プロジェクトでは社内外多くの関係者が、一つのゴールに向かって動いていきます。プロジェクトの進行を任されると、メンバーをまとめ、同時に結果も出していく責任が生まれますが、どう進めるべきか悩むことも多いのではないでしょうか。本記事では、特に初めてプロジェクトの進行を任された方に向けて、プロジェクトを成功に導くためのポイントを詳しく解説します。
プロジェクトの進行・管理では考えることがいろいろある
何らかの仕事に携わっていると、マネージャーやメンバーとして「プロジェクト」に関わる機会は多いでしょう。プロジェクトを進行あるいは管理していくには、考慮すべきことがたくさんあります。
その理由として挙げられるのは、やはり関係者が多岐にわたることです。システムの導入やコンサルティング、業務改善などさまざまなプロジェクトがありますが、いずれも規模が大きいほど、社内外含め関係者やタスクがたくさん存在するのです。特に、プロジェクトの進行管理を初めて任された人にとっては、どのように進めるべきか悩ましい部分もあることでしょう。
しかし、プロジェクト進行の全体観や押さえるべきポイントやコツをしっかりと把握・理解できていれば、あまり不安に感じる必要はありません。以下で具体的に解説していきます。ポイントがたくさんあるように思われるかもしれませんが、根底の部分では似たものもあるので、ぜひ参考にしてみてください。
プロジェクトの進め方のポイント・コツ
ここでは、プロジェクトの進め方のポイントやコツを多面的な角度から解説します。冒頭でも述べたように、プロジェクトにはさまざまタイプがあり、必ずしも全てのプロジェクトに当てはまるわけではないため、あくまで原則として捉えることをおくとよいでしょう。
目標・ゴールの明確化
まずは、計画を立てるにあたり目標やゴールを明確にすることがポイントです。冒頭の内容にも通じますが、プロジェクトでは社内外含め関係者が多く、プロジェクト遂行に必要なタスクも多岐にわたります。全ての関係者に対して何でもかんでも指示を出すことは、現実的に難しいでしょう。そこで重要となるのが、目標やゴールを共通認識として持っておくことです。そのためには漠然としたものではなく、明確なゴールを定めることが必要です。
ゴールの明確化は、プロジェクト遂行計画の精度にも密接に関係します。逆にいうと、ゴールを明確に言語化できなければ、顧客などの要望や要件への理解が不足していたり、深掘りが不足していたりする可能性もあります。そのままプロジェクトを進行してしまうと、計画そのものが漠然としたものになりかねず、メンバーとしてもどこに向かうのかイメージできないため、モチベーションにも影響します。
関係者が増えてもゴールをイメージできるよう、具体レベルにまで明確化しておきましょう。メンバーがゴールを明確にできていれば、現場での判断もスピーディーかつ適切に行われ、管理コストも低くなります。
計画に関わる諸要素のチェック
プロジェクトのゴールが明確になったら、その達成計画に必要な要素を確認し、問題がないかチェックを行います。計画段階でチェックを入れることで、手戻りを最小限に抑え、プロジェクトを期限までに計画通り達成できる確率が高まります。
その要素としては、具体的に挙げると、予算面で問題がないか・期間は過不足なく妥当か・そのプロジェクトを遂行する人的リソースなどがあります。やはりヒト・モノ・カネ、そして時間に関する部分は、入念に計画段階でチェックを入れます。場合によっては、責任者だけでなく事業部長やPMO(Project Management Office)など、第三者および上席から確認してもらうプロセスを入れるのもよいでしょう。
やるべきことのリスト化
計画段階での準備と被る部分もありますが、プロジェクト遂行に必要な要素やタスクを全て洗い出し、リスト化するプロセスもポイントになります。この段階で細かく洗い出せているほど、抜けや漏れのないリストになると考えてよいでしょう。細かい単位でタスクを洗い出せていれば、プロジェクトに携わるメンバーもそのタスクをこなすイメージがしやすく、結果としてプロジェクトが成功しやすくなります。
役割の明確化
プロジェクトでは多くの人が関わる中で、各メンバーおよびプロジェクト全体の生産性を向上させ、成功に導く必要があります。それぞれのタスクが被ることのないよう、メンバーの役割を明確にしておくことが大切です。プロジェクトでやるべきことが明確にリスト化できていれば、あまり迷うことなく役割を割り当てることができるでしょう。自身のタスクに加え、周囲の関係者の役割をお互いに把握できていると、プロジェクト進行がよりスムーズになります。それぞれのメンバーの役割を明確にすることは、プロジェクト進行の効率化という点で非常に重要です。
余裕をもった進行・管理
プロジェクトのゴールやそれに関連する一連のタスク、そして各メンバーの役割が明確になれば、実際にプロジェクトが進行していくことになります。
期日までにプロジェクトを完了させるには、リソースをギリギリに使うのではなく、余裕を持たせておくことが重要です。仕事では往々にして、大きな目標であるほど理想通りには進みません。予測できない事態にも対応し、イレギュラーがあっても期日通りにプロジェクトを進行するため、人的リソースを多めに確保しておきましょう。
もちろん、スケジュールそのものも期限に対してギリギリでは、うまくいかない確率が高くなります。リソース・スケジュールともにバッファを設け、余裕のあるプロジェクト進行を心がけましょう。
チームの一体感創出
多くの関係者が携わるプロジェクトでは、円滑なチームワークも大切です。よって、チームの一体感を作っていくことが、プロジェクトの責任者として求められます。
たとえばスポーツチームであれば、同じ目標に向けて団結しやすい側面もあります。しかし仕事においては、チームで成果を出していくうえで多様な関係者が存在し、必ずしもお互いをよく知るメンバーだけとは限りません。その中でどれだけ一体感を創出できるかが、責任者として腕の見せ所でもあります。
正確な報告をしやすい環境構築
メンバー間の関係構築にも通じる内容ですが、プロジェクト内で正確な報告をしやすい環境を作っておく必要もあります。人間なので、やはりマイナスな内容は報告しづらい部分はあるでしょう。しかし、多くのメンバーが関わるプロジェクトにおいて、正確な状況・進捗報告を欠いてしまっては、正しい意思決定ができなくなります。部下などがどんなことでも報告しやすい環境を構築しておくのは、プロジェクト責任者の仕事といえます。
当事者意識の醸成
プロジェクトの人数が多いほど、メンバーそれぞれの当事者意識は薄れがちです。管理者や責任者だけが当事者意識を持っていても、チーム全体としての円滑な連携は難しいでしょう。
メンバーに当事者意識を高めてもらうには、やはり「やりがい」や「達成感」が鍵となります。プロジェクトを通じた成長や、顧客からの感謝などを感じられるプロジェクトにしていくことが効果的です。また、チームの一体感があれば、ほかのメンバーの進捗や作業への配慮もでき、結果としてメンバーの当事者意識を高く保てます。
適切な進捗管理
多くの関係者と仕事をするプロジェクトにおいて、適切な進捗管理が、その成否に大きく影響します。責任者や管理者としては、メンバーからの進捗報告を待つだけでなく、適切なタイミングで報告が入るような「仕組み」や「ルール」を定めておく必要があります。
一般的には、やはり定期的な報告の場をチーム単位などで設定するのが有効です。タイミングだけでなく、報告内容についても一定の枠組みは定めておいてもよいでしょう。たとえば、4W1H(いつ・どこで・誰が・何を・どれくらい)の項目に沿って報告するよう定めておけば、適切な内容になりやすく、報告者側もあまり迷わずに報告できるでしょう。
進捗管理は、単に現状を把握することが目的ではなく、プロジェクト完了までの道のりをより正確に予測し、次のアクションにつなげることが目的です。そのためには、報告内容はプロジェクトのゴールに沿ったものである必要があります。また、管理者や責任者の人数に対し、メンバーの人数が多く、適切な報告が適切なタイミングで上がってくるようにするには、やはりメンバーの協力が重要です。すでに解説したメンバーの一体感や、悪い報告も含めてコミュニケーションしやすい環境づくりが重要になります。
コミュニケーションの実施
最後は、ほかのポイントの根底にもつながる「コミュニケーション」に関する内容です。多様なメンバーが同じプロジェクトのゴールに向けて動く中で、コミュニケーションの重要性は外せないでしょう。
もちろん、メンバー間のコミュニケーションも重要ですが、まずは責任者や管理者が率先して周囲とのコミュニケーションを図るようにしましょう。リーダーの役割の大半がコミュニケーションといっても過言ではありません。特に、初めてプロジェクトを任される場合、技術的な内容や専門的な内容についてプロジェクト内の有識者にヒアリングする中で、コミュニケーションの土台を築くこともできます。あるいは、プロジェクト初期段階でのゴールの共有や、スケジュールを立てる際に各メンバーが納得できるものにしていく中で、自然とコミュニケーションが発生し、信頼関係の構築にもつながるでしょう。
早い段階から、できるだけ多くのメンバーとコミュニケーションを図り、それが周囲に派生して、メンバー間でも円滑なコミュニケーションが広がると、プロジェクトの成功確率も上がります。
まとめ
多くの人が関わるプロジェクトを成功に導くうえで、重要なポイントをご紹介しました。まとめると、「プロジェクトのゴールの明確化」「余裕を持ったスケジューリング」「コミュニケーション」の3点がプロジェクト進行において重要です。これらを実行するにあたって、業務管理ツールの活用なども効果的でしょう。
特に「Asana」では、プロジェクトのゴールを設定およびメンバーに共有し、そのゴールに紐づくタスクの洗い出しや担当者の割り当てなどが一貫して行えます。つまり、本記事で解説したプロジェクト成功のポイントを実行するためのツールともいえます。期限の設定や各タスクの進捗なども記録できるため、プロジェクト管理が容易になります。利用するプランによって使える機能に幅はありますが、無料期間もあるので、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。
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