Asana Japanの明日(ぬくい)氏と内山氏が講師を努めるオンラインセミナー「Asana製品ウェビナー初級編 -Excel管理を凌ぐAsanaとは!?」が開催されました。
Excel管理から脱却し、ワークマネジメントの精度や効率を向上させたいと考えている方に向けて、ワークマネジメントツールとして世界的に高い評価を得ている「Asana」の概要と主要機能を紹介する内容です。
今回は、セミナーの内容をレポートにまとめたので最後まで読んでみてください。
Asanaは現場の“困った”から生まれた?
明日氏:Asanaは、2008年にサンフランシスコで創業され、2019年に日本に進出した、ワークマネジメントツールを提供するソフトウェア企業です。実は、Asanaは旧Facebook社(現Meta)から生まれた会社であり、当時CTOを務めていたダスティン・モスコヴィッツがAsanaの現CEOです。
Asanaは急成長するFacebookの社内システムとして誕生しました。会社が成長する中で複雑化するコミュニケーションや業務プロセスを整理整頓し、見える化するためのタスク管理システムが構築されたことが、Asanaの始まりです。そして、このシステムが当時、Facebook社の生産性向上に大きく寄与したことを背景に、同じような課題を抱える企業にも提供したいという思いから、独立企業となりました。
なぜAsanaが選ばれるのか
明日氏:現在、Asanaは、大手企業から数十名規模のスタートアップ企業まで、業界業種を問わず幅広いお客様にご利用いただいています。誰もが使える直感的なインターフェースが、多くの企業に選ばれている理由の一つです。
Asanaは、労働環境における課題解決にも役立ちます。ここからは、労働環境の問題を示したうえで、Asanaで実現するワークマネジメントの概念と必要性について簡単にご紹介します。
仕事の60%を雑務が占める労働環境
明日氏:世界中の1万人のナレッジワーカーを対象とした調査を行ったところ、仕事全体のうちわずか30%しか本質的な業務に充てられておらず、残りの60%は雑務に費やされていることが明らかになりました。
雑務とは、次のような作業を指します。
- 他のメンバーの業務の進捗確認
- 会議のための準備
- 情報共有
- ファイルの検索
- 担当者、責任者探し
これらの作業の実態は、非生産的な作業 であり、業務上のコミュニケーションや管理の手段として例えばExcelで管理してしまっているために非効率であり、このような雑務に時間を費やしてしまっています。なぜこのような事態に陥ってしまうのでしょうか、具体的には次のようなものが挙げられます。
- 1日の仕事のかなりの量をメールの確認や返信に費やしている
- 週次の進捗確認会議がいくつもの部署と設定されており、Web会議で1日が終わってしまう
- 社内にさまざまなツールが存在しており、(Excelでの)依頼事項やタスクの更新に時間が掛かってしまう
こうした非生産的な作業を減らし、本質的な仕事に集中できる環境を作り出すためには、「ワークマネジメント」が重要になります。
ワークマネジメントとは?
明日氏:ワークマネジメントとは、プロジェクト管理やタスク管理だけでなく、それ以外の仕事も全て包括してマネジメント・可視化するという概念であり、プロジェクト管理やタスク管理の上位に位置する概念となります。
ワークマネジメントに適切に取り組むことで、1つの場所で、関係者全員が優先事項や進捗を確認し、話し合い、変化にリアルタイムに対応しながら働くことができます。
目の前の一つのプロジェクト、自分のチームの業務を管理するだけではなく、会社全体で仕事の動きを見える化・共有してコミュニケーションが取れるようになり、ワークマネジメントの本来の価値が発揮されます。
Asanaは多くの企業で導入され、効果を出しているワークマネジメントツールです。続いて、Asanaを導入し実際に効果を出している企業の事例を簡潔に紹介します。
導入事例:富士通株式会社
明日氏:富士通様には「フジトラ」という全社一貫のDXプロジェクトがあります。このプロジェクトは、新規事業の創出から事業収益の強化、業務プロセスの効率化、人事制度といった、経営から現場レベルまでの重要課題に取り組む全社的なプロジェクトです。
このプロジェクトのハブとしてAsanaを活用いただいたことで、雑務の30%削減に成功。パフォーマンスの高いメンバーの働き方をライブラリ化し、他のメンバーへ展開という、可視化が難しいと言われる“生産性の高い仕事の仕方”の継承が可能となりました。
また、これまで可視化されていなかった仕事を可視化することで、データに基づいた意思決定をしやすくなったと評価いただいています。
導入事例: ホーユー株式会社
明日氏:カラーリング剤などで知られるホーユー様は、成熟した市場で競争に勝ち残るために、部門を横断した商品開発プロジェクトを立ち上げました。しかし、部門ごとに使うツールが異なっていたことから、確認やコミュニケーションに手間がかかり、タスクの漏れや遅れが発生していました。
そこで、部門をまたぐプラットフォームとしてAsanaを導入。その結果、毎月2時間もかかっていたタスク調整業務がなくなり、本質的な商品企画に注力できる時間を創出できるようになりました。
導入効果
明日氏:Asanaの導入により仕事全体をマネジメントし、Excelで管理していたような1日の60%を占める雑務を効率化することで、企業全体の生産性が向上します。実際に、これまでAsanaを導入いただいた企業様からは、以下のような効果が報告されています。
- 効率の向上:82%の企業が実感
- インパクトの拡大:79%の企業が実感
- 透明性の改善:71%の企業が実感
- 生産性の向上:50%の企業が実感
- スキルを要する仕事にかける時間が増加:26%の企業が実感
このような成果を実現するAsanaですが、続いてソリューションエンジニアチームよりAsanaの機能について紹介させていただきます。
Asanaの機能|プロジェクトとタスクの基本
Asana Japan 内山氏:Asana Japanの内山と申します。ここからは、Anasaの基本的な機能として「プロジェクト」と「タスク」について説明します。
プロジェクト
内山氏:まずは、Asanaの基本機能である「プロジェクト」についてです。そもそもプロジェクトとは、何らかの目標を達成するための計画であり、一般的にチームで大規模に実行するものを指します。
多くの企業は、これらのプロジェクトをExcelで管理しています。Excelは多くのビジネスパーソンに慣れ親しまれているツールですが、情報が散乱しやすく、リアルタイムでの更新や共有が難しいといった課題もあります。そこで、Asanaを使うことでどのように改善されるかを見ていきましょう。
ExcelとAsanaにおけるプロジェクト管理の捉え方は似ており、どちらも「何を、誰が、いつまでに」という形式でプロジェクトが構成されます。
Asanaの利点は、プロジェクトの表示方法を自由自在に切り替えられる点です。例えば、「ボードビュー」ではカード形式で視認性を上げてプロジェクトを俯瞰できます。
「タイムラインビュー」ではプロジェクトを時系列で表示し、タスクの依存関係を確認できます。
このように、プロジェクトの局面に合わせて表示方法を変えていくことで、目的に沿った形で進行状況を把握でき、管理が容易になります。
プロジェクトをゼロから作成する場合は、以下の手順に沿って必要項目を入力および設定するのみです。
- Asanaのホーム画面左上の「作成」ボタンからプロジェクトを作成
- プロジェクト名、チーム、公開範囲を設定
- 担当者や期限を設定した「タスク」を登録
- 必要に応じて、セクションでタスクを分類
また、タスクにはメタデータを付与できます。例えば、各タスクに必要な時間や工数を設定することで、実際にかかった時間をトラッキングし、予実の比較が可能です。
プロジェクト機能のポイントをまとめると以下の通りです。
- 直感的な操作でプロジェクトの定義・管理ができる(Excelを使っている人もすぐに慣れることができる)
- リスト、ボード、タイムライン、カレンダーのようにお好みのビューに切り替え可能
- セクション、マイルストーン、カスタムフィールド、依存関係等の便利な機能が多数搭載されている
タスク
内山氏:続いて、プロジェクトの中の要素である「タスク」についてです。タスクとは、期間内または期限までに達成する必要がある活動を指します。具体的に「いつまでに何をするか」「誰がやるか」を定義するものがタスクです。
多くの企業では、メールやチャットを利用してタスクの依頼をしているケースがほとんどでしょう。しかし、この方法は内容が長くなりがちで、依頼にも時間がかかり、依頼された側も理解するのに時間がかかります。
これを簡素化するために、Asanaでは以下の要素を使ってタスクを依頼します。
- タスク名(要約)
- 担当者
- 期日
- カスタムフィールド(属性)
- タスクの説明(依頼内容等)
- サブタスク(要素分解):大きなタスクの場合に活用
- 経緯
- タスクに関連するコメント
- コラボレーター(関係者)
このように、あらかじめタスクの枠組みが用意されているため、依頼する側も受ける側もストレスなく業務を進められます。
依頼を受けた側の画面では、受信トレイにタスクの依頼が届きます。タスクの詳細や期日、依存関係が一目でわかり、「コメント」や「いいね」での応答が可能です。
また、ほとんどのナレッジワーカーは複数のプロジェクトに同時に関わっています。Asanaでは、全てのタスクを「マイタスク」に集約し、今日やるべき仕事、近日中にやるべき仕事、後日やるべき仕事に分類して一元的に管理できます。
これにより、効率的にタスクを管理でき、一日の計画を立てやすくなります。
タスク機能のポイントをまとめると以下の通りです。
- 依頼する側も依頼される側も、タスクに関連して発生する工数や心理的ストレスを低減できる
- 多数のプロジェクトに参画していても、自分の全てのタスクが「マイタスク」に集約され、一元管理できる
ExcelをAsanaに変えた場合の変化
内山氏:ここからは、これまでの説明をExcelとの比較という観点からまとめていきます。
最も重要なポイントは一つです。Excelでプロジェクト管理をする場合、「誰が、何を、いつまでにやるか」という情報が記載されますが、Excel自体は連絡手段ではありません。そのため、Excelを更新した場合、その更新内容を相手に伝える必要があります。
例えば、タスクが完了した際には、「タスクが完了しました」とプロジェクトマネージャーに報告し、その報告を受けたプロジェクトマネージャーがExcelを更新することになります。このように、コミュニケーションとタスク管理、ワークマネジメントが分離しているため、二度手間が発生します。
一方、Asanaではコミュニケーション、タスク管理、プロジェクト管理、ワークマネジメントを一元化できます。一つのアクションがコミュニケーションにもなり、タスク管理やプロジェクト管理にも反映されるため、二度手間を避けた効率的な使い方が可能です。この点がExcelとの決定的な違いといえるでしょう。
管理のために活用するツールをExcelからAsanaに変えることで、次のように日々の作業が簡素化されます。
まとめ
本セミナーでは、Asanaの基本的な機能である「プロジェクト」と「タスク」を中心に、Asanaが提供するワークマネジメントの概念とその効果について詳しく解説しました。
Asanaは、プロジェクト管理だけでなく、日々のタスクやルーティン業務も含めて仕事全体をマネジメントし、可視化できるツールです。直感的なインターフェースにより、誰でも簡単に使いこなせるため、ぜひAsanaを活用してワークマネジメントの精度や効率を向上させましょう。
また、Asanaには今回紹介した「プロジェクト」や「タスク」の他にも、ポートフォリオやゴール、ワークフローなどの便利な機能があります。後続のウェビナで他の機能についても詳しく紹介しますので、ぜひご参考いただければと思います。
- カテゴリ:
- Asanaのヒント