柔軟な働き方のひとつとして、在宅でのリモートワークが推し進められています。自宅で業務ができることを歓迎するビジネスパーソンがいる一方で、いくつかの問題も発生しています。
リモートワークの導入で懸念される問題点と、問題点を解決して生産性を高めるポイントを解説します。
リモートワークの導入で浮上する6つの問題点
リモートワークはテレワークとも呼ばれ、近年多くの企業で採用されています。新しい働き方として受け入れられている一方で、いくつかの問題点が浮上しているのも事実です。ここでは、リモートワークにおける6つの問題点をご紹介します。
問題点1.勤怠管理がしにくい
労働安全衛生法第66条の8の3は、事業者に対して、厚生労働省令で定める方法による労働者の労働時間の状況を把握する義務を課しています。
しかし、リモートワークでは、従業員の勤怠管理がしにくいという問題があります。従業員が勤怠を申告したとしても、正当性を直に確認することが難しいからです。たとえば、時間内に業務が終わらなかったため労働時間を過少申告してサービス残業を行ったり、実際には決められた時間よりも労働時間が少なかったにもかかわらず過大申告したりする場合があります。
過少申告の場合は従業員に負担がかかり、過大申告の場合は業務内容に見合わないコストが発生します。こうした状況が続くと「納期遅れ」「職務放棄」「健康被害」「退職」につながる可能性が生じるでしょう。
問題点2.情報漏洩のリスクが高まる
情報漏洩や書類紛失などによる事件・事故はたびたび起こっており、どの企業にとっても他人事ではありません。とくにリモートワークの弊害は、情報漏洩や紛失による事故のリスクが高いという点です。
たとえば、従業員がコワーキングスペースやカフェで業務を行なっていた場合、大事な書類やUSBメモリといった記録媒体を置き忘れてしまう可能性があります。悪意のある第三者が発見した場合には、情報が他所に流されてしまうかもしれません。
公衆Wi-Fiで業務を行う場合も危険が潜んでいます。フリーWi-Fiは暗号化されていないことが多く、通信は簡単に盗聴が可能です。アクセスポイントがデータ盗聴用に仕掛けられた偽物だった場合、気づかずにアクセスすれば情報が抜き出されてしまいます。
問題点3.チームワークに支障をきたす恐れ
職場のコミュニケーションには、さまざまなメリットがあります。チーム内の綿密なやり取りは業務を円滑に進められるだけでなく、個々のモチベーションアップにもつながります。
しかし、リモートワーク環境ではオフィス内と違い、顔を見てコミュニケーションを取るのが難しいでしょう。オフィス内であれば気軽に質問できていたのが、リモートではお互いに顔が見えないため遠慮しがちになり、情報共有もしにくくなります。
次第にチーム内でコミュニケーションが不足し、チームワークに支障をきたす恐れがあるでしょう。管理者は、チームが円滑にコミュニケーションを取るための方法を考える必要があるのです。
問題点4.出社が必要な作業は行えない
従業員が抱える業務の中には、紙書類の確認や捺印をはじめ、出社しなければ作業できないタスクがあります。とくに電話対応は、基本的にオフィスにいないと難しいでしょう。
こうした出社を要する作業は、リモートワークを導入する際の障壁になります。そのため、契約書や請求書などの電子化を進める、転送電話サービスやリモートワーク用の電話ツールを導入するといった対策も検討しなければなりません。
問題点5.不公平感が出てしまう
オフィスワーカーとリモートワーカーでは、互いに不公平感が生じる場合があります。オフィスワーカーからすると、リモートワーカーがどのように業務を行っているかが確認できません。そのため、「自分の方が業務の負荷が高い気がする」「リモートワーカーは自宅で楽をしているのではないか」といった不満を抱えやすいのです。
リモートワーカー同士も業務中の状態が確認できないため、同様の不満が噴出しやすいと言えます。また、リモートワーカーの仕事ぶりを上司が直接見ていないため、「正当な評価がされないのではないか」といった疑念を抱く可能性もあります。
問題点6.リモートワークが行えない業種もある
多くの業種ではリモートワークを導入できません。接客業や製造業、物流・運輸業、医療・福祉、フィールドサービスなどが挙げられます。
しかし、これらの業種で働いている方々は社会や企業を支えている重要な人材です。リモートワーク以外の方法で負担やストレスを軽減させなくてはなりません。たとえば、ICTの活用やAIの導入などによって業務の自動化を進めれば、リモートワークに向かない業種でも従業員の負担を軽減できます。
リモートワークの生産性を高めるためのポイント
リモートワークには多くの問題点があることがわかりました。リモートワークを最大限に活用するには、さまざまな問題を解決して生産性を高めなくてはいけません。そのためには、以下で挙げるポイントを意識しましょう。
スケジュール管理を徹底する
在宅業務はひとりで作業するので、気が緩んで生産性が落ちがちです。気を引き締めるためにも、従業員の業務をスケジューリングして、決まったタスクを決まった期日までに終わらせるようにします。
まずは従業員のタスクを洗い出して、何をいつまでにやるべきかを決めます。タスクにはそれぞれ優先順位があるので、緊急性が高いものは期限を前にして、低いものは後回しにしましょう。
従業員に過度な負荷がかからないように、余裕を持ったスケジュールにすることも重要です。手戻りなどが発生するタスクでは、その点も考慮して期限を決めます。その上で設定した期限ごとに状況を報告してもらうとよいでしょう。進捗はガントチャートなどでまとめて、それぞれが確認できるようにすれば全体の可視化につなげられます。
ツールを活用してコミュニケーション不足を解消させる
リモートワークの問題点であるコミュニケーション不足を解消するために、ビデオ通話やWeb会議システムのほか、チャットツールなどの利用もおすすめします。
とくにチャットツールは気軽に情報伝達ができるため、業務に関する情報のやりとりも素早く行うことが可能です。チャットツールの中には特定のチームを作成できて、非公開にできるようなものもあります。柔軟性の高い職場づくりを意識すれば、従業員自らがチームを作るなどよりコミュニケーションの高い状況が作れます。ツールの活用にあたっては事前にルールを決めておくとよいでしょう。
また、ときには作業に関係ないコミュニケーションも必要です。仲間とのちょっとした雑談は息抜きになるため、モチベーションの向上や孤独感の解消につながります。休憩や雑談は意識的に取り入れるようにしましょう。
リモートワークでも集中できる環境をつくる
リモートワークの生産性を下げる要因として、気が散る環境が挙げられます。自宅での業務は誘惑も多く、携帯電話やWebサイトを長時間見てしまうこともあるでしょう。家族が家にいて業務に集中できない場合もあります。
こうした問題を解消するための工夫として「携帯電話を自室に置かない」「コワーキングスペースを活用する」といった方法がおすすめです。
また、「バッチング」という時間管理術も有効な手段として利用できます。これは業務中に発生する細かなタスクをまとめてシングルタスクとして扱う手法です。
業務中には、電話・メール・チャットなどによる連絡や会話が頻繁に発生することがあります。しかし、メインの業務に取り組む最中にこうしたタスクをその都度こなすと、集中力が途切れて生産性が落ちてしまいます。そこで、電話やメールなどの似ているタスクは、時間を決めてまとめて返信するなどして、全てのタスクをスケジューリングしてしまうのです。こうすることでメインのタスクに集中でき、生産性がアップします。
まとめ
リモートワークの問題点には、勤怠管理の難しさやコミュニケーション不足などが挙げられます。これらの問題点を解決して生産性を高めるには、進捗管理・コミュニケーションツールの「Asana」がおすすめです。
たとえば従業員の進捗を簡単に作成して可視化が可能です。ガントチャートはチーム全体で共有できるため、誰がどの業務をどのくらいやっているかが一眼でわかるようになっています。わざわざ進捗状況を報告する必要もありません。
メッセージ機能の活用により、チーム内のコミュニケーションも活性化できます。チームは独自に編成できるため、さまざまな応用も可能です。進捗管理とコミュニケーションアップで生産性の向上が期待できます。
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