効率的・生産的に仕事を進めていくためにタスク管理は必須ですが、その方法はいくつか考えられます。タスク管理に特化した専用ツールを使う方法の他、身近なExcelで管理表を作成して利用する方法もあります。今回は、Excelにおけるタスク管理方法やメリット、その作り方まで網羅して解説します。
Excelでタスク管理をするメリット
タスク管理には有名な専用のツールがたくさんあります。しかし、あえて手近なExcelを利用して行うのにはどんなメリットがあるのでしょうか。
使いやすい
Excelは同じMicrosoft Office製品のWordなどと同様に、デスクワークをする多くのユーザーにとって、よく利用するソフトウェアのひとつです。そのため馴染みがあり、基本的な使い方は習得済みです。改めて研修や教育の機会を設けなくても、扱いにそれほど迷うことはありません。
Excelでタスク管理を行えば、たいていは直感的にすぐに操作できることから、利用してもらいやすいのがメリットのひとつです。別途、専用のソフトウェアを採用する場合と比較しても、日常的に利用するソフトウェアを基にして作られた管理ツールなら、導入も円滑に進むでしょう。
カスタマイズが容易
既存の管理ツールの場合、基本的に仕様が固定されており、多くの場合、後からカスタマイズがしにくくなっています。その点、Excelでタスク管理を行うのであれば、もともとソフトウェアに備わっている関数やマクロといった豊富な機能を駆使して、カスタマイズができます。外部の管理ツールを導入する場合と異なり、基本的には無料であり、自社に合った形にカスタマイズができる柔軟性があります。プロジェクトごとのガントチャートなども作成でき、進行の可視化に役立ちます。
ツール導入コストを抑えられる
市販されているタスクの管理ツールを導入する場合、当然ながら初期費用やライセンス料といった何かしらのコストがかかります。一方、自社で既にExcelを利用中であれば、改めて導入する必要がなくコストはかかりません。
また無料で配布されているテンプレートを活用すれば、開発コストの削減も可能です。仮にテンプレートに難しいマクロがたくさん使われていたとしても、その全てを把握する必要はないため、開発コストも手間もかかりません。またクラウドのツールを使う場合のように、月額や年額のランニングコストが発生しない点もメリットです。
Excelでのタスク管理方法
Excelでタスク管理をするメリットについては理解できました。それではExcelでタスク管理をするには、具体的にはどんな方法があるでしょうか。以下、主な方法を紹介します。
1から管理表を作って管理する
まず挙げられるのは、Excelのタスク管理表を1から全て自分で作成するパターンです。必要な項目の登録やデザインなどを全て自分で行います。
何もない空白の状態から全て自分で設計して作成することから、自社にあったタスク管理を用意しやすいのが特徴です。また、どのように設計されているかはすべて把握しているため、不具合の発生時やカスタマイズが必要な際にもすぐに修正しやすい面もあります。
一方で、自分で全て作るためには、それなりのExcelのスキルが必要となり、工数と時間もかかります。他の業務と並行してゼロから作るには、負担も大きくなるでしょう。また完成後、実際の運用で不具合や新たなカスタマイズをする必要が出てきた時には、修正や変更の手間もかかります。それが問題ないのであれば、1から自分で管理表を使う方法も選択できます。
テンプレートで管理表を作って管理する
マイクロソフトの公式サイトをはじめとして、Excel用の便利な無料・有料のテンプレートは、インターネット上からダウンロードして利用できます。たとえばマイクロソフト公式サイトでは、数千ものテンプレートが公開されていることから、その中から希望にあったものを選びやすいでしょう。Excelの開発元であるマイクロソフト社自身が提供しているテンプレートであるため、様々なビジネスシーンに適したテンプレートが用意されている点がメリットです。
一から自分で作成する場合と比べ、テンプレートを利用するとカスタマイズ性は劣るものの、何より手間はかからず、高いスキルも求められません。自分で全て用意するより、作成のハードルは低く、時間も節約できるでしょう。
Excelでのタスク管理表の作り方
ここでは、Excelを使ってタスク管理表を作る方法を紹介します。実際には、ここであげた以外にも方法は考えられるため、あくまで1つの例として参考にしてください。
項目を設定する
自分でタスク管理表を作成する場合は、まず必要な入力項目を抽出します。「プロジェクト名」や「タスク名」、「担当者名」はもちろんのこと、タスクの「進捗状況」(「ステータス」)や「開始日」・「終了日」は最低限必要となる項目です。その他、必要に応じて「優先度(重要度)」「メモ」「部署」「締切日」「カテゴリー(タスクを分類する場合)」といった項目を追加してもよいでしょう。
もちろん、ここで挙げた項目をそのまま使う必要はありません。どのような項目を設定するべきかは、作成するタスク管理表の性格によって異なります。あくまで自社の運用にあった項目を、タスク管理表に設定するようにしましょう。
デザインを整える
タスク管理表に設定する項目が決まったら、次にデザインを整えます。
まずは用意した項目を、タスク管理表に並べましょう。やり方はいくつかありますが、たとえば表の一番左上に「タスク名」を記入し、その隣にその他の項目を適宜入力するのも1つの方法です。項目名については、太字にした方が見やすいでしょう。
項目名を全て入力し終えたら、罫線や背景色・文字色などを工夫して表を見やすくデザインします。このとき表をさらに使いやすくする目的で、たとえばタスクのステータスの種類により追加で着色するためのルールを決めておくと、デザインを決めやすくなります。
各種機能を利用する
項目名の入力やデザインまで終了したら、次に関数や条件付き書式、プルダウン、マクロなどで管理表が使いやすくなるように設定します。
たとえば重要度やステータスといった、あらかじめ入力すべき内容が固定されている項目であれば、プルダウンで選択できるようにしておくと、後から入力しやすくなります。できるだけ使い勝手を良くした方が、利用してもらいやすくなります。入力する選択肢が限定されていれば、あとからフィルタ機能を利用して並べ替えや抽出をすると、全体のタスク状況が確認しやすくなるでしょう。
また、ステータスが終了のタスクは背景を灰色にするといったように、条件付き書式等を利用して設定しておけば、さらにタスク管理表を見やすくすることも可能です。その際、Excelであらかじめ用意されている配色(カラースケール)を活用すれば、デザインが苦手な方でも、より見やすい表に仕上がります。
その他、関数やマクロを利用して、タスク状況を管理するための計算を自動化しておくのもおすすめです。たとえば関数によって進行中のタスクや、「優先度」が緊急のものがどのくらいあるかを集計できるようにしておくことで、全体のタスク状況を把握しやすくなります。
まとめ
多くの人に馴染みのあるExcelでタスク管理表を作成すれば、誰でも直感的な操作でタスク管理を行えます。またプロジェクトごとの特性に合わせた管理表をカスタマイズできます。
また、より複雑なタスク管理表を作りたければ、高度なスキルがなくても無料・有料のテンプレートが利用できます。導入や運営にかかる費用、カスタマイズのための開発費がほとんどかからないのが、Excelのタスク管理表作成における最大のメリットと言えるでしょう。
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