プロジェクト管理をする上では、ステークホルダーの存在を意識することが重要です。ステークホルダーマネジメントの仕方によっては、プロジェクトの成功が大きく左右されます。本コラムでは、プロジェクトにおけるステークホルダーとはどのような人たちなのか、その具体例を交えながらステークホルダーマネジメントの重要性とポイントを解説します。
プロジェクトにおけるステークホルダーとは
プロジェクトにおけるステークホルダーとは、そのプロジェクトで利害関係が発生するすべての人や団体のことです。
プロジェクトにはステークホルダーマネジメントが欠かせません。なぜなら、ステークホルダーが満足する成果物を作り上げることが、プロジェクトの大きな目的のひとつだからです。つまり、プロジェクトを進行する上でステークホルダーを意識することが重要だということです。
ステークホルダーの詳細については「ステークホルダーとは?利害関係の範囲や種類から関連用語までをわかりやすく解説!」で詳しく解説していますので、合わせて参考にしてください。
プロジェクトにおけるステークホルダーの例
それでは、プロジェクトにおけるステークホルダーとはどういう人達なのかを確認していきましょう。
プロジェクトを進行するメンバー
PMやPLにおいて、もっとも身近なステークホルダーは、プロジェクトメンバーです。
プロジェクトを進行するメンバーは、プロジェクトが成功するか否かによって企業をはじめとした身近な上司への信頼性が得られますし、担当するタスクへのプレッシャーや完了したときの達成感など、心理的な利害関係が構築されています。
プロジェクトにおいては、プロジェクトメンバー一人ひとりもステークホルダーなのです。
プロジェクトを決裁・承認する者
プロジェクトは、自社の部長や社長などのポジションを担う人物も含まれます。
プロジェクトがどのように利益になるのか、どのように評価されるのかが、プロジェクトの決裁や承認者の利益につながるからです。もちろん、プロジェクトが失敗すれば、その損失の責任を負うのも決裁者や承認者になり、利害関係が発生しますので、プロジェクトにおけるステークホルダーに含まれます。
取引先(社外)
取引先をはじめ、プロジェクトに関わる社外の人や団体もステークホルダーです。
特に、社外のステークホルダーとは金銭的な利害が発生しますので、綿密な計画を立ててマネジメントしなければなりません。極端な話をすれば、取引先との折り合いが悪くなればプロジェクトは失敗する可能性が高くなるのです。
消費者(ユーザー)
プロジェクトによって世の中にもたらされる成果物は、最終的に消費者(ユーザー)のもとへ届けられます。
つまり、消費者もプロジェクトのステークホルダー(利害関係者)だといえるのです。成果物の品質が悪ければ消費者はそれを使いませんし、場合によっては「購入して損をした」という印象を持ち、商品はもちろん、それを販売する企業評価の低下にもつながる可能性があります。
ですので、プロジェクトのステークホルダーとして消費者を意識することも、PMやPLにとって重要なことなのです。
ステークホルダーマネジメントの重要性
上述のステークホルダーの例をみてもわかるように、プロジェクトではステークホルダーの満足度を意識する必要があるのです。そこで重要なのが、ステークホルダーマネジメントだといえます。
ステークホルダーマネジメントの目的
ステークホルダーマネジメントの目的は、プロジェクトがステークホルダーに承認されるかどうかや、ステークホルダーが納得するものを完成させられるかどうかを意識してプロジェクト管理を行うことです。
つまり、ステークホルダーの満足度を満たせるようにプロジェクトを進めていくということでもあります。
ステークホルダーが納得しない、あるいは損をしてしまうようなプロジェクトは失敗です。プロジェクトの成功はステークホルダーの賛同と利益をもたらすものでなければなりません。だからこそ、プロジェクトを成功させるためには、ステークホルダーマネジメントを徹底する必要があるのです。
ステークホルダーマネジメントの手順
プロジェクトの成功にとって重要なステークホルダーマネジメントですが、どのように進めればよいのでしょうか。ここでは、ステークホルダーマネジメントの手順をみていきましょう。
1.ステークホルダーの特定
プロジェクトに関わる利害関係者を洗い出します。それは、プロジェクトメンバーや社長などの社内のステークホルダーはもちろん、株主や取引先などの社外のステークホルダーもすべて認識することが重要です。
2.ステークホルダーを意識したプロジェクト計画の立案
それぞれのステークホルダーは、立場や権限によって利害の内容が異なります。例えば、プロジェクトメンバーであれば信頼ややりがい、株主であれば企業の信頼性によって変動する株価などです。
それぞれの立場に適した接し方や報告方法(内容や報告手段など)を段取りして管理します。
3.プロジェクトの進行中も密なコミュニケーションを取る
それぞれのステークホルダーに対しては、プロジェクトの進行中にも密なコミュニケーションを取る必要があります。
プロジェクトの進捗やトラブル報告、方向性の変更がある場合は各ステークホルダーへのヒアリングも必要です。
4.ステークホルダーの状況を把握しておく
現時点でのステークホルダーの状況を把握しておくことも、ステークホルダーマネジメントには欠かせません。
例えば、身近なステークホルダーであるプロジェクトメンバーの稼働率はもちろん、進捗の遅れなどが発生しているならばその原因や悩みなどに対してもフォローが必要です。また、プロジェクトの進捗状況に対して取引先や株主が満足しているのか否かもヒアリングして、状態を把握しておく必要があります。
5.「3」「4」を反復しながらプロジェクトを進める
プロジェクトの進行中は、「3.」と「4.」で示したように、ステークホルダーとの密なコミュニケーションを取り、ステークホルダーの状態把握を繰り返しながら管理していかなければなりません。
ステークホルダーのだれかが現在の進捗に不安を感じているようであれば、その原因などをヒアリングして安心材料を提示するなどの対策が必要です。
ステークホルダーの満足度を高めるポイント
プロジェクトを成功に導くには、ステークホルダーの満足度を高めていくことが必須です。
満足度を高めるポイントは、ステークホルダーと密なコミュニケーションを取ることだといえます。ステークホルダー一人ひとりの特徴や性格をつかみ、その要望を把握することがステークホルダーの満足度を高めることに役立ちます。つまり、ステークホルダーと密なコミュニケーションを取ってニーズをつかむということです。
例えば、各ステークホルダーが、プロジェクトに対してどのような思いを持っている(不満や安心など)を把握し、ステークホルダーが納得する方向でプロジェクトを進める、あるいはプロジェクトへの影響力があることを伝えるなどの方法も考えられます。
ステークホルダーが不満を抱いている場合にはその原因を明確に把握し、不満を解消するための対応策を準備しておくことも大切です。
まとめ
プロジェクトにおけるステークホルダーは、プロジェクトを実施するに当たり利害関係が発生する人や団体すべてのことを指します。プロジェクトの成功は「ステークホルダーの満足度」にも大きく左右されますので、ステークホルダーと密なコミュニケーションを取ることが大切です。ステークホルダーマネジメントの手順やポイントを押さえて、ステークホルダーへの考え方を身につけましょう。
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