サービス業には多くの人が従事しており、私たちの生活基盤を支えています。しかし今、人材不足などで廃業に追い込まれてしまう企業も少なくありません。本記事では、サービス業が直面している課題と、その解決策についてわかりやすく解説します。業務を効率化したいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
日本のサービス業が抱える課題とは?
サービス業とは、顧客のさまざまな要望に対して無形のサービスを直接、提供することにより、対価を得る業種のことを指します。宿泊業・飲食サービス業、生活関連サービス業・娯楽業、医療・福祉、情報通信業など、幅広い業種がサービス業に含まれます。
国内の多くの産業同様、サービス業もさまざまな問題を抱えています。例えば近年、サービス業に対する需要は高まる一方ですが、就業者数が十分ではなく、供給が需要に追いついていないという側面があります。さらに、一部のコンビニエンスストアやファーストフード店などでは不規則なシフトを強いられたり、アルバイトなどの非正規社員が職場の多数を占めたりといったことも問題になっています。
慢性的な人手不足
厚生労働省が公表している「令和4年版厚生労働白書」によると、少子高齢化にともなって、すでに減少に転じている20歳から64歳までの現役世代人口は2025年以降、減少がさらに加速すると予測されています。
サービス業は私たちの生活に大きく関わっており、需要は高くなる一方です。ただし、労働力として期待できる現役世代人口が減少すれば、人を雇いたくても雇えないといった事態に陥ってしまいます。現在のような人材不足の状況が続けば、サービス業が立ち行かなくなることは十分に予想されます。
深夜勤務や不規則なシフトによる疲弊
サービス業では、固定した休日が決まっていなかったり、そもそも休日を取得しづらかったりする企業や店舗もあります。特にコンビニエンスストアや24時間営業のファーストフード店などでは、シフトが不規則になりがちで、深夜勤務を担当しなければならないこともあります。
コンビニエンスストアなどの雇用形態は、アルバイトやパートといった非正規雇用が多いのが現状です。正社員に比べて非正規社員は賃金や福利厚生、そのほかの待遇などで条件が劣っていることが多く、賃金に見合わない重労働を課せられたり、安易に雇用を切られたりする恐れもあります。こうした状況が続くなかで、サービス業に人材が定着することは難しいといわざるを得ません。
「雇用したいのに人が見つからない」企業と、「仕事をしたいのに雇ってもらえない」求職者がそれぞれ求める条件面でうまく合わず、雇用のミスマッチが起きやすくなっていることもサービス業の人材不足の原因のひとつです。
サービス業の人手不足を解消する方法
では、サービス業の人手不足はどのように解消していけばよいのでしょうか。ここでは四つのポイントを挙げて紹介します。
労働環境を改善する
日本が直面している少子高齢化は社会全体の課題です。育児や介護などを行うために多様な働き方が求められている背景もあり、2019年4月から「働き方改革関連法(働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律)」が順次、施行されています。同法の趣旨は、長時間労働や重労働を課せられる労働環境を改善し、柔軟な働き方を選択できる社会を実現することです。労働環境が改善すれば、生産性の向上や就業機会の拡大を期待できます。働き方改革関連法の目指す社会が実現すれば、就業者のモチベーションが向上し、スキルを存分に発揮することも可能になって、働く人がよりよい将来を描けるようになります。
サービス業もまた働き方改革を大胆に実践していくことが求められています。仕事のみならず、育児や家事、介護、趣味などの時間を確保できるよう、労働環境を改善していかなければなりません。例えば、「ノー残業デー」や「フレックスタイム制」を導入して、就業時間の短縮を図ったり、就業時間の選択の自由度を高めたりすることは労働環境の改善に大きく寄与することが期待できます。育児や介護に携わっている人は、短時間労働制を選択できるようにしたり、育児休暇や介護休暇を取得しやすくなったりすれば、仕事との両立を図りやすくなります。
一人ひとりの労働時間を減らせば、業務が回らなくなるのではないかと思われるかもしれません。しかし、業務の効率化を図れるツールなどを活用して、生産性を向上させることができれば、十分に対応することは可能です。働く人のエンゲージメント(愛着心)が向上すれば、離職率の低下も期待できるため、結果として有効な人材確保策になります。
評価制度や待遇を見直す
人材不足を解消するには、働きやすい環境作りとともに、業務に対する評価が適正かどうかもチェックすべきポイントです。待遇に不満を感じている従業員がいれば、会社へのエンゲージメントが下がり、離職してしまう恐れもあります。「待遇に不満を感じる」理由が何かをヒアリングし、もし公平かつ適正な評価が行われていないのであれば、早急に評価基準を見直す必要があります。例えば、何をどのレベルまでできたなら時給をアップするといった明確な基準を設けることは、すぐに取り組めます。さらに、定めた基準をすべての従業員に周知徹底すれば、一人ひとりが共通の認識を持って、仕事に取り組んでいけるでしょう。
適切な人材教育を行う
サービス業は、顧客に無形物を提供するという性質もあり、まだ機械化できる部分が多くはありません。人の労働に頼る部分が多い「労働集約型産業」です。そのため、いかに人材のスキルや経験を伸ばすかで、業務がうまく回っていくかどうかが変わります。
OJTのように誰かに教えてもらう方法では、教える側にも教えられる側と同じ拘束時間が発生します。そこで昨今はデジタルマニュアルを整備する企業も見られます。新しく雇用された従業員はマニュアルを見ながら仕事を覚えていくことができ、自学自習スタイルでスキルを身に付けられるのがメリットです。適切なマニュアルを整備できれば、教育に必要な時間や人員を抑えられるため、人的コストも最小限ですみます。
DXによって労働生産性を高める
昨今よく耳にするようになったDX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタルによってビジネスを根底から変革する取り組みのことです。経済産業省の後押しもあり、サービス業にも、DXを推進する動きが広まりつつあります。
2022年3月に経済産業省が発表した「サービス生産性レポート」では、労働生産性を高めることが特に重要だと提言されています。そのためには、人的リソースを効果的に活用する必要があります。
サービス業では、特にバックオフィス業務がDXの推進による恩恵を多く受けるとされます。売上予測に基づく効率的なシフト管理や、閑散時期に従業員をほかの業種や企業に従事させるような取り組みも有効です。本レポートでは、サービス業でDXを推進している例として、作業割当やシフト表を自動作成するシステムを導入した「HRテック」が紹介されています。これまでシフト作成に膨大な時間がかかっていたものを自動化することで、業務の効率性を向上させることができます。
サービス業の生産性向上に役立つAsana
柔軟な働き方ができるように支援するためのシステムとして「Asana」があります。Asanaはワークマネジメントプラットフォームとして、一人ひとりのタスクやプロジェクトを一元的に管理できるのが特徴です。手作業での負担を減らすことで、業務の効率化や迅速化を図ることができます。サービス業の人材不足という課題を早急に解決するには、こうしたデジタルツールの活用をおすすめします。
まとめ
日本のサービス業は慢性的な人材不足に陥っており、このままでは廃業が増え、業界として立ち行かなくなってしまうかもしれまん。解決策としては労働環境の改善や、効果的な教育体制の整備、DXの推進などが考えられます。DXの推進することでは、Asanaといったツールを活用することで、社内全体の生産性の向上が期待できます。興味をお持ちの方は、ぜひ導入をご検討ください。
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