テレワークは難しい?その理由と実施しやすくする対策について解説

 2021.06.01  2022.09.05

働き方改革関連法の施行や、新型コロナウイルスの感染拡大の影響も相まって、テレワークを導入する企業が増加しています。テレワークは、新しい時代に即したワークスタイルとして注目を集める一方で、さまざまな課題を抱えている働き方です。本記事では、テレワークの課題について触れるとともに、具体的な対策を解説していきます。

テレワークは難しい?その理由と実施しやすくする対策について解説

そもそもテレワークとは何か

「テレワーク」とは、「tele(離れた所)」と「work(働く)」をかけ合わせた用語で、場所や時間にとらわれることなく、オフィスから離れて働く就業形態のことです。

テレワークには、いくつかの形態が存在します。例えば、自宅を就業場所とする「在宅勤務」や、就業場所を選ばない「モバイルワーク」などが挙げられます。また、サテライトオフィスやスポットオフィスなどで働く「施設利用型勤務」も、テレワークの一種です。

近年、テレワークを導入する企業が増加傾向にあり、その背景には2つの理由が存在します。1つ目は、2019年4月に施行された「働き方改革関連法」です。同法が施行された目的は、柔軟かつ多様な働き方の実現や、長時間労働の是正、公平な待遇の確保といった労働環境の再構築にあります。従来のようなオフィス勤務にこだわることなく、フレキシブルな就業形態の構築が求められています。

2つ目の理由は、「新型コロナウイルスの感染拡大」です。「株式会社パーソル総合研究所」の調査によると、2020年3月の国内企業におけるテレワーク実施率は13.2%でした。しかし、緊急事態宣言発令後の4月になると、これが27.9%にまで上昇しています。新型コロナウイルスの感染症対策の一環として、テレワークを緊急導入したことに起因する上昇でしょう。現在、こうした社会背景が重なり、国内企業におけるテレワークの実施率が高まっています。

テレワークは難しいのか

テレワークは、企業と従業員の双方に多くのメリットをもたらす働き方です。企業側の観点から見ると、デスクやイスが不要になり、オフィススペースの縮小や管理費用の削減につながるメリットがあります。

一方、従業員側としては通勤ストレスの軽減や、育児と仕事の両立など、ワークライフバランスの実現に寄与する点が大きなメリットです。このほかにも、離職率の低下や柔軟な働き方の実現、事業継続性の確保など、さまざまなメリットが得られます。

しかし、どのような物事にも、メリットの裏には相応のデメリットがあるものです。例えば、テレワークでは自由な働き方が可能となる一方、勤怠管理や進捗管理、人事評価といった管理業務が困難になります。またセキュリティの脆弱性や、チームの連携性の低下なども無視できない課題です。

このような課題はあるものの、テレワークの導入によって高い成果を創出している企業も少なくありません。テレワークの導入が難しいかどうかは、企業の業種やシステム環境、経営戦略や資本力などによって異なると言えます。

テレワークが難しい理由

テレワークは新しい時代に即した働き方として、さまざまな業界で注目を集めています。しかし、そこには多くの課題が存在するのが実情です。ここでは、テレワークの実施における課題や、導入が困難とされる理由について解説します。

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コミュニケーションにまつわる理由

ビジネスにおいて、コミュニケーションは非常に重要なテーマです。社内コミュニケーションが活発化することで、組織内の円滑な情報共有につながります。また交流が深まれば、チーム全体の連携性の向上にも寄与します。プロジェクトを成功に導くためには、社内コミュニケーションの活発化が不可欠な要素と言えるでしょう。

しかし、自宅やカフェなどで業務に取り組むテレワーク環境では、コミュニケーションが著しく制限されます。そのため、プロジェクトの進捗管理やスケジュール管理が困難になり、生産性の低下を招く可能性があります。

本来であれば、上司や同僚との何気ない会話からビジネスアイデアが生まれることもあるでしょう。テレワーク下では会話の機会自体が減るため、いかにしてコミュニケーションを活発化させるかが重要な課題です。

セキュリティにまつわる理由

セキュリティ管理は、テレワーク環境における最重要課題の1つです。テレワークでは多くの場合、従業員の個人用PCを業務利用します。しかし、一般的な個人用PCは、企業システムほどのセキュリティ機能を備えていません。一般家庭のWi-Fi環境の利用も、セキュリティ管理の観点では不安が残ります。

脆弱なセキュリティシステムは、マルウェアや不正アクセスによる情報漏えいインシデントを招く原因となります。また、モバイルデバイスやUSBメモリなどを紛失し、情報漏えいインシデントを招いたという事例もあります。企業の経営資源である情報を、どのように脅威から守るのかが大きな課題です。

勤怠管理にまつわる理由

オフィス以外で業務に取り組むテレワーク環境では、従業員の勤怠管理が非常に困難となります。テレワークでは従業員の出社が不要となり、さまざまなコストを削減できるのが大きなメリットです。その反面、作業進捗や業務プロセスが不透明になるというデメリットもあります。

また、業務に対する貢献度が測りにくくなるのも大きな問題です。従業員の貢献度は、単純な数字だけで測れるものではありません。プロジェクトを成功へと導くためには、チームメンバーのサポートやアイデアのシェアといった間接的な貢献も必要です。テレワーク環境では、こうした支え役的な存在の貢献度が可視化しにくくなります。

仕事環境にまつわる理由

テレワーク環境を最適化するためには、効率的な業務体制を構築する必要があります。テレワークは、PCとインターネット環境さえあれば実施できるものではありません。コミュニケーションを図るためのアプリケーションや、セキュリティを強化するシステムの導入も必要です。

また、業務利用するPCについて会社が提供するのか、あるいは従業員の私物を使うのかといった問題もあります。インターネット回線の通信費用が、企業負担か従業員負担のどちらになるのかといった点も同様です。こうした仕事環境にまつわる問題も、テレワークの導入が難しいとされる理由の1つです。

業務特性にまつわる理由

テレワークはさまざまな業界から注目を集めているものの、すべての業種が適しているわけではありません。業種によってテレワークの導入難易度は変わり、なかには不可能なものもあります。例えば、顧客と直接的なやり取りを行う営業職や、工場勤務の技術職などは、テレワークの導入が困難な業種です。

飲食業に従事する調理師や、保育施設で働く保育士、介護施設に就業している介護士などは、テレワークの実施は不可能に近いと言えます。医師や看護師といった医療従事者も同様でしょう。このように業種の特性上、そもそもテレワークの実施が困難、あるいは不可能というケースもあるのです。

テレワークを実施しやすくする対策

新しい時代に即した働き方として普及しつつあるテレワークですが、環境の最適化にはまだまだ課題が山積みです。しかし、適切な環境を整えることができれば、企業と従業員の双方にとってメリットをもたらす働き方と言えるでしょう。ここでは、テレワーク環境を整えるための対策について解説していきます。

各種ITツールを導入する

テレワークの導入において問題となる要素は、主に「コミュニケーション」「セキュリティ管理」「勤怠管理」の3つです。これらの問題を解決するためには、各種ITツールの導入が求められます。

例えばコミュニケーション不足なら、オンライン会議システムやチャットツールを取り入れることで解決可能です。プロジェクト管理やタスク管理に特化したワークマネージメントツールを導入すれば、セキュリティ管理と勤怠管理も最適化できるでしょう。

企業が環境整備に関わる

テレワーク環境の構築におけるさまざまな懸念事項は、企業が積極的に環境整備に関わることで解決できます。例えば、セキュリティリスクが懸念されるのなら、サテライトオフィスの設置を視野に入れるべきでしょう。また、セキュリティシステムを備えた各種デバイスを支給するのも有効な施策です。テレワーク環境の構築を従業員任せにするのではなく、企業が主体となって取り組むことが求められます。

評価の仕方や基準を見直す

テレワークは従来の就業体制と大きく異なるため、人事評価の見直しが不可欠です。テレワーク環境では、従業員の業務プロセスを可視化できないため、適切な人事評価が困難になります。さらに業務プロセスが見えないことで、成果主義に偏ってしまいがちです。成果は必ずしも数値化できるとは限らないため、公平かつ平等な人事評価につながりません。そのため、人事評価制度の抜本的な見直しと改革が求められます。

実施しやすい業務に適用する

テレワーク環境の構築は、企業全体にまで及ぶ必要はありません。営業部門や販売部門のような、顧客と接する必要がある業種はテレワークに不向きです。テレワークに向く業務とそうでない業務を切り分け、選別するのも選択肢の1つと言えます。

また、不向きな部門については、アウトソーシング化を視野に入れてみましょう。営業部門や経理部門、物流部門などをアウトソーシング化することで、企業利益に直結するコア業務に注力できるようになります。

セキュリティについて従業員教育をする

セキュリティ管理で大切なのは、ITシステムの導入だけでなく、組織全体における従業員一人ひとりの危機管理意識の徹底です。そこで重要となるのが、情報セキュリティポリシーの策定です。情報セキュリティ対策に関する企業規定を具体的かつ明確に定め、組織全体で共有する必要があります。情報セキュリティポリシーを策定することで、組織全体における情報管理意識の向上につながるでしょう。

まとめ

テレワークは新しい時代に即した働き方として、多くの企業から注目を集めています。新型コロナウイルスの感染症対策という一過的なものではなく、新しい働き方のスタンダードとなっていくでしょう。最適化されたテレワーク環境を構築するためには、進捗管理やセキュリティ管理に特化したITソリューションの活用が欠かせません。そこでおすすめしたいのが、ワークマネージメントツール「Asana」の導入です。

Asanaはあらゆる情報やツール、ワークフローを一元的に管理し、プロジェクトやチームのタスク管理を可視化します。また、テレワーク環境の構築に不可欠となる、コラボレーション機能を備えているのも大きな特徴です。テレワーク環境の最適化を目指す企業にとって、必須のシステムと言えるでしょう。
https://asana.com/ja

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