プロジェクトが成功するか否かは、プロジェクト管理の仕方に大きく左右されます。ですので、プロジェクト管理をするプロジェクトリーダー(PL)やプロジェクトマネージャー(PM)は、プロジェクト管理をどのように進めるかを決定するための知識や手段など、幅広いスキルが必要です。そこで本コラムでは、プロジェクト管理の流れをおさらいしながら、プロジェクト管理の方法やツールを解説します。
プロジェクト管理とは
プロジェクト管理とは、期日までにプロジェクトを完了させるために、必要な手段を使って統制することです。
プロジェクトとは目的を達成するための企画のことで、この企画を成功させるために必要な作業を洗い出し、効率的に企画を進めることがプロジェクト管理の目的です。
プロジェクト管理をするためには、プロジェクト全体の把握や、そのために必要なタスクを細部までイメージして洗い出すスキルや、どのような管理方法が適しているのかなどを判断する知識も必要です。
まずは、プロジェクト管理の全体的な流れを知ること、そして必要な手順や方法を知ることからはじめましょう。
プロジェクト管理の流れ
それでは、プロジェクト管理の大まかな流れを把握しましょう。ここでは4つのステップで見ていきます。
ステップ1.プロジェクトの目的を明確にする
プロジェクト管理を行うためには、プロジェクトの目的を明確にしておかなければなりません。ゴールがわからなければ進む方向がわからず、管理ができないからです。
プロジェクトは期限のある企画です。ですので、まずはプロジェクトが完了したときの全体像がイメージできていること、それをいつまでに完了させなければならないかを把握することが最初の一歩です。また、プロジェクト全体を把握する際には、そのプロジェクトの規模もある程度イメージできていなければなりません。なぜなら、その規模によって工数や人員といったリソースを決定しなければならないからです。
これらをすべて把握することが、プロジェクト管理における1つ目のステップ「目的を明確にする」ことに含まれます。
ステップ2.タスクに細分化する
プロジェクトの全容および期限と必要なリソースを大まかに把握できたら、次はプロジェクトをタスクに細分化していきます。プロジェクトを完了させるために必要なタスクを洗い出し、タスク同士の依存関係や優先順位を意識しながらタスクを整理していきましょう。
それぞれのタスクには期限を設けます。タスクがいつまでに完了すればプロジェクトが無理なく進行できるのかを、プロジェクトを完了させる期限から逆算します。
細かなタスクと期限が設定できたら、それぞれのタスクをメンバーに割り当てたり、チームごとに割り振ったりして、全体的なスケジュール表を作成します。このとき、ガントチャートなどのツールを利用すると管理しやすくなりますし、クリティカルパスを把握しておくとプロジェクト管理全体のリスク管理などに役立ちます。
ステップ3.タスクごとの進捗を管理する
プロジェクトを細分化したタスクは、それぞれの期限をみながら進捗を管理します。タスクの遅れはプロジェクト全体の遅れにも直結しますので、細かなチェックが必要です。
このとき、クリティカルパスを把握していると、時間がかかりそうなタスクや、遅れると重大な遅延につながるタスクが事前にわかるため、あらかじめその対策を検討しておくことができます。このような配慮やリカバリー方法を考えておくことも、プロジェクト管理の重要なポイントです。
ステップ4.プロジェクトを完了させる
プロジェクト管理の目的は、プロジェクトを滞りなく完了させることです。ですので、プロジェクトの完了をもって、プロジェクト管理も終了します。
プロジェクトが完了したあとも、その後のフォローが続いたり、運用管理などに移行したりすることもあります。しかし、大きな流れとしては、システムであればシステムの完成、イベントであればイベントの終了をもってプロジェクト管理は一段落します。
プロジェクト管理の方法
それでは、プロジェクトを成功させるためのプロジェクト管理の方法を見ていきましょう。
エクセルを使う
プロジェクト管理を手軽にはじめられるのが、エクセルを使う方法です。表計算ソフトではありますが、セルを使って表を作ったり、グラフを作成したりできるため、自由度が高く便利です。
また、エクセルを使ったプロジェクト管理のためのテンプレートなどもインターネット上からダウンロードできるため、比較的規模の小さなプロジェクトや、少数で進めるプロジェクト管理などには使えます。
ただし、大規模なプロジェクトやメンバーの多いプロジェクトでは、データ容量や情報共有の面で使いにくいと感じる場面がでてくるかもしれません。
ツールを使う
プロジェクト管理を行うもう1つの方法がツールを利用することです。
プロジェクト管理ツールは、もちろんプロジェクト管理に特化したツールですし、プロジェクト管理に必要な細かな機能が使えるため、効率的な管理が行えます。
もちろん、エクセルでもプロジェクト管理は可能ですが、エクセルでは表の作成や情報共有方法などの取り決めを自分たちで行わなければなりません。一方、プロジェクト管理ツールは、大枠となるプロジェクト名を入力したり、タスクを登録したり、メンバーのアサインや情報共有などの機能もシステム化されています。
近年、プロジェクト管理をクラウド上で行えるSaaSなどのサービスが増えており、すでに利用されている人も少なくないでしょう。働き方改革や新型コロナウイルス感染拡大防止措置などで、テレワークという業務スタイルが浸透した現代、クラウドサービスのツールを利用したプロジェクト管理は非常に有用だといえます。
プロジェクト管理ツールを使う目的
それでは、プロジェクト管理にツールを利用する目的を見ていきましょう。
- 情報の集約と蓄積
プロジェクト管理ツールを利用することで、1つのツールをメンバーで共有して情報の集約が行えます。また、プロジェクトメンバーがツールに入力するデータは蓄積されるだけではなく、管理や分析のための機能をもったツールもあります。
プロジェクト管理において最も重要なのは、プロジェクト全体がどのように進んでいるかが把握できることと、遅延リスクなどを早期発見して対策することです。プロジェクトの進行状況をメンバーと簡単に共有できれば、プロジェクト管理は格段に効率がアップします。
- 情報の可視化
データが蓄積されるということは、データをグラフや表にして可視化できるということです。
プロジェクト管理を行う上では、現在の状況をひと目で理解できる状態が望ましく、それは迅速に状況を判断するための材料にもなります。
- 情報共有
プロジェクトの状況は、PLやPMだけが把握していればよいという情報ではありません。プロジェクトに参加しているメンバーが、各自のタスク進捗、あるいはタスクが遅延している原因を共有することで、メンバー同士のフォローなども可能になります。
例えば、情報共有によってメンバーがタスク全体の遅延原因などを把握できるので、PLやPMが出す指示の理由もすぐに見当がつき、迅速な行動ができるようになるでしょう。
プロジェクト管理ツールでできること
プロジェクト管理ツールを使う目的がわかったところで、プロジェクト管理ツールでどのようなことができるのかを確認していきましょう。
- プロセス管理
プロセス管理とは、プロジェクトの開始から完了までの工程を管理することです。
例えば、プロジェクトを終えるまでにどのようなタスクが必要なのか、タスク同士の依存関係はどのようになっているのかなども含めた工程です。また、クリティカルパスなどもプロセス管理の一環として行えるでしょう。
つまり、プロジェクトにはどのような工程があって、どのように進めることが効率的かなど、プロジェクト全体のプロセスを把握するために重要な機能だといえます。
- 進捗管理
プロジェクトがスタートしたあとは、進捗管理がプロジェクト管理のメイン業務になります。
どのタスクが完了して、プロジェクトがどこまで進んでいるのか、そしてスケジュールに対しての遅延や前倒しできているタスクがあるのかなどを把握できます。また、進捗入力は基本的に複数人のプロジェクトメンバーが入力しますので、ツールはだれもがわかりやすいオペレーションであることも大切です。
- タスク管理
プロジェクト規模が大きいほど、タスクの量も増えますので、プロジェクト管理ツールにおいてタスク管理機能は重要です。
見やすく、操作しやすく、追加・削除・変更のオペレーションが容易であるほど使いやすいツールだといえます。また、タスク管理機能は進捗管理にも直結する機能ですので、単にタスクを羅列できる機能ではなく、一つひとつのタスクに対して詳細な情報を付与できることが望ましいでしょう。
クラウドで利用できるおすすめのプロジェクト管理ツール
クラウドサービスとして提供されているプロジェクト管理ツールは、タスクだけを管理するものから、プロジェクト全体を管理できるものまでさまざまです。
例えば、プロジェクト管理ができるクラウドサービスのAsanaは、タスク管理や進捗管理、プロジェクト全体の情報収集・蓄積や共有なども簡単に実現できます。タイムラインを使ってプロジェクトを可視化したり、タスクを他のメンバーに対して簡単にリクエストしたりできるなど、プロジェクト管理には欠かせない細かな作業も簡単に行えるUIとなっています。また、オートメーション機能を使ってルーチンタスクを自動化するなどの機能を備えており、プロジェクト管理を効率化してくれるおすすめのツールです。
まとめ
プロジェクトをスムーズに進めるためには、プロジェクト管理が大切です。プロジェクト管理をする際には、プロジェクトの全容把握からタスクへの細分化、タスクの進捗管理とプロジェクト全体の進捗管理が重要です。また、プロジェクトメンバーとのスムーズな情報共有は、効率的なプロジェクト進行には欠かせません。プロジェクト管理には、プロジェクトの規模やメンバーの人数などを考慮して、プロジェクト管理ツールを利用するなど適切な方法を選択しましょう。
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