部下とのコミュニケーションは、組織で成果を挙げるために必要な要素です。目的は仕事を円滑に進めて成果を出してもらうことであり、部下に好かれることではありません。互いに「やるべきこと」を共有し、具体的な話ができて初めて信頼関係は築かれます。本記事では、部下とのコミュニケーションを加速・改善させる方法を解説します。
部下とのコミュニケーションについて考える重要性
部下と上司の間には年齢やキャリア、価値観の違いが存在するものの、協調しながら成果を上げていくしかありません。近年働き方改革により、テレワークやフレックスタイム制度が積極的に導入されました。よい面もたくさんありますが、対人コミュニケーションは希薄になりつつあります。
今現在、部下の成長やサポート体制に悩んでいるなら、自ら積極的に働きかけてみましょう。問題をそのまま放置してしまうと、チーム力の低下を招き、さらには企業全体の生産性まで下げてしまう恐れもあります。
まずは、コミュニケーションを円滑化することで、何が変わるのか認識することです。コミュニケーションが円滑な職場であるほど、悩みや課題は明確になり、目標達成までのプロセスが短縮されます。
部下とのコミュニケーションを加速・改善するためのポイント
仕事に前向きになれない部下の多くは、仕事内容より上司とのコミュニケーションに不満を持っています。コミュニケーションを加速・改善させるには、日々の地道な取り組みしかありません。今からでもすぐに実践できるポイントを解説しますので、現環境と照らし合わせながら、問題点を探してみてください。
話しやすい環境・雰囲気をつくる
コミュニケーションを円滑化させるため、部下やチームのメンバー同士が話しやすい環境を整えましょう。会話時の基本的な動作として、会話の最中に別の仕事に気を取られていないか、手を止めて相手に向かい合っているか、言葉尻だけを捉えて理解したつもりになっていないか、など確認してみてください。
さらに自分を客観視し、話しかけやすい雰囲気であるかチェックします。常日頃から余裕を持っているか、頭ごなしに否定的な言葉を使っていないか、一方的に指示や依頼が積み重なっていないか、などです。忙しいタイミングであっても、しっかり話を聞いてくれる上司なら部下の信頼は厚いでしょう。普段から適切な距離を心がけ、会話しやすい環境づくりが大切です。
コミュニケーションの時間・機会をつくる
話しやすい環境が整ったら、コミュニケーション量を日常的に増やす取り組みを開始しましょう。部下と共有する情報量を少しずつ増やしていくことで、「上司に理解されていない」というマイナス感情を解消し、モチベーションのアップにつなげます。
部下とじっくり話し合う機会も時に必要ですが、1回の時間は短くとも、頻度を増やすことを意識してみてください。顔を見かけたら挨拶する、毎日一言でもいいから業績について話す、ねぎらいの言葉をかける、メールや日報には短文でも返事を書く、などです。ルーティン化せず、部下の情報を蓄積していくイメージで注力していきましょう。
1on1ミーティングの導入も効果的です。1on1ミーティングとは、上司と部下が定期的に1対1で面談し、課題解決や人材育成に生かす取り組みです。人事評価とは異なり、あくまで部下の力を引き出すことにフォーカスしているため、多くの企業が関心を示しています。
話を聞くようにする
意識して部下に声かけできるようになったら、聞くスキル(傾聴)を身につけます。部下が話し始めたら、言葉を遮らずに最後まで聞きましょう。うなずきやあいづちを挟み、言葉終わりに「つまり~ということだね」というように整理してフィードバックします。
すぐに自分の意見で切り返さず、「そのポイントを詳しく教えて」「それで次はどう?」など意識的に質問し、より深い会話に展開させてみてください。早合点して勝手に会話をまとめたり、それは違うと頭ごなしに否定したりしてはいけません。まずは先入観を捨て、部下の価値観を受け入れるスタンスを心がけましょう。
たとえ部下の意見に賛同できなくても、「そういった意見もある」と承認するステップを組み込んでみてください。部下は価値観に共感してもらうことで、上司に対する信頼が増し、自発的な行動が増えていきます。
褒める・ねぎらうようにする
人は褒められると自己肯定感が増し、意欲もアップします。ビジネスシーンにおいて「君が納期に遅れず安心したよ」というような、ミスを前提とするような言い方は避け、「君なら期限内にできると信じていた」など、肯定的な言葉を選んで使うようにしましょう。褒める際に何が良かったのか、具体的に伝えるのもポイントです。
例えば、「目標達成おめでとう」と一括りにするのではなく、「先月に比べ○%成約率があがっている、顧客との接点を意識的に増やしたからだね」というように、部下のプロセスを評価してください。部下は褒められることで意欲的になり、さらに難易度の高い課題にチャレンジしようと努力します。
謝罪する姿勢をもつ
年齢を重ねるほど、立場が上になるほど謝罪する機会は減っていきます。人望のない上司は、自分が間違っていても認めません。目上の人には謝罪しても、部下にはプライドが許さず、頭を下げないでしょう。
相手が誰であれ、一人の人間として「ごめんなさい」が素直に言えるのは大切なことです。自分が間違えていたらすぐに過ちを認め、頭を下げて謝ります。表面的な謝罪は、態度や言葉の端々から見抜けます。部下はそういったシーンを見逃しません。
普段は指示を与える立場ですから、自分の非を素直に認めるには、心の強さが必要です。しっかり謝罪することで、部下からの信頼をさらに強固なものにしてみてください。
言葉・話題を意識する
部下とコミュニケーションが取れるようになると、自分の話題を話す機会も増えるでしょう。その際、言葉の選定には注意が必要です。まず、部下に対しネガティブな言葉は使わないよう心がけます。「でも」「どうせ」「無理」「嫌い」「ダメ」などは避け、横柄な印象を与える「以前も言ったけど」「何度もいうけど」というような言葉も使わないようにします。
また、組織の悪口は絶対に言ってはいけません。近しい人間の不満は伝播するため、結果的に部下の信頼を損ないます。どんな人でも不満や不平はあるでしょう。そんなときは、職場とは関係のないシーンでガス抜きしてください。
情報を共有する
適切な情報共有ができると、トラブルやプロジェクトの遅れを把握でき、必要な情報がチーム全体に届きます。「自分の仕事は自分でする」「担当業務の解決は個人で行うべき」という認識は改め、積極的に情報共有できる仕組み作りが大切です。
いつ、どのような方法で、どんな内容を共有するのか部下と話し合いましょう。内容は数値目標、スケジュール、業務の進捗、アイデアの進言など多岐にわたります。コミュニケーションが不足したまま情報共有をしても、単なる報告と連絡にしかなりません。適切な情報共有から生まれるメリットは何なのか、双方理解しておくことが重要です。
情報共有をスムーズに行うには、SaaSの導入が効果的です。SaaSを使った1on1ミーティングの活用例を紹介します。1on1ミーティングの前に、あらかじめ議題を設定します。トピックを事前に検討しておくことで、徹底的に内容を深掘りできるでしょう。1週間前を目安に議題を投稿しておけば、ミーティング中に何を話すべきか前もって考えられるので、時間の短縮になります。
率直な意見が出しやすい雰囲気を作るため、部下に議題や優先順位に対して意見を積極的に述べてもらいます。目標やキャリア形成について定期的に確認し、それらを達成するため、積極的にSaaSを活用してみましょう。
仕事をお願いする
目標に対して未達のとき、部下とのコミュニケーションを重視するならば、命令ではなく「お願い」してみてはどうでしょうか。例えば「達成率80%、残りの日数でなんとかならないだろうか」というように、相談するようなイメージで話しかけます。
頭ごなしに命令されると、部下の心に「やらされ感」が生じます。言い方を相談形式にするだけで「自分は頼られている」と感じ、前向きな姿勢で取り組むきっかけになるでしょう。
また、いつまでも上司が仕事を抱え込んでしまうと、部下が成長しません。自分の仕事を棚卸しし、任せられる職務は積極的に部下に移行します。部下は仕事を任されることで「信頼されている」と感じ、モチベーションや意欲アップにつながります。
まとめ
部下とのコミュニケーションに「Asana」を活用してみてはいかがでしょうか。Asanaは業務の効率化を図ったSaaSであり、オンライン上で事業計画や職務の管理が可能です。各チームはワークスペースを作成し、プロジェクトやタスクを管理、進捗チェックや仕事のディスカッションが1カ所で完結します。
上司は部下の取り組みを、部下は上司の取り組みを完全に把握できるため、互いの接点が増え、コミュニケーションが円滑化します。Asanaはコミュニケーションに特化した快適な空間を作るのに最適な手段であり、1on1ミーティングの計画はもちろん、適切な方向に会話を導き、話し合いから発生したアクションの追跡にも活用できます。
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