企業が生産性を高めるためには、業務プロセスの改善が欠かせません。では、そもそも「業務プロセス」とは、一体どういったものを指すのでしょうか?本記事では、業務プロセスの概要や改善する重要性、また方法について詳しく解説します。業務プロセス改善に役立つツールも併せて紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
業務プロセスとは
「業務プロセス」とは、一体どういったものを指すのでしょうか?さまざまな定義がありますが、一般的には業務の一連の流れや構造、手順のことを指します。
そもそも業務とは、企業において売上を出し、企業価値を高めるなどの目的を達成するために行われるものです。しかし通常、1つの業務で完結して目的に届くことは少なく、複数の業務を経た先に目的の達成があります。
例えば、商品を販売して売上を出すには、材料を仕入れたのちに、商品の製造・出荷・販売などの業務が必要です。また営業では、見込み顧客の獲得やコンタクト、商談などの業務が必要とされます。このように、目的達成のために必要とされる各業務の流れが、業務プロセスです。
業務プロセスを改善する重要性
業務プロセスは、各業務のつながりや流れを整理することで改善できます。とはいえ、「すでに業務プロセスが成立しているのに、改善する意味はあるのか」と思われる方もいるかもしれません。しかし実際、業務プロセスの改善は、以下の3つの観点から非常に大きな意味を持ちます。
業務の効率化
複数の部署をまたぐ業務プロセスの場合、気づかない内に各部署での業務が重複している可能性があります。場合によっては、前後の流れを変えるだけで、より効率的に業務を進められることもあります。中には、業務を見直すことによって、工数を減らせるケースもあるでしょう。このように、業務の流れを整理することで、現状よりも時間をかけずに同じ結果が得られ、業務効率化につながります。
また、週1回など必ず行われる定例業務は、ITなどの最新機器を取り入れることで自動化できるかもしれません。ペーパーレス化なども業務改善の1つです。このように、業務同士の流れを考え直すだけでなく、業務そのものの効率化も考えてみましょう。
コストの削減
業務プロセスの改善によって業務が効率化されると、コストの削減にもつながります。コストを削減できれば、企業利益の拡大が目指せます。
業務プロセスの改善は、特に人件費・物流費などを指す「オペレーションコスト」の削減に有効です。オペレーションコストは、企業が支払うコストの中でもとりわけ多くを占めるため、これを削減することで大幅なコストダウンが図れるでしょう。
再現性の担保
業務プロセスを改善することで、再現性が確保できるのもメリットです。「再現性」とは、ある業務を誰が担当しても行えること、また同じ成果を上げられることを指します。再現性を確保すれば、組織が改編した際にも即座に対応可能です。
逆に再現性がないと、担当者に任せっきりになってしまい、いざというときに誰かが代わりに業務を遂行できません。リスク管理の観点からも、誰もがわかる業務の流れや仕組みを作っておくことが大切だと言えます。
このように、より効率よく、より低コストで企業の目的を達成するには、業務プロセスの改善が欠かせません。
業務プロセスを改善するにあたってのポイント
業務プロセスの改善は、無策に進めたところで期待するほどの結果は得られません。事業方針やシステムを大きく変更する可能性もある取り組みゆえ、地盤を固めるところから着実に行っていきましょう。ここでは、業務プロセス改善する際に考慮すべきポイントを紹介します。
関係者で言葉の定義を共有する
関係者間で業務プロセスの定義の認識にズレがあれば、業務プロセスの改善に一貫性をもたせられません。業務プロセス改善の第一歩として、関係者が業務プロセスをどのように認識しているかを改めて確認し、統一させましょう。業務プロセスの定義については上述していますので、そちらも参考にしてください。
責任がどこにあるかを明らかにする
業務プロセス改善という一大プロジェクトにおいて、責任の所在を明らかにしておくことは極めて重要です。業務プロセス改善に取り掛かるうえで、指揮を執る責任者を決めたり、プロジェクトチームを発足させたりしておきましょう。
このとき、責任者は会社幹部から管理権限を与えられるほか、各メンバーの権限も厳密に設定します。これは、プロジェクトチームに所属するメンバーの不安や負担の軽減に役立ちます。
業務の現状を把握する
業務プロセスの改善は、業務の現状を把握することから始まります。現状の把握が正確でなければ、どの点を見直す必要があるのかが見えてきません。現状を把握できたら、次に業務上の問題点・課題を突き詰めていきます。特に、業績が伸び悩んでいる部門については、何か大きな問題点が潜んでいると考えてよいでしょう。
問題点は目的ベースで考える
問題点を見つける際は、目的から考えるのがおすすめです。例えば、「顧客満足度を向上させる」という目的がある場合は、顧客満足度が上がらない原因を探します。こうした視点を持つことで、結果につながりやすい改善策が打ち出せます。
また、問題点は業績などの数字から判断するだけでなく、現場の意見を参考にすることも大切です。ヒアリングの手段としては、口頭で担当者に確認したり、ヒアリングシートを作成して部門全体に配布したりするなどが考えられます。
根本的な原因を追究する
1つの問題点に対して「なぜそのような結果が生じているのか」を繰り返し考え、根本的な原因を追究しましょう。例えば、顧客対応で顧客満足度が下がっている場合、「対応の質が悪い」「返答が遅い」などの原因が考えられます。これらの原因は、従業員教育に不備があるのかもしれませんし、オペレーターが不足しているのかもしれません。あるいは、システム上の問題なども考えられます。どこに原因があるかによって、講じるべき改善策は異なるのです。
有用性・現実性を意識する
根本的な原因を見つけられたら、いよいよ改善策を検討していきます。その際、「改善策の実施によってどの程度効果が得られるか(有用性)」「実現可能なアイデアか(現実性)」も考慮しましょう。加えて、なるべく単純な変更で、かつコストを低く抑えられる策であれば理想的です。
優先順位を決めて取り組む
業務プロセスの改善に取り掛かる際は、思い思いの順序で進めるのではなく、優先順位を決めてから行いましょう。本来そこまで優先すべきでない施策を率先して進めても、目に見えるほどの効果が得られないことがあります。優先順位の上位に置く判断目安は、「効果の出やすさ」「作業負荷の高さ」「顧客との距離」です。
効果の出やすさ
業務プロセス改善のよくある失敗に、「大きな成果を見据えるあまり、大幅な改善を最初から試みてしまった」というものがあります。こうした大きな改革は基本、ほかの業務との兼ね合いもあるため、速やかに結果が出ません。まずは、2ヶ月程度の取り組みで具体的な結果が出るよう改善を進めましょう。成功体験を得ることで自信がつき、今後の改善につながっていきます。
作業負担の高さ
負荷の高い作業は、往々にして日々の業務効率を下げる要因となりがちです。特に、繁忙期と閑散期の作業量に大きな差がある業務については、単純に人員を増やして解決というわけにもいきません。こうした問題には、なるべく早い抜本的な改善が求められます。
顧客との距離
電話窓口やサポート対応など、顧客と直接的に関わる業務は、顧客満足度に大きく影響します。顧客満足度は売上に直結する部分なので、後回しにはできません。
図を活用する
業務プロセスの流れをモデリングして、図を作成するのも効果的です。モデル図により、これまで漠然と把握していた他部門の業務プロセスの流れが明確化されたり、部門間のプロセスのつながりが可視化されたりします。このとき、誰がモデル図を見ても理解できるように、作成ルールについて関係者間の認識を共有しておきましょう。
KPIを設定して評価する
改善策は実施したら終わりではなく、事後評価も必ず行いましょう。評価を基に、さらなる改善を繰り返すことで、よりよい結果が出せるようになります。評価の際は、立案時に設定したKGIおよびKPIを活用しましょう。
「KGI」とは最終的に達成すべき目標を表した言葉で、「KPI」はKGI達成に向けた基準となる指標をいいます。KPIを段階的に達成していくことで、効果が出ているかどうかを定量的に測れます。
まとめ
業務プロセスとは、業務の一連の流れや構造を指します。業務プロセスを改善することによって、業務効率化やコスト削減が実現でき、よりスムーズに業務を進められます。
業務プロセスの改善方法としては、優先順位の策定やKPIの設定などが挙げられます。また、ツールを使った改善もおすすめです。
中でも「Asana」は、企業の業務効率化に役立つツールです。スケジュール管理やタスク管理を行えるうえ、業務で利用するGmailやZoom、Microsoft Teamsなどのアプリケーションを連携させて、Asana上で管理できます。業務プロセスの改善をお考えなら、ぜひ一度Asanaの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
https://asana.com/ja
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