日々のタスクを行ううえで、もっと生産性を高めたいと感じる人も多いのではないでしょうか。そんな方におすすめの時間管理術が「ポモドーロテクニック」です。方法はシンプルですが、特に集中力が切れやすい人や疲れを感じやすい人には大きな効果が期待できます。今回は「ポモドーロテクニック」についてご紹介します。
ポモドーロテクニックとは?
イタリア出身で起業家・作家であったフランチェスコ・シリロ氏が開発し、世間に公開した方法で、ポモドーロ(トマト)型のキッチンタイマーで時間を計測していたことからこの名称が付けられました。最初は、締め切りに追われながら膨大なタスクが発生するソフトウェア開発のエンジニアから浸透し、その後IT業界以外にも広まっていきました。
やり方は非常に簡単で、25分間、作業やタスクに集中し、5分間休憩するサイクルを実践することです。このサイクルは最大4回までで、4セット繰り返した場合は20分から30分の休憩を入れます。
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ポモドーロテクニックの効果
普段の仕事や勉強などで、実際に時間を測りながら取り組んでいる人は意外と少ないかもしれません。この手法を取り入れることで期待できる効果をご紹介します。慣れるまでは効果が出にくいかもしれませんが、継続して取り組むことで効果が期待できます。
集中力の維持・向上
25分間と明確に時間を区切ることで、集中力の維持や向上につながります。この時間は基本的に1つの作業に絞るため、マルチタスクであっても時間内は他のタスクに気が散ることなく取り組めます。タスクを切り替える際、頭のなかの切り替えでも疲れることがあります。この切り替えが不要になることで、結果的にひとつの作業に対する集中力が増し、生産性向上が期待できます。
効率の改善
ある作業を時間内に終わらせようとすることで、結果的に作業効率が上がります。締め切りが近いタスクには集中して取り組めるのと同じイメージです。25分間という長すぎず短すぎない時間のなかで、決めたタスクを完遂しようとする意識が良い意味でプレッシャーとなり、効率化するためのアイデアが生まれます。
疲労の抑制
人間が集中し続けられる時間は短く、休憩を入れずに作業し続けると思っている以上に疲労がたまります。疲れがたまったまま作業をし続けるのは、生産性が下がるうえに余計に疲れがたまるという悪循環になりかねません。適度に休憩を挟むことで、集中力が持続し、高いパフォーマンスを維持できている、といった充実感も味わえます。
ポモドーロテクニックの実施方法
つぎに、具体的にな実践方法について解説します。25分間の作業と5分間の休憩のサイクルに焦点が当たることが多いですが、準備や実施結果の振り返り、つまりPDCAも重要です。その観点で方法をチェックしてみましょう。
事前の準備
まずは、実践するうえで欠かせないタイマーと、今日取り組むべきタスクを記入する「今日やることシート」を準備します。タイマーは、キッチンタイマーなど一般的なもので構いません。
タスクの決定
必要なものを準備したら、その日行うタスクを決定し、準備した「今日やることシート」に記入します。必要なタスクを一旦洗い出したうえで、その日行うべきタスクに優先順位をつけ、シートに記入しましょう。頭のなかだけでなく、紙などに記入して可視化することで、今日やるべきことがより明確になります。
作業の実施
実施するべきタスクを決めたら、あとは作業を実行するのみです。タイマーをセットし、作業を開始します。タイマーが鳴るまで行い、作業自体が完了していなくても、時間が来たら一旦終了します。ダラダラ続けず、意識も含め作業から離れることが大切です。
基本的に、割り込みが入らないような環境を準備します。会社からの緊急な連絡などによる割り込みを除き、スマートフォンを見えないところに置いたり、電源を切ったりするなど、邪魔になりそうな要素は予め絶っておくのが効果的です。また、少しの時間だからといってメールチェックなどもしないようにします。業務によっては、予めこのテクニックによるタスク実施を上司や同僚に伝えておくことも有効でしょう。もし緊急の要件で電話やメールをする必要がある時は、いったん作業を中断し、それらが終わってからあらためてタイマーをセットします。
シートの記録と休憩
タイマーが鳴ったら、今日やることシートの該当するタスクにチェックの記録を入れます。同時に、5分間の休憩を取ります。慣れるまでは大変かもしれませんが、タイマーが鳴ったらキリが悪くても作業は継続せず、きっかりと休憩に切り替えます。休憩時には、仕事の話をしたり、メールをチェックしたりといった雑務は一切せず、意識を作業からシャットアウトして「休憩」することがポイントです。休憩時には軽いストレッチを行ったり、コーヒーブレイクなどで気分を一新させます。
作業から休憩までの繰り返し
作業の進捗に関わらず、時間できっかりと区切りをつけながら25分間の作業と5分間の休憩を繰り返します。このサイクルを最大で4回繰り返し、その後は5分ではなく20分から30分程度の長めの休憩を挟みます。
ポモドーロテクニックを実施するときのポイント
方法だけ見ると実行すること自体は簡単に思えるでしょう。しかし、このテクニックを取り入れる目的は時間単位の作業効率の向上であり、ただ時間で区切っただけでは効果につながりづらいといえます。最後に、この手法を実施する際に押さえておくべきポイントを2つの観点から解説します。
タスクの優先順位をつけて回数を見積もる
いくら個々のタスクをポモドーロ(25分)単位で効率良く取り組めていても、そもそもそのタスクが優先順位の低いものであるとあまり意味がありません。そのため、タスク実施計画が重要です。「重要性」と「緊急性」の観点から優先順位をつけるアイゼンハワーマトリックスなどを利用して、まずは今日行うべきタスクを見極めます。
優先順位を見極め、今日実施すべきタスクを「今日やることシート」に記入したら、それぞれのタスクにどれくらいの時間がかかりそうか、予め見積ります。やるべきことが決まったら、とりあえず開始したいという気持ちもあるでしょうが、この単位でいくつ必要かを考えることで、タスクを細分化する能力も向上します。
あるいは、この単位で見積りした際に、5を超えるようだとタスクの単位が大きすぎるため、その分解が正しいかどうかを前もって判断できます。実施前の計画段階でこの回数を予測しておくことで、実行後のフィードバックの精度も向上するでしょう。
記録を参考にしてプロセスを改善する
この単位で実施の記録をつけますが、その記録を参考にして計画段階で見積もっていた時間との差分などを考察します。これによって、自身の計画と実施結果のギャップが可視化され、タスク実施プロセスにおいて改善点や効率化できる部分について仮説を持つことができます。計画段階での見積りがないと、結果のみから場当たり的な改善策になりかねません。同じタスクでも、より少ないポモドーロ数で行えないか、など記録をもとに考えてみてください。
このテクニックは、作業やタスクの生産性を向上させる時間管理術です。時間できっちり区切ってタスクに取り組むことで、適度な時間的プレッシャーからより生産性を高めるアイデアにもつながります。一方で、単に時間で区切ってタスクを実施するだけでは成果にはつながらず、事前の準備も大切です。その日行うべきタスクについて優先順位から考え、それぞれのタスクにかかる回数を見積もったうえで、実行結果から改善策を考えましょう。
まとめ
今回はタスク管理をうまく実践するための「ポモドーロテクニック」についてご紹介しました。ポモドーロテクニックについて正しく理解して実践すれば、現在の仕事の効率やタスクの遂行力も高めることができるでしょう。
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