赤字プロジェクトの原因は?対策や改善策について

 2020.05.14  2022.09.05

赤字プロジェクトになる原因を把握しないと、いつまでも赤字から脱却できない可能性があります。この記事では赤字プロジェクトの原因と、その対策や改善策を紹介します。採算面からもプロジェクトを成功させる方法をマスターしましょう。

赤字プロジェクトの原因は?対策や改善策について

なぜ失敗する?赤字プロジェクトの原因と改善策

赤字プロジェクトになってしまう原因にはさまざまなものが考えられます。コスト不十分、要件定義の問題、人選ミスのほかに、管理体制やコミュニケーション不足など、プロジェクトの赤字を招く主な要因について紹介していきます。

予算が足りない

本来、システム開発を開始する前にはベンダー側とユーザー側で十分な意識のすり合わせが必要でます。どのような規模でシステム開発を進めるのか、予算はどのくらいか、出来上がりイメージなど、さまざまな項目について話し合うべきです。しかし、話し合いが十分におこなわれず、お互いの認識をきちんとすり合わせないまま作業を開始してしまうこともあるでしょう。

開発に掛かるコストの提示ができずに作業を開始すると、ユーザーが希望する成果物に見合わない低金額での見積もりとなってしまう可能性があります。結果的に予算が不足し、製品やサービスがユーザーの満足するレベルに達せないこともあるのです。また予算不足は、開発途中で急な仕様変更依頼を安易に受けてしまうことによって生じるケースもあります。これを防ぐためには、作業開始前に双方の認識を合わせること、そして開発途中の仕様変更依頼はコストも考えながら慎重に受けることが必要です。

要件定義に問題がある

要件定義は、システム開発の上で最も重要なポイントといわれています。実装したい機能についてヒアリングし、実現可能性や他の選択肢をユーザー側とベンダー側でしっかり話し合わなくてはいけません。要件定義が曖昧なまま開発に着手すると、設計途中で仕様変更せざるを得なくなり、設計作業の混乱や作業スケジュールの遅延を招く可能性があります。その結果、テスト不足のままで低品質の製品が納品されてしまうおそれもあるのです。ヒアリングによってユーザーからの要求を明確にしつつ、どのような製品を開発できるか提示し、相互理解を深めてから作業に進むようにしましょう。

人員のスキル不足

多くのプロジェクトでは複数名がチームとなって作業を進めていきます。しかしチームメンバーのスキルが不足していると、作業がスムーズに進まず、当初予定していたスケジュールからずれていく場合もあります。作業に不慣れなメンバーばかりだと、全体進行に遅れが出ることは容易に想像できるでしょう。チームに経験豊富なメンバーと経験の少ないメンバーをバランス良く配置し、作業の遅れが生じてもカバーできるような体制を整えることが大切です。また、委託契約の場合、新人のエンジニアが派遣されてくる場合も多いので、参画メンバーの技術力を確認するようにしましょう。

管理体制が整っていない

プロジェクトの進行を指揮するプロジェクトマネージャーのスキルが不足している場合、管理体制が整わず、プロジェクトが失敗することもあります。プロジェクトマネージャーの業務はスケジュールやコストの管理であり、それが適切におこなわれなければプロジェクトの遅延や赤字化を招くのです。もちろんチームメンバーのスキルも重要ですが、上層組織はプロジェクトマネージャーの選定にこそ注意を払わねばなりません。システム開発への深い理解を前提として、管理能力や責任感がある人物を見極める必要があります。

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コミュニケーション不足

プロジェクトメンバー間のコミュニケーション不足は、深刻な問題を招きます。満足なコミュニケーションがおこなわれていないと、プロジェクトの進捗状況が不透明となり、リスク管理にも意識がおよびません。ただ、コミュニケーションといっても、単に作業が「できている」、「できていない」だけを確認するのは、ほとんど意味がないことに注意しましょう。人によって「できている」のニュアンスや進捗率の意味は異なるので、気が付いたときには手遅れになっていることもあるからです。メンバーは具体的な作業内容を挙げながら、それぞれの進捗状況の確認をするといいでしょう。

また、リスク管理については、問題が起きてから慌てるのでは対策に時間を要し、解決が遅れてしまいかねません。このような事態を避けるためにも、起こり得る問題をメンバー間で事前に共有し、トラブルが起きたらすぐに報告して対処するようにしましょう。

コミュニケーションの充実はプロジェクト管理上での基盤となるものであり、プロジェクトマネージャーはそれを心がけて行動しなくてはいけません。メンバーへ積極的に質問をするだけでなく、必要があれば適宜指導をおこなうようにしてください。なお、報告内容の曖昧さを回避するためには、報告のルールを設けたり、報告書のフォーマットを決めたりするのも効果的です。

工数の見積もりが甘い

工数の見積もりの甘さは、作業スケジュールに悪影響を及ぼします。必要な作業日数を確保しなかったり、チームの人数が不足していたりすると、プロジェクトに参加するメンバーの一人一人の作業量が過大なものとなりがちです。結果として、肉体的にも心理的にも負担が掛かってしまうのです。こうなっては作業効率も落ち、スケジュール通りに進まない可能性が出てきます。そうした事態を避けるためにも、作業スケジュールやメンバーの人数は、事前によく検討して組むように心がけましょう。

十分なツールが揃っていない

プロジェクトを効率良く進めるためには、管理ツールの活用が重要となります。こうしたツールを揃えずに作業を進めてしまうと、タスクの抜けが発生するおそれがあるだけでなく、スケジュール管理も個人任せにならざるを得ません。その結果、プロジェクト進行の遅延を招く可能性があります。さらに、複数のプロジェクトに携わるメンバーがいれば、作業内容やスケジュールを混同する危険性もあります。

管理ツールを使えば、そのようなミスの予防や減少が期待できるでしょう。メンバーそれぞれの作業の進捗状況が可視化されるツールもあるので、それを活用すれば全体の作業状況の確認が容易になります。プロジェクトマネージャーも全体を管理でき、指揮をとりやすくなるでしょう。

赤字プロジェクトを防ぐ対策

プロジェクトが失敗する原因は、予算不足やメンバーのスキル不足、コミュニケーション不足など、多種多様です。このような問題を防ぐためには、管理ツールを活用して現状や課題を「見える化」するのが効果的です。たとえば手順の明確化や、明確なプロジェクト推進体制を作るなどの対策をとるとよいでしょう。

管理ツールにはさまざまな種類があり、有料のものだけでなく無料で使えるものもあります。ツールを導入する場合は機能やプロジェクトの規模を踏まえ、自社に合うものを探してください。

メンバー間で進捗状況や課題を共有することにより、作業の効率化が図られます。また、手順の明確化によって、完成までのプロセスが適切に実行されやすくなるのです。さらに、プロジェクト推進体制を整えるために、メンバー個々人の役割や責任分担を明確にしておきましょう。重要な事柄など、伝達すべきことが発生した場合にはリーダーに報告し、リーダーからプロジェクトマネージャーに報告するといった報告体制を決めておくのもおすすめです。

なお、プロジェクトマネージャーが複数の案件を掛け持ちすると、一方の案件で問題が起きた場合、その他の案件管理がおろそかになってしまうおそれもあります。複数案件の管理を一人に任せるのはできるだけ避けたほうがよいでしょう。

また、プロジェクトマネージャーには管理能力やコミュニケーション能力などが問われるので、そのような人材を育てることも企業の役割といえます。

まとめ

プロジェクトが赤字になってしまう原因はさまざまです。しかし、プロジェクトの失敗は管理ツールの活用やプロジェクト推進体制の構築といった対策を講じることで防げるでしょう。この記事で紹介したように、失敗の原因を把握し、適切な対策をとることが大切です。

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