1日の業務が終わったタイミングで、「営業日報」の提出を義務づけている企業は少なくありません。ただ、現場のチームリーダーや企業経営者の中にも、営業日報の意味やメリットを正しく理解できていない方は意外と多いようです。そこで本記事では、営業日報の目的や効果、今後に役立つ日報の書き方などについて解説します。
営業日報の概要を説明
「営業日報」とは、営業活動における成果や気づきなどを報告するための文書で、「営業報告書」とも呼ばれています。作り方や書き方は企業によって異なり、メールやオフィスツールを利用するケースもあれば、専用の用紙に記入し提出するところもあります。
営業日報に記載する内容は、主にその日の活動内容や成果、気づいたこと、反省点、改善点などです。また、業務に費やした時間や担当者の所感などを記入することもあり、業種や職種によって内容はさまざまです。
近年ではテレワークが普及したこともあり、ビジネスチャットやグループウェアを利用する企業も増えました。テレワークへの移行に伴いペーパーレス化し、従来の紙媒体による日報を取りやめる企業も増えているようです。
一方で、すっかり形骸化してしまった日報の目的やメリットを再確認し、ビジネスに活かしたいと考える企業も増えています。もし、現状で何となく日報を作成しているのなら、この機会に目的やメリットについて再確認してみることをおすすめします。次項からは、営業日報の目的とメリットについて詳しく解説していきます。
営業日報の目的とメリット
営業日報の目的とメリットは、立場によって変わります。「現場の報告者」「上司やチームリーダーなど報告を受ける者」「経営者」の3つの立場により、それぞれ異なることを前提として理解しておきましょう。以下、日報の必要性や目的、メリットなどを3者それぞれの立場から解説します。
報告者自身にとって
日報には、その日の活動内容だけでなく、気づいたことや改善すべき点なども記載します。そのため、今の自分に何が足りていないのか、今後どうするべきなのかを考えるきっかけになるのがメリットです。
現状の自分を正確に把握し、次の目標を立てやすくするのが目的です。自身に足りていないことを客観的に把握できるため、今後何をすべきかを考えられ、目標設定をしやすくなります。
また、自分に足りないことがわかれば、上司や同僚からのアドバイスにも、素直に耳を傾けられるようになるでしょう。成長するチャンスが増え、ビジネスパーソンとしてより高みを目指せます。
報告される側にとって
上司やチームリーダーにとっては、メンバーのスキルやコンディションのチェック・管理が目的です。また、業務が問題なく進んでいるのか、問題は発生していないかなどを確認する目的もあります。
報告を受ける側は、過去の報告内容と照らし合わせ、反省点や改善点がきちんと活かされているかを確認することも大切です。なんとなく目を通すのではなく、過去の気づきが今に活かされているかをチェックしましょう。
上司やチームリーダーとしての視点で日報を書くのもおすすめです。現場とはまた違った視点で日報を書き、情報共有すれば、部下は新たな気づきを得られるかもしれません。
現場を指揮する立場での目標設定や状況分析を記し、情報共有することで、現場に一体感も生み出せるでしょう。方向性や価値観を統一でき、部下のモチベーションアップにもつながります。
企業経営者にとって
企業経営者にとっての日報は、現場や従業員の状況などを正確に把握するためにあります。基本的に経営者は現場に出ないケースが多いため、状況を正確に把握できません。現場の声や状況を把握せず、経営者としての視点のみで組織運営をしてしまうと、現場とのあいだに溝ができてしまうおそれがあります。
現場の状況がわからないと、無理のある経営方針を打ち出してしまう可能性もあります。現実的ではない方針を打ち出し、現場から反発される可能性もあるでしょう。従業員のモチベーションはもちろん、生産性も低下してしまうおそれがあります。
日報を活用し、現場の声や状況を正確に把握できれば、現状における課題が見えてきます。それらの課題を抽出すれば、適切な対策を打ち出し、現実に即した経営を実現できるでしょう。
効果的な営業日報を書くためには?
日報は、事務作業のように作成しても意味がありません。今後の仕事に役立てるには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。以下、営業日報を活用するためのポイントをまとめました。
営業日報作成の目的を明確に持つ
営業活動における最終的な目的は、商談を成功させコンバージョンにつなげることです。日報作成時には、この目的をしっかりと意識したうえで書く必要があります。
常に目的を意識すれば、その日の営業活動で何が足りなかったのか、なぜ成約に至らなかったのか、といった部分も見えてくるでしょう。今までには見えなかったものを発見でき、成長につながります。自分で自分を評価するように記述してもらえば、より成長につながり、目的の達成にも近づけるでしょう。
テンプレートを活用する
一から営業日報を作成するのは手間がかかります。余計な時間を費やしてしまうため、テンプレートを活用して効率よく作成しましょう。
Excelやスプレッドシートなど、従業員が慣れ親しんだツールで利用できるテンプレートがおすすめです。インターネット上には、Excelやスプレッドシートで利用できる日報のテンプレートが無料で配布されています。中には例文つきのものもあるので、参考になるでしょう。有料のものもありますが、基本的には無料のテンプレートで問題ありません。
そのほか、日報のアプリを利用するのもひとつの手です。スマートフォンで利用でき、提出も簡単です。ひとつの選択肢として覚えておきましょう。
分析とフィードバックを怠らない
部下の成長を促すには、日報に目を通したマネージャーやチームリーダーからのフィードバックが不可欠です。内容にしっかりと目を通し、課題の把握と分析、解決策のフィードバックを行いましょう。
フィードバックは、できるだけ具体的に行うのがポイントです。自身の経験も踏まえた具体的なフィードバックであれば、部下も理解しやすいでしょう。
内容が具体的で、部下の仕事に役立つフィードバックを心がけていれば、営業日報の重要性にも気づいてもらえます。自身の成長につながるヒントを得られると考え、従来よりも丁寧に日報を書いてくれるようになるでしょう。
日報内容をノウハウとして共有する
日報の内容を整理し、メンバー間で共有すれば、能力の統一化を図れます。営業スキルに秀でた従業員のノウハウを共有できるので、新人も短期間で力を身につけ、営業部門全体のベースアップが可能です。
その際は、タスク管理ツールを導入し、日報から吸い上げた情報を共有しつつ営業プランを組むとよいでしょう。タスク管理ツールなら情報共有しやすく、個々のタスク進捗状況も正確に把握できます。
ツール選びにおいては、Excelやスプレッドシートなど、日報作成に使用するツールと連携できるものを選びましょう。また、コミュニケーション機能が充実していれば、活発なやり取りが実現でき、より情報共有がしやすい環境を構築できます。
タスク管理ツールにはさまざまな種類がありますが、特におすすめなのが「Asana」です。導入実績の豊富なツールであり、200を超える外部ツールとの連携も可能です。チームの進捗をリアルタイムで把握できるほか、コミュニケーション機能も充実しています。
まとめ
せっかく営業日報の作成と提出が習慣化しているのなら、ビジネスに活かさない手はありません。従業員の成長を促せるうえ、管理側は部下のスキルや進捗状況などをチェックできます。経営者にとってもメリットは多いため、これを機に営業日報の有効活用に取り組んでみてはいかがでしょうか。
効果的な営業日報とするためには、目的を明確にしたり、テンプレートを活用したりするなどが有効です。今回お伝えした内容を踏まえ、ぜひ一度、自社における日報への取り組み方を見直してみましょう。
- カテゴリ:
- プロジェクト管理