サイロ化された組織の問題点と解決策

 2022.04.18  2022.09.05

組織のサイロ化は、企業にさまざまなデメリットをもたらします。すでに課題を感じ、サイロ化解消への取り組みを始めている企業も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、組織のサイロ化によりもたらされる問題点や、具体的な解決策をお伝えします。記事の内容を踏まえ、課題解決への取り組みを進めてみましょう。

サイロ化された組織の問題点と解決策

サイロ化とは組織やシステムが孤立してしまうことを意味する

「サイロ」とは本来、飼料や化学原料などの保管に用いられる貯蔵庫を指します。農場や牧場などに設置されているタワー型の貯蔵庫で、基本的に1つのサイロには1種類の飼料・原料しか保管されていません。

そして「サイロ化」とは、上述したサイロを語源とする言葉であり、組織やシステムが孤立した状態を指します。個々のサイロは特定の用途にしか用いられないことから、組織やシステムが孤立した状況を示す言葉として使われるようになりました。また、サイロ化は「タコツボ化」と言い換えられることもあります。

企業における課題として、組織とシステムそれぞれのサイロ化が挙げられます。組織のサイロ化とは、各部署が独立して業務を遂行し、横の連携や情報共有がうまくできていない状態のことです。

他方、システムのサイロ化とは、システムが連携できない状態を指します。それぞれのシステムで扱えるデータの形式が異なったり、そもそも連携できない仕様であったり、といった状態です。では、組織やシステムがサイロ化することで、企業にどのような問題が発生するのでしょうか。

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サイロ化された組織・システムにおける3つの問題点(デメリット)

組織やシステムのサイロ化が進むと、企業にさまざまなデメリットをもたらします。以下に代表的な問題点を抽出したので、自社の状況と照らし合わせつつ解決策を模索してみましょう。

問題点①:会社全体のシナジー効果を発揮できない

個々の部署が孤立した状態で業務を遂行していると、必然的に従業員間のコミュニケーションが減少します。その結果、情報共有の遅れや従業員・チームのモチベーション低下を招き、組織全体のシナジー効果が薄くなってしまいます。

部署同士が連携できる体制を整え、部署間の壁もなくせば、従業員同士のコミュニケーションの活性化を図れます。さまざまな従業員と交流して刺激を受けることで、モチベーションアップにもつながるでしょう。意欲的に働く従業員が増え、生産性の向上効果が期待できます。

また、特定の部署が高度なノウハウを独占したまま孤立しているケースも少なくありません。この場合、その部署しか高度なノウハウを業務に活かせないため、組織全体の生産性が低下します。部署間の壁をなくし連携性を高めれば、組織の全部署で高度なノウハウを活用できるようになり、組織力や生産性の向上効果が期待できるのです。

問題点②:データのとりまとめに時間がかかる

企業が扱うデータは年々増加しています。顧客情報や売上データなどはもちろんのこと、自社サイトへのアクセスログやSNS、メールからの問い合わせ、口コミなど扱うデータは多々あります。

システムがサイロ化された状態では、これらのデータをとりまとめるのに時間がかかってしまいます。システムが連携できていないと、部署ごとにデータを抽出しなくてはならないためです。

また、部署やシステムによってデータの形式が異なると、そのままとりまとめられません。データ形式の変換が必要となり、いたずらに時間を消費してしまうため非効率です。扱うデータの量が膨大であるほど時間がかかり、分析や運用までにも多大な時間を費やすことになるでしょう。

問題点③:経営の意思決定が遅れる

経営の意思決定が遅れてしまうのも、サイロ化によって生じる弊害のひとつです。社内のデータが分断されている状態では、スムーズに必要なデータへアクセスできず、スピーディーな意思決定を阻害してしまいます。

スピード感が求められる現代ビジネスにおいて、意思決定が遅れてしまうのは大きなデメリットといえるでしょう。必要なデータへスムーズにアクセスできないために、大きなビジネスチャンスを逃してしまう、といったことも起こりえます。

また、1ヶ所にデータを集約できない環境では、とりまとめに時間がかかるのみならず、人為的なミスが発生するおそれもあります。重要なデータの漏れや入力ミスなどが起きると、トップは正しい意思決定を行えず、組織に大きな損害をもたらす可能性もあるのです。

サイロ化された組織・システムを解消するメリット2つ

組織やシステムのサイロ化は、シナジー効果の減少や意思決定の遅れなどにつながり、ビジネスに悪影響を及ぼしかねません。原因や課題を正確に把握し、積極的にサイロ化の解消法へ取り組むことで、組織力や業務効率の向上効果が期待できます。

メリット①:会社の組織力が向上する

部署間がきちんと連携できる体制と環境を構築すれば、組織力の向上につながります。部署間でのコミュニケーションが活性化し、情報交換も活発に行われるようになれば、そこから新たなアイデアを得て新規ビジネスの創出につながる可能性もあります。

データを1ヶ所に集約できる環境の構築により、今までにはなかったデータの活用方法が見つかるかもしれません。たとえば営業部門が扱っていた情報を、ECサイト運用を行う部署が活用する、といった具合です。個々の部署が孤立した状態では、データがもたらす新たな可能性にも気づけません。

特定の部門が独占していたノウハウや手法を、組織で共有できるのもメリットです。ノウハウをそのまま流用できないケースでも、その部署で活用できるようにアレンジすれば、業務で今まで以上の成果を生み出せるかもしれません。

メリット②:業務効率が向上する

組織やシステムがサイロ化していると、データを集めるだけでも多大な時間を費やしてしまいます。サイロ化を解消し、データを1ヶ所に集約できる環境を整えれば、とりまとめにかかる時間を大幅に短縮できるでしょう。

データを集める手間がなくなれば、リソースを有効活用できます。それまでデータのとりまとめを行っていた人材をコア業務へ投入したり、浮いた時間を別の業務に充てたり、といったことが可能になるのです。業務効率が向上することはもちろん、限られたリソースを効果的に活用でき、生産性も向上します。

個々の部署からデータを集める必要がなくなれば、人為的なミスの発生も抑制できます。データの集め忘れや入力ミスなどが発生すると、手直しをしなくてはならず手間が増えてしまいます。システム連携でデータを1ヶ所に集約できれば、データのとりまとめや入力などに人の手が介在しなくなり、ミスの発生を防げます。二度手間の発生も抑えられるため、業務効率の向上につながるでしょう。特に、膨大なデータを手作業で集めていたようなケースでは、サイロ化の解消により担当者の負担を軽減できるメリットもあります。

DX化はサイロ解消の一手段

DX」とは「デジタルトランスフォーメーション」の略で、デジタル技術を用いてビジネスモデルや商品、サービスなどに革新をもたらす取り組みを指します。企業のDX化にあたっては、業務実態の可視化やデータ統合基盤の構築といった施策が講じられる都合、取り組みの過程でサイロ化の解消を図れるため、サイロ化した組織・システムへの有効な解決策として注目されています。

DXを通じて組織のサイロ化解消を目指すには、まず全社横断的な組織づくりから進めてみましょう。具体的にはITツールやシステムなどを導入し、情報共有やデータ連携が行いやすい環境を構築します。

ただ、いきなりすべての部署でDXを進めるとなると、現場が混乱してしまうおそれがあります。サイロ化が顕著であったならば、なおさら従業員も戸惑いを隠せないでしょう。かえって業務効率を低下させるおそれがあるため、スモールスタートでの取り組みをおすすめします。

まずは範囲を限定して取り組みをスタートさせ、様子を見ながら少しずつ対象を広げていくとよいでしょう。

まとめ

組織やシステムのサイロ化は、データのとりまとめに時間がかかるほか、シナジー効果の減少、意思決定の遅れなどさまざまな弊害をもたらします。組織力を高めるため、今からでもサイロ化の解消に取り組んでみましょう。

プロジェクト管理ツールである「Asana」は、サイロ化の解消にも役立ちます。チームの業務進捗やタスクを1つのプラットフォームで確認でき、ワークフローも可視化されます。GoogleカレンダーやOneDriveなど数多くのツールと連携できるため、組織の生産性向上に役立ちます。

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