タスク管理手法のひとつに、GTD(Getting Things Done)があります。この手法を導入すれば、適切なタスク管理が可能となり、業務効率化を実現できます。本記事では、タスク管理手法のひとつであるGTDの概要ややり方、大切なポイントなどについて解説するので、興味のある方はぜひ目を通してください。
タスク管理術GTDの概要と基本
GTD(Getting Things Done)は、タスク管理手法のひとつであり、アメリカの生産性向上コンサルタント、デビッド・アレン氏により確立されました。アメリカでは、多くの企業がこの管理手法をビジネスに取り入れており、近年では日本国内でも広がりを見せつつあります。
詳しくは後述しますが、頭の中を整理できるため、スッキリとした気持ちで仕事に取り組めます。また、優先的に取り組むべき業務が明確になり、効率よく仕事を進められるため、残業時間の削減効果も期待できるのです。
また、仕事に振り回されたくない、ビジネスだけでなくプライベートの管理もしたい、といった方にも適した手法です。
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GTDのポイントは「ストレスフリー」と「脳内の軽量化」
導入メリットとして、ストレスフリーの実現が挙げられます。やるべきことが山積みで、しかも整理できていない状態では、精神的に追い詰められてしまうケースも少なくありません。業務が思い通りに進まず、ストレスを抱えてしまいます。
GTDを活用すれば、頭の中を整理でき、やるべきことを最小単位で管理できます。タスクの消化不良を回避でき、真にやるべき業務に集中できるため、ストレスフリーも実現できるのです。
また、脳内を軽量化できるのも、特徴といえるでしょう。頭の中で管理しているやるべきこと、したいことを紙などに書き出すため、脳内をスッキリとさせられます。脳内を軽量化でき、やるべきことに力を注げるのがメリットです。
GTDは5つのステップで実践可能
GTDは、把握する、見極める、整理する、更新する、選択するの5ステップで実践するタスク管理手法です。以下、それぞれのステップごとに解説をしましょう。
ステップ①:把握する
最初のステップとして、把握することから始めましょう。気になっていること、やるべきこと、興味があること、仕事に関するアイデアなどを、把握するためのステップです。
まずは、頭の中にあるこれらすべてを、アウトプットしましょう。ノートやメモ帳のほか、パソコンの文書ツールでも問題ありません。大切なのは、気になることややるべきことなどを、余すことなくアウトプットすることです。
この段階では、優先度を考える必要はありません。また、必要かどうか、物事の大小なども考えなくてよいので、とにかく把握のために書き出していきましょう。
頭の中に抱えているすべてをアウトプットすれば、タスクを可視化できます。ステップ①は、タスクを可視化し把握するために実行するのです。
ステップ②:見極める
ステップ①で抽出した内容を、行動が必要であるかないかで分類します。行動が必要と判断したものは次のステップに進み、不要なものは処分しましょう。まずは、行動が必要か不要かで大別することが大切なポイントです。
行動が必要であると判断した案件から、短時間で完了できるものはその場で対処しましょう。すぐに済ませられない案件に関しては、エクセルなどのツールを用いて、管理案件として保存します。
ステップ③:整理する
ステップ③では、②で管理対象となった案件を整理します。具体的には、抽出した案件に優先順位をつけ、どれから取り組むべきかを決めるのです。優先順位は、緊急性や重要度の高いもの、他部署が絡むものなどを中心に考えるとよいでしょう。
優先度A、B、Cのように決めるほか、番号で管理するのもアリです。基本的に、自分がわかりやすければ問題ありません。わかりやすく優先順位をつけることで、どのタスクから手をつければよいのかを明確にできます。
優先順位づけだけでなく、カテゴリーの分類も行いましょう。資料作成や顧客へのアポイントとりなら「仕事」カテゴリーに、友人との食事や結婚式への参列などは「プライベート」カテゴリー、といった具合です。決まったルールはないため、あとから自分がわかりやすいようにカテゴリーわけを行いましょう。
ステップ④:更新する
ここまでのステップでタスクを抽出しても、時間の経過とともに重要度や優先度が変化するケースもあります。優先順位が変化すれば、取り組む順番も変わるため、定期的に最新の状態に更新しなくてはなりません。
①~③までのステップを定期的に見直し、必要に応じて修整をしましょう。このプロセスで、やるべき必要がなくなったタスクを洗い出すことができ、優先順位の変化にも気づけます。現状において、もっとも優先すべきことも把握できるでしょう。
ステップ⑤:選択する
ステップ⑤は、ここまでで抽出した案件を選択し、実行に移す段階です。優先順位づけした案件をチェックし、優先度の高い順から適切に行動へ移しましょう。
基本的に、ここまでのステップで、優先的に取り組むべきタスクを高精度に整理できています。そのため、ここまでくれば、あとはリストに沿って行動あるのみです。
そのときどきの状況に合わせて、最適な選択をすることも大切です。たとえ優先度の高い案件であっても、さまざまな事情で先に取り組めない、といったケースが出てくることもあるでしょう。リストが絶対ではないので、そのときの状況に合わせて、最適な選択をしてください。
時間管理の概念が薄いため「整理」ステップが大事
タスク管理手法として一般的なToDo管理では、納期や期限などを設定します。ToDo管理を、アプリやツール、エクセルなどを用いて行う場合でも、納期や期限を設定し、管理を行うのが一般的です。
一方、時間管理の概念が薄い特徴があります。ただ、いつまでにといった期限を定めない代わりに、不要なタスクを早い段階で排除し、抽出した案件に優先順位をつけているのです。
優先順位付けのコツ
ビジネス書の名著といわれる「7つの習慣」では、4つの領域にわけて優先順位をつけるとよいと解説されています。第1領域は、緊急かつ重要、第2領域は緊急ではないものの重要、第3領域は緊急だが重要ではない、第4領域は緊急でも重要でもない、と分類します。
このように、4つの領域にわけて考えれば、どのタスクから着手すべきかを明確にできます。不要なタスク、後回しにできるタスクもわかり、業務にとりかかりやすくなるでしょう。
「納期・期限」の項目を作るのも手
GTDでは、タスクの優先順位をつけますが、具体的にいつから着手しいつまでに終わらせる、といった設定はしません。そのため、優先度の高い業務に取り組み始めたとしても、期限までに間に合うのか、ほかの案件との兼ね合いはどうなのか、といったことはわかりにくい状況なのです。
ただし、時間概念が薄いものの、絶対に納期や期限を設定してはいけない、といった決まりはありません。よりきめ細かいタスク管理を実現したいのなら、納期や期限を設定するのもひとつの手です。
この手法を導入して活用すれば、優先度の高いタスクを洗い出すことができ、自分がどの仕事から取り組むべきかを把握できます。
まとめ
タスク管理手法のひとつであるGTD(Getting Things Done)についてご紹介しました。この手法を導入すれば、適切なタスク管理が可能となり、業務効率化を実現できます。GTDを用いれば、現在の仕事の効率も高めることができるでしょう。ぜひ、自信のタスク管理の一つの手法として実践していただければ幸いです。
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