化とは具体的にどのようにして行えばよいのでしょうか。以下では、業務・業務量を平準化する主な手法について解説します。

マニュアルの作成

業務平準化においては、まず一連の業務に関するマニュアルの作成が基本です。業務に関する一連の流れと手順を棚卸しして、誰にでもわかるように可視化しましょう。日々のルーチンワークはもちろん、イレギュラーな業務も同様です。考え得る限りすべての業務を洗い出し、その過程で各プロセスにて発生している「ムリ・ムダ・ムラ」を抽出すると、より洗練されたワークフローを構築できます。

その後、一連のマニュアルを作成して、それさえ見れば誰でも作業を行えるようにしておきましょう。そうして属人化を避けておけば、メインでその業務を担当している社員が不在・休暇などの場合、あるいは離職した場合でも、スムーズに引き継ぎを行えます。

また、日本では「人に仕事をつける」という方式が広く採用されていますが、「仕事に人をつける」という方式を採用するのも、属人化を避けるためには有効です。マニュアルを作成する過程で、特定の社員だけが多岐にわたる作業を行っていると判明した場合、その作業を特定の社員からいったん切り離し、別の社員にアサインするのがよいでしょう。そうすることで、業務量の偏りの是正につながります。

マニュアルの作成後は、それに沿って実際に作業を行い、マニュアルに不備がないか、マニュアルは補足なしでも機能するかなどをよくチェックしておきましょう。

スモールスタート

「スモールスタート」とは、小さい範囲から取り組みをスタートさせ、軌道修正を随時行いながら、少しずつ対象の範囲を広げていくことです。スモールスタートに努めることで、取り組みにおけるリスクを最小限にとどめられます。スピード感を持って業務平準化のプロジェクトに取り組めるというメリットもあるでしょう。

範囲を広げる際も、スモールスタートによって得られたナレッジ・課題点などを共有しながら、スムーズに進められます。

業務量の調査

業務平準化のためには、社員それぞれの業務量を調査することも大切です。それにより、作業配分や人員配置のどこにムリ・ムダ・ムラがあるのかを把握できます。

また業務量の調査は、それぞれの作業の適正な所要時間やコストを算出するうえでも役立ちます。一人ひとりの業務をしっかりと把握することは、特定社員への業務の偏りを解消する第一歩といえるでしょう。加えて繁忙期・閑散期の業務量も把握しておけば、人的リソースを最大限活かすことにもつながります。

業務量を可視化する方法としては、データ・数字などを直接的に観測する「実測法」、業務量を自己申告してもらう「実績記入法」、勤務時間から逆算して業務量を調べる「推定比率法」などがあります。どの調べ方が適しているかは作業によるため、場合によっては複数の方法を組み合わせるなどしながら、ベストな調べ方を検討してください。

PDCAサイクルを回す

マニュアルを整備しスモールスタートしたあとは、「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」からなるPDCAサイクルを継続的に回して、取り組みを軌道に乗せていきましょう。

ただし、PDCAは約70年前から存在する優れた手法ですが、一方でガラパゴス化しやすいという側面もあります。定期的に社員・顧客の意見を聞き取り、よりよい方法はないか、新たな偏りは生じていないかなどをチェックしながら進めてください。

まとめ

業務・業務量を平準化することは、業務の属人化を回避するだけでなく、会社全体の生産性を向上するうえでも重要です。

業務平準化のためには、まず人員配置と作業配分のどこにムリ・ムラ・ムダがあるのかを調べ、業務に関する一連の流れを可視化し、適切なマニュアルを作成しましょう。そしてPDCAサイクルを回しながら、スモールスタートで少しずつ平準化を進めていくことが大切です。ただし、PDCAサイクルを回すことに固執するのはあまりよくありません。社員・顧客の声を聞きながら、新たな偏りが出ないかを常に探り、偏りの芽を見つけ次第摘んでいきましょう。

また、業務平準化に取り組む際は、併せてワークマネジメントツール「Asana」の導入もおすすめです。これにより一連の業務プロセスがすべて可視化されるため、業務の属人化を避けつつ最適なリソースの配分が可能です。生産性の向上にも大きく資するツールなので、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

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