近年、ウェルビーイングの重要性が高まり、導入に向けて積極的に取り組む企業が増えています。新たな働き方として注目されるウェルビーイングの実現は、企業にどのようなメリットをもたらしてくれるのでしょうか。従業員の身体と精神の健全を守り、企業を着実に成長させていくための取り組みを開始しましょう。
ウェルビーイングwell beingの意味とは
ウェルビーイング(Well-being)とは“幸福な状態”“健康な状態”を指す言葉です。“幸福”と訳されるハピネス(Happiness)が、感情的・一時的なものであるのに対して、ウェルビーイングにおける健康・幸福は持続的なものを意味します。
ウェルビーイングは、社会的に心身ともに満たされた幸福な状態を示すものであり、世界保健機関(WHO)憲章で定義されている健康の概念に近い意味を持ちます。ウェルビーイングの概念
アメリカの心理学者マーティン・セリグマンは、ウェルビーイング状態を科学的に測る「PERMAの法則」を2011年に提唱しました。PERMAとは「Positive Emotion(ポジティブな感情)」「Engagement(没頭)」「Relationship(他者とのよい関係)」「Meaning and Purpose (人生の目的と意味)」「Achievement(達成)」といった5つの要素で構成されるものです。
ウェルビーイングでは、これら5つの観点から評価を実施して改善策を講じます。幸福な社会へと転換していくために不可欠な取り組みとして、現在注目が高まっているのです。ウェルビーイングが注目される理由
最近では、日本国内でもウェルビーイングが重要視されるようになっています。心身の良好な状態を保つ目的があるウェルビーイングは、ビジネスシーンだけでなく、社会福祉でも重要とされる概念です。日本社会が抱えるさまざまな問題の解消に向けて、今後ますますウェルビーイングに関する取り組みは不可欠になると予測されています。
働き方改革の推進
長時間労働の是正やテレワークの実施に必要な環境整備など、働き方改革の推進は年々活発化しています。少子高齢化に伴う労働人口の減少により、今後ますます人手不足の問題は深刻化するでしょう。企業が競争力を維持するためには、経営に欠かせない人的資源をいかに確保していくかが重要となってきます。
今後は、介護や子育てをしながら仕事に就ける環境整備がよりいっそう求められると考えられます。個人の状況に合わせて働き方を選択し、それぞれが健康かつ幸福である状態を実現するためにも、ウェルビーイングの取り組みは有効です。価値観の多様化
多様性を指すダイバーシティ(diversity)の実現に向けて、注力する企業も増えています。性別や人種だけでなく、価値観やライフスタイル、ジェンダーといった個々の違いを尊重して働くことは、企業の成長に繋がるという概念が広まってきているのです。多様な特徴やスキルを持つ人材を活かす戦略は、企業にプラスの効果をもたらしてくれるでしょう。
人手不足の解消策
2025年の崖が目前に迫り、日本の企業は少子高齢化による人手不足をどう解消していくかが喫緊の課題となっています。ウェルビーイングの取り組みは、従業員エンゲージメントの向上により優秀な人材の流出を防ぐ効果も見込めます。
また、ウェルビーイングの取り組みを積極的に発信すれば、企業のイメージアップにも繋がるはずです。求職者に魅力的な企業だと感じてもらえれば、エントリー数の増加が期待できるでしょう。ウェルビーイングの向上は、社員にとって働きやすい職場を提供するとともに、優秀な人材の確保・定着率の上昇に結びつきます。SDGsの取り組み
世界共通の目標であるSDGsの中でも、健康経営の実現が言及されています。SDGsで掲げられている17のゴールのうち「すべての人に健康と福祉を(Good Health and Well-Being)」という項目では、すべての人びとの健康的な生活の確保と福祉の推進が提唱されているのです。
SDGsの目標達成を目指した社会全体の取り組みは、経済・社会・環境のバランスが良好に保たれた状態をもたらします。SDGsの目標を達成するという観点でも、ウェルビーイングは非常に重要な要素となっています。企業成長に繋がるウェルビーイングのメリット
新型コロナウイルスの影響により訪れた急激なライフスタイルの変化は、多くの人びとに心身の疲弊をもたらしました。これにより、ウェルビーイングの取り組みが急務となった企業も少なくないようです。現代社会において、個人の豊かな生活や幸福に焦点を当てることはとても重要です。従業員の貢献意識が高まる取り組みを実施して、さまざまなメリットを享受しましょう。
生産性の向上
生産性の向上に大きく関わってくるのが、円滑な社内のコミュニケーションです。社員同士の関係性が良くなれば、エンゲージメントの向上により社員の企業に対する貢献意識も高まるでしょう。労働環境を見直して問題を改善していけば、一人ひとりのパフォーマンスが最大化して組織全体の生産性向上が実現します。ウェルビーイングは、社員のモチベーションを高める施策としても効果的です。
職場環境の活性化
オフィス環境の改善は、従業員の健康維持と幸福に深く関係するものです。圧迫感のある室内空間や仕事に集中できない劣悪な環境は、従業員のストレスに繋がります。やがて心身の不調を引き起こし、体調不良で欠勤する社員が増えれば、従業員一人ひとりにかかる負担は増大します。定期的にアンケートを取るなどして意見を集め、安心して働ける職場環境づくりに取り組みましょう。社員のストレスを軽減するには、ウェルビーイングの取り組みが有用です。
企業魅力度アップ
ウェルビーイングの向上は、採用活動の強化にも結びつきます。人手不足を解消するには、従業員の定着率を上げ、優秀な人材を確保しなければなりません。労働環境の質が向上すれば社員エンゲージメントの向上も期待できるため、離職防止の効果も見込めます。多くの従業員にとって、心身の健康を維持できる魅力的な職場は、採用活動の場面でも効果を発揮するのです。ウェルビーイングの導入は、企業のブランディングに大きく貢献するはずです。
ウェルビーイングの取り入れ方
どのような取り組みが従業員の幸福や、組織力の向上に繋がるのでしょうか。新しい働きやすさの基準として注目されるウェルビーイングは、時代の流れとともに変化していくものです。価値観を決めつけるのではなく、社員一人ひとりの事情に対して、企業が柔軟に対応できる体制を整えることが大切です。
テレワークの導入
現在では、多くの企業がテレワークを推進しています。自由度の高いテレワークは、仕事と生活の調和を目指すワークライフバランスの実現に効果的です。もともとテレワークは、過重労働や長時間残業の問題を解消するために推奨されていた働き方です。通勤時間をなくして長時間労働を改善し、プライベートな時間との調和がうまく取れるようになれば、従業員のストレスは軽減するでしょう。対応の幅が広いテレワークは、人材の流出防止にも効果的です。
従業員のメンタルヘルスケアの実施
ウェルビーイングの向上には、健康経営の取り組みが欠かせません。経営戦略のひとつとして注目される健康経営では、社員の身体と精神の健康を重視します。一方でウェルビーイングは、エンゲージメントやコミュニケーションといった社会的な要素が加わってきます。
健康経営を取り入れて、心身の健康を管理・維持するための改善を繰り返せば、社員の仕事に対する意欲も高くなるでしょう。休暇の取りやすさも含め、社員が過度なストレスを抱えることのない職場環境の提供が必要です。ウェルビーイングの要素に含まれる健康経営に関しても、必要な知識を身に付けておきましょう。社内コミュニケーションの円滑化
社内の風通しが良くなれば、問題の発見や解決もスムーズに対処できるようになります。より良い関係性を構築するために、コミュニケーションツールを導入したり、休憩室を設置したりするなど、コミュニケーションの活性化に有効な仕組みを考えて導入しましょう。
社員同士のやり取りが増えれば「相手を理解するスキル」「相手に理解してもらうスキル」も自ずと高まります。コミュニケーション力のアップにより、意思疎通がスムーズになれば、組織のパフォーマンスは大きく向上します。衝突や軋轢といった生産性の低下を招く要素を排除して、従業員が持続的に働きやすい環境を整えていきましょう。まとめ
肉体的・精神的・社会的に満たされた状態を目指すウェルビーイングの概念は、今後の企業活動においてとても重要性の高いものです。人手不足の問題解決や労働環境の改善に有用なウェルビーイングの取り組みは、組織の生産性向上を実現に導きます。
また、生産性の向上には、業務の見直しや効率化が欠かせません。業務効率化とコミュニケーションの強化に適したツール「Asana」を活用すれば、別の拠点で働く社員同士でチームのタスクや情報を共有することも可能です。プロジェクト管理にも有用な「Asana」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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