脳神経科学者がおすすめする集中力を高める方法

 2022.07.15  2022.09.05

「仕事中の集中力が持たない」と悩んでいませんか。集中力が持続しない要因は、人間の脳の構造にあり、本来マルチタスクが不可能なのです。本記事では、仕事を効率的にこなしたい部門担当者や管理職などを対象に、要因を踏まえた上で、脳神経科学者がおすすめする手法「バッチング」を紹介します。また、最適な環境づくりのヒントも、併せて参考にしてみてください。

脳神経科学者がおすすめする集中力を高める方法

なぜ集中力は続かないのか?

集中力が持続しない要因として、人間の脳の構造やメカニズムとの関連性が挙げられます。以下、人間の集中力が持続しない要因をいくつか概説します。

人間の脳は“集中しにくい造り”になっている

集中力が持続しないことを悩む前に、本来人間の脳は勉強や仕事などに対して、“集中しにくい造り”である点を知っておくべきです。

脳の中で、本能・自律神経・記憶などの感覚的思考をつかさどる「大脳辺縁系」は、人間の生存本能に結び付いています。そのため、まわりで何かしらの異常が生じれば、即座に察知して自身を守れるよう、各所に注意を向けられるのです。一方でそのメカニズム自体が、集中力が持続しない要因になる場合もあります。

近年の情報化社会により、現代人はテレビやスマホ、その他のさまざまな媒体から、常に多くの情報を受け取ります。このような状況において、まわりに注意を向けずに一点集中する姿勢は難しいでしょう。

人間の脳はマルチタスクが行えない

人間の脳は、生物学的・神経学的にも、ひとつのことに集中できるように構造されており、マルチタスクをこなせません。例え、マルチタスクをこなしているように見えても、実際は脳が、瞬時にタスクを切り替えているだけなのです。つまり、人間の本質は、ごく短い時間しか集中できず、マルチタスクが苦手であるとわかります。

一見、マルチタスクは効率がよさそうですが、一日中タスクを切り替えながら、仕事をこなしている場合、所要時間が40%長引き、ミスも50%増えると言われています。また、日本におけるビジネスマナーでは、電話やメールに対する素早い対応が求められるので、タスクの切り替えが増えてしまい、かえって集中力が切れ、業務効率が下がるという、負の連鎖につながるのです。

集中力が続かないその他の要因

脳の構造やメカニズム以外に、集中力が持続しない要因はいくつか考えられます。例えば、「ながら作業」もそのひとつです。食べながら作業する、見ながら作業するなどは、集中力が持続しない状況であるといっても過言ではありません。

また、長時間同じ作業を繰り返している場合も、集中力が低下する要因です。息抜きをしつつ、メリハリをつけて作業する方が、効率よく進められます。

他にも、体調不良や睡眠不足も要因のひとつに該当します。慢性的な栄養不足や睡眠不足による体調不良で、作業が手につかず集中できなくなるでしょう。

集中力を高めるためには、まず脳の構造やメカニズムを理解し、その他の要因も排除しなければなりません。

集中する脳をつくり、仕事を効率よく完結させる3つの方法
リモートワーク時代の新しい働き方 Asanaまるわかりガイド

脳神経科学者がおすすめする「バッチング」とは?

集中力を高めて、生産性を上げる方法「バッチング」は、脳神経科学者もおすすめする方法です。以下では、バッチングの概要と仕事への効果について概説します。

バッチングとは

バッチングとは、似たタスクをまとめて一度に片付ける手法です。似たタスクごとに分ける際には、「深いタスク」と「浅いタスク」に、大きく分けるのが一般的です。「深いタスク」とは、高い集中力が必要な難しい作業を、「浅いタスク」とは、すぐに終わらせられる簡単な作業を指します。例えば、メール返信などは「浅いタスク」に分類し、メールが来るたびに返信するのではなく、まとめて返信するやり方です。結果的に、タスクの切り替えを防ぎ、より集中してタスクに取り組めます。

また、まとめたタスクをこなすタイミングに関しても、「深いタスク」は、1日の中で集中力が高まっている時間帯に、「浅いタスク」は集中力が低下している時間帯にこなすと、より効果的でしょう。

似ている手法として「タイムブロッキング」があり、1日のうち、一定の時間をブロックして、集中的に作業をこなします。例えば、メールの返信時間をブロッキングするなど、バッチングとは若干異なる手法です。

バッチングによる仕事への効果

バッチングによる仕事への効果は、研究結果にも表れています。

2016年、マサチューセッツ工科大学で実施された研究では、「メールを受信したら、リアルタイムで対応する」グループ、もう一方は「1日数回メールをチェックし、集中してなるべく速く返信する」グループの2組を比較しました。その結果、後者の生産性がアップし、体内のストレス値も低下していました。したがって、人間の脳は一点集中する姿勢が、最も適しているとわかります。

バッチングの活用により、業務効率が向上し、最終的には会社の生産性や収益性の改善にもつながるでしょう。しかし、バッチングは日本のみならず、全世界で共通して「身に付かない技術」として知られています。その背景には、脳の働きが関係しており、人間の脳は「集中する必要がない」と、自身に指令を出しているのです。

脳の指令を回避して集中力を高めるには?

脳からの指令を回避して、集中力をさらに高めるためには、どうすればよいのでしょうか。

人間の脳は、常に短時間で「ドーパミン」を得るための方法を模索し、人間の行動を定めています。そのドーパミンは、幸福感や満足感、達成感を得られる神経伝達物質であり、できるだけ早く、それらを得ようとするための指令が出されます。つまり、長時間かけて得られる達成感より、すぐに得られる達成感を探すため、すぐに完了するタスクに流されてしまうのです。

したがって、本来の人間の脳は、「集中して何かをこなす」構造ではないのです。この点を理解しておけば、おのずと対策法も見えてきます。

おすすめしたいのは、重要なタスクを細かいタスクに分割して進めていく手法です。具体的には、1日の始まりに重要なタスクを書き出し、すぐに達成感を得られる細かいタスクに分割して、地道に進めていきます。細かいものでも完了するたびに達成感を得られるので、集中力が持続するでしょう。

集中力を切らさないための環境づくりも大切

重要なタスクを細かいタスクに分割したら、今度は集中力を持続するための環境づくりも欠かせません。作業場のデスクやイスの位置、道具の置き場所にも気を配ります。

また、「スマホは集中力を妨げる存在である」との研究結果も発表されており、できるだけ見える位置にスマホを置かない点も、最大のポイントです。

しかし、クライアントや上司からの連絡が来た場合、重要事項の連絡である可能性も否めません。その際に活用できるのが、スマホの「VIP機能」です。VIP機能とは、特定の人をリストに追加し、メール内のVIPフォルダに振り分けられる便利な機能です。通知音や通知方法も設定できるので、スマホを気にせず、より集中力を持続する環境づくりが実現できるでしょう。

まとめ

集中力が持続しない要因は、本来人間の脳が集中しにくいメカニズムでできているからです。また、人間の脳はマルチタスクも苦手で、効率よく見えても生産性は上がりません。集中力を高めるには、似たタスクをまとめてこなす「バッツチング」や「タイムブロッキング」などの手法がおすすめです。また、ドーパミンを得るために、重要タスクを細かく分類してこなす手法も、業務効率の改善に役立ちます。

職場において集中力をアップするには、チーム内でスムーズなタスク間の連携を図ることが必要不可欠です。プロジェクト管理ソフトウェア「Asana」は、チーム内のタスク管理や進捗管理を容易に進められます。

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