部下に指示を出しても、思うように行動してくれないと悩んでいる管理職の方は多いようです。もしかすると、問題は部下にあるのではなく、指示を出す側にあるのかもしれません。そこで本記事では、正しい指示の出し方や意識すべきポイントなどについて解説します。記事の内容を踏まえ、日々の業務で実践してみましょう。
指示は明確に伝えるのが基本
部下に指示を出すときは、できるだけ明確かつ具体的に伝えるのが基本です。曖昧な表現はなるべく使わず、どの仕事から取りかかるべきなのか、優先順位も伝えましょう。また、一度にたくさんの指示を出さないこと、必要事項を簡潔に伝えることも大切です。
曖昧な表現は使わない
曖昧な表現は、人によって受け止め方が異なり、認識違いを生じさせる要因となります。曖昧な伝え方はせずに、5W2Hを意識して指示を出しましょう。
たとえば、「できるだけ早くやって」と指示を出したとします。「できるだけ早く」の感覚は人によって異なるため、1分程度と考える方もいれば、1時間以内に終わらせれば問題ないと考える方もいるでしょう。
指示するときは、何を・いつまでに・どうしてほしいのか、できるだけ具体的に伝えることが大切です。「10時までにお客様からの問い合わせ内容をまとめて提出してほしい」といった形にすると、指示を受ける側も迷いなく行動しやすいでしょう。
優先順位を伝える
業務によっては、優先的に片づけなくてはならないものもあります。優先順位の指示がないと、優先度の低い業務から手をつけてしまい、急ぎの案件が間に合わない、といったことが起こりえます。このような事態を避けるべく、指示する際は優先順位をきちんと伝えましょう。特に、社会人になったばかりの新人は、優先順位の指示がないと自己判断で仕事を進めてしまう可能性があります。
また、優先順位を伝えるときは、なぜその順番で進めるべきなのかも説明してあげると親切です。「その業務を先に済ませないと、連携している他部門が次のプロセスに進めない」「上司が意思決定できない」など、納得いく理由も説明してあげれば、取り組む順番を間違えるリスクも軽減できます。
指示は多くても3つまで
一度にたくさんの指示を出してしまうと、部下が混乱してしまうおそれがあります。記憶力や情報処理能力は人によって異なるため、一度にいくつもの指示は出さず、多くても3つ程度にとどめておきましょう。
多すぎる指示は、聞き漏らしや認識違いを生む可能性があります。その結果、「伝えたはずなのに部下がきちんと動いてくれない」「終わっているはずの業務が完了していない」といったことが起きてしまうのです。3つ以上の指示を出すときは、指示する側が情報をきちんと整理し、わかりやすく伝えましょう。メモに書き出したり、図示したりといった方法も効果的です。
ポイントを絞って話す
指示するときは、業務の遂行に必要なポイントに絞って伝えることが大切です。雑談や余計な前置きが長くなってしまうと、要点がぶれてしまい、真に伝えたいことが伝わりません。
必ず押さえるべきところや、失敗しやすいポイントもきちんと伝えましょう。重要なことや失敗しやすいポイントを具体的に説明しておけば、部下は安心して業務に取り組め、ミスも回避できます。
伝えたあとは、部下の理解度も確認しておきましょう。認識違いがないか、話した内容がきちんと伝わっているかなどを確認してください。
仕事の指示でさらに意識したい3つのポイント
ここまで、指示を出すときの基本をお伝えしました。さらに、以下の3つのポイントを押さえておけば、より部下に指示が届きやすくなるでしょう。基本に忠実な指示を出しているのに、なぜか部下が思うように動いてくれない、といったケースが多い場合は、これらのポイントを踏まえたうえで試してみてください。
完成までのステップに分けて説明する
曖昧な指示だけで適切に行動できるのは、並外れた理解力や情報処理能力を有する者だけです。多くの方は曖昧な指示では動けないため、業務を細かくステップに分け、わかりやすく説明してあげましょう。
業務プロセスで特に重要な部分をピックアップして伝えるのがポイントです。さらにチェックリストを用意し、1つのプロセスが完了するごとにチェックしていけば、作業漏れやミスを回避できるでしょう。
たとえば、営業における事前準備であれば、「アポイント取り」「顧客やニーズのリサーチ」「プレゼン資料作成」といった具合にプロセスを分類します。そのうえで具体的な説明を行い、なおかつチェックリストと組み合わせるのです。
目的や理由も共有する
「なぜこの業務が必要なのか」「なぜ優先度が高いのか」といった疑問を抱く部下も少なくありません。目的や理由がわからないと、何となく仕事をこなしたり、モチベーションが低下したりといった弊害を生むおそれがあります。
目的や理由を共有すれば、部下は納得して業務に取り組めます。たとえば「次の部署に引き継がないといけないから優先度が高い」といった具合に説明すれば、緊急度や重要性を理解してもらえる可能性が高いでしょう。
指示されたことだけをこなすのではなく、業務の目的や理由を理解することで、部下の主体性やリーダーシップも養えます。人材育成の観点からも、目的や理由を共有することは大切です。
相手の理解度やスケジュールも確認する
「理解した」とはっきり返事をしたにもかかわらず、指示が正しく伝わっていないケースはよくあります。伝える側に問題があったり、部下が二つ返事や勘違いをしていたりなど、原因はさまざまです。
このような事態を回避するには、指示をきちんと理解しているか、確認しながら話を進めることが大切です。一気に駆け足で話すのではなく、ところどころ止めながら、部下の表情や反応も確認しつつ進めましょう。
新人に対しては、業界特有の専門用語や社内用語などをなるべく使わないのも大切です。専門用語を使うときは、理解しているかその都度確認しましょう。また、不明点がないかその場で確認し、ある場合はそのときに解決することです。
人によっては、すでにいくつものタスクを抱えている可能性があるので、スケジュールや都合にも配慮してあげましょう。
仕事の指示で避けるべきこと
命令口調や人格を否定するような発言はNGです。モラハラやパワハラと受け止められるだけでなく、部下のモチベーション低下にもつながります。
強い言葉で指示を出すと、部下が萎縮してしまうおそれがあります。恐怖心を与えてしまい、自発的な行動や積極的な発言もしなくなってしまうでしょう。指示がないと動けない、いわゆる指示待ち人間になってしまう可能性もあります。育成の一環だと考え、部下を萎縮させないような指示の出し方が上司には求められます。
テレワーク下での指示における注意点と対策
近年、さまざまな事情でテレワークを導入する企業が増えました。そこで最後に、テレワーク下の指示における注意点や対策について解説します。
テレワークではより的確な指示を
テレワークでは上司の目が行き届きにくくなるため、より的確な指示が求められます。5W2Hを意識するのはもちろん、オフィスワーク以上にしっかりとコミュニケーションを取り、理解度を確認することも大切です。画像や箇条書きなどで指示を出すのもひとつの手です。
成果物や目標を明確にしておけば、部下は達成に向けて一直線に進めます。働きぶりが見えづらいテレワークだからこそ、成果物や目標は明確にしておきましょう。
タスク管理と業務の可視化で対策
テレワーク下においては、部下の業務進捗や作業内容などが見えづらい課題があります。また、オフィスワークのように気軽にコミュニケーションが取りにくく、部下が上司に相談しにくい問題も発生します。
ITツールを導入し、タスク管理や業務を可視化すれば、このような問題を解決できるでしょう。オンラインで進捗状況を可視化し、情報共有することで、上司と部下が互いの状況を把握しやすくなります。
ワークマネジメントツール「Asana」なら、タスク管理やプロジェクト管理を1つのプラットフォームで行えます。コミュニケーション機能や情報共有機能なども実装しており、業務効率化や生産性の向上も期待できるでしょう。
まとめ
部下が思い通りに動いてくれるような指示を出すには、指示出しのポイントや注意点をまず理解しておく必要があります。適切な指示出しを心がけ、部下を思うように動かせるビジネスパーソンを目指しましょう。
コロナ禍が収束したあとも、テレワークはある程度定着すると考えられます。オンラインで個人の業務進捗やチームの状況を正確に把握できれば、的確な指示を出せるでしょう。それを実現するには、今回ご紹介したワークマネジメントツール「Asana」の活用がおすすめです。この機会にぜひ、導入を検討してみましょう。
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