仕事の引き継ぎと聞くと、面倒というイメージを抱く方も多いのではないでしょうか。しかし、引き継ぎを適切に行わなければ、前任者も後任者もうまく仕事が回らずにイライラしてしまうだけでなく、周囲に不信感を募らせてしまいかねません。本記事では、仕事の引き継ぎの概要から、なぜ重要視されているのかを解説します。また、実際にどのようなステップで仕事の引き継ぎをしていけばよいのか、とくに気を付けたい重要なポイントについてもご紹介します。
仕事の引き継ぎとは?
会社組織で働いていると、人事異動や休職、退職といったさまざまな事情で引き継ぎが必要になるシーンがあります。そもそも仕事の引き継ぎとは、自分が何らかの事情で職場を離れることになった際にも、後任者が滞りなく業務を遂行できるようにする取り組みのことです。引き継ぎの場面としては、たとえば以下のようなものが考えられるでしょう。
- 社内体制の変更により異動となった
- 病気の治療のために1ヶ月間休職する
- 結婚や育児のために退職する
仕事の引き継ぎが重要である理由
会社組織で働くビジネスパーソンには欠かせない仕事の引き継ぎですが、実際は手間も時間もかかり、予想以上に大きな負担になることもあります。では、なぜ企業が仕事の引き継ぎを重要視しているのか、掘り下げて確認してみましょう。
生産性を落とさないため
職場を離れるのに後任者に引き継ぎをしない、あるいは不十分な場合、後任者は何をどうすればよいのかを把握できず、自分で調べたり、誰かに聞いたりしながら仕事を進めることになります。また、後任者の周りのメンバーも、それに関わったり指示が増えたりするでしょう。つまり、後任者だけでなく周りのメンバーも含めて、業務の生産性を損ねてしまうのです。
とくに近年は少子高齢化の影響もあり、労働人口が減り続けています。そのため、人手不足が課題となっている企業も多く、従業員一人ひとりの生産性を上げることが急務となっています。つまり、担当者が代わる際に必ず仕事の引き継ぎを行い、円滑に業務を進め、生産性を上げていく取り組み自体が非常に重要になってきているのです。
会社の信頼を落とさないため
仕事の担当者が代わるタイミングはいつか必ず訪れ、そして避けられません。しかし、そのたびにレスポンスや業務スピードが遅くなると、顧客や取引先に不信感を募らせてしまいます。
また非常に怖いのは、たった1人の担当者が適切に業務を引き継がなければ、本人のみならず、その会社全体の姿勢も疑われてしまうリスクがあることです。引き継ぎをうやむやにしていると、後任者や周囲の人に迷惑をかけることにつながります。すると、そうした担当者を雇っている会社も同様に、「いい加減な会社」だとレッテルを貼られてしまうかもしれません。
顧客や取引先からの信頼確保は、売上や業績にも直結する重大な課題です。会社としての信頼を獲得し続けるためには、適切に引き継ぎを行い、円滑に業務を遂行できるようにすることがとても重要なのです。
前任者の対応を減らすため
仕事の引き継ぎは、後任者や周りのメンバーのためだけでなく、業務から退く前任者にとっても非常に大切です。もし引き継ぎをせずに退いた場合、後任者は何をどうすればよいのかがわからず、前任者に逐一問い合わせることになるでしょう。すると、前任者は新しい職場での仕事に集中できず、結果的に前の職場での仕事を抱えながら、現在の仕事も同時に進めなければならない可能性があるのです。新しい職場の同僚や上司にとっても迷惑なことであり、ビジネスパーソンとして不信感を与えるどころか、責任も問われかねません。
「立つ鳥跡を濁さず」という言葉があるように、自分のためにも仕事の引き継ぎや情報共有は余裕をもって行い、すっきり整理した状態で新しい職場へ向かうようにしましょう。スムーズに仕事の引き継ぎを行う方法
いつかは必ず経験する仕事の引き継ぎですが、基本的にはそれほど頻繁に発生しません。そのため、何をどういう流れで行えばよいのか、引き継ぎ方法をあらかじめ整理し、実際にその必要が発生したときスムーズに実行できるよう備えておきましょう。
引き継ぎをする業務のリストアップ
まず、これまで自分が行ってきた業務を、なるべく早めにすべてリストアップすることから始めましょう。始業から終業までといった1日単位での業務から、できれば週単位・月単位・四半期単位・1年単位に分け、業務内容を棚卸しします。
すべての業務をリストアップできたら、そこから引き継ぐべき業務について、再度リストアップしていきます。最初にリストアップしたものの中には、もしかすると前任者からなんとなく引き継いだものの、現在は不要な仕事もあるかもしれません。できるだけ真に必要な業務に絞ってスリム化することで、業務効率化を図れるようになります。そのため、引き継ぎ事項をリストアップする際には漏れに注意しつつ、無駄な業務が含まれていないかもチェックしながら進めることが大切です。引き継ぎのスケジュールを立てる
業務の引き継ぎが必要とわかれば、いつまでにどの内容を実施するのか、余裕をもってスケジュールを立てるようにします。基本的に、業務の引き継ぎは通常業務の合間に行わなければなりません。多くの場合、前任者と後任者はタイミングを合わせて時間を捻出するのが難しいと感じられるでしょう。
引き継ぎ内容によっては、短時間で理解するのが困難なこともあります。このとき、あらかじめ後任者の経験やスキルレベルをしっかり把握しておくことが重要です。これまでの経験値を把握できていないと、どのくらい丁寧に引き継ぎをすればよいかわからず、想定していたよりも時間がかかるかもしれません。したがって、できるだけ無理のない範囲でスケジュールを立てるようにしましょう。引き継ぎ資料を作成する
引き継ぎは口頭のみで行うのではなく、できればマニュアルや引き継ぎ資料と合わせて説明することをおすすめします。
資料は、引き継ぎをしたい業務リストを軸に、どのように進めていくかを示すような形で作成するのが一般的です。それに関連した書類やファイルなども併せてひとまとめにしておくと、後任者だけでなく、後任者が不在時に対応する周囲のメンバーの負担も軽減されるでしょう。
また、資料はあまり細かく作り込んでも、結局何をどうすればよいのかがわかりにくくなってしまいます。後任者の立場に立ち、目次なども活用して引き継ぎ内容を簡潔にまとめるよう心がけることが大切です。そうすることで、自分の業務を改めて見直すことにつながり、引き継ぐ内容もよりブラッシュアップできます。
後任者へ情報を共有する
ここまでの引き継ぎに必要な準備ができれば、実際に仕事の引き継ぎを行うステップに進みます。実行にあたっては、どのようなポイントに気を付ければよいでしょうか。
まず、スケジュールに沿って、後任者に引き継ぎ書類やマニュアルをもとに説明していきます。このとき、実際にやり方を見せたり一緒に作業をしたりしながら説明すると、内容への理解がより深まるでしょう。
多くの場合、引き継ぎの場面では前任者が一方的に説明して終わりがちです。しかし、相手が不安に思っていることを解消できるよう、積極的にコミュニケーションをとりながら進めることも重要です。
そして、やり方を理解できているか、些細なことでも質問はないかなど、相手に適宜確認しながら丁寧に説明を進めていくようにしましょう。
まとめ
仕事の引き継ぎでは、まず必要な業務をリストアップし、余裕のあるスケジュールを立て、資料を用意します。これらの準備を終えたら、相手に寄り添いつつ丁寧に説明するのが一連の流れですが、ここまでに多くの手間や時間がかかってしまいます。
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