プロジェクトにおけるタスク管理手法のひとつに、「チケット管理」というものがあります。チケット管理は便利な手法ですが、用いるツールの要件や選択肢が多く、適切なツールの選定が求められます。そこで本記事では、チケット管理の概要やメリット・デメリットや運用ポイントなどを詳しく解説します。チケット管理への知識を深めたい方は、ぜひ参考にしてください。
チケット管理とは
「チケット管理」とは、プロジェクトにおけるそれぞれのタスクを「チケット」という形で発行し、メンバーに振り分けて管理する方法です。主にプログラム開発の現場で用いられる手法でしたが、プロジェクトマネジメントが必要な場所でも適用できます。
チケット管理を行う場合、まずはプロジェクト内のすべてのタスクをピックアップし、チケット化する必要があります。その際には大きな案件は分割していき、チーム内のチケットの仕事量は統一されていることが望ましいでしょう。
チケットはタスク内容・担当者・期日で構成され、タスク内容は誰が見てもわかりやすい形で記載します。チケット化ができたら、タスク遂行の前にチケットをメンバーに割り振り、進捗に応じて「処理中」「完了」といった具合にステータスを更新してもらいます。
これにより、マネージャーはプロジェクト全体の進捗や問題を、チケットの処理数や発行数などから一括で把握できます。
チケット管理のツール
実際にチケット管理を行うにあたり、多くの場合では、チケット管理機能を搭載したプロジェクト管理ツールが用いられます。「ガントチャート」「カンバン」「タイムマネジメント」など、ツールの機能は多岐にわたるため、自社に必要な機能をあらかじめ明確にしておくことが大切です。特に、チケット管理を目的としてツールの導入を検討している場合は、それらの要件を押さえたツールから選ぶことが必須といえます。
チケット管理により期待できるメリット
では、チケット管理によって具体的にどのようなメリットが得られるのでしょうか。以下では、主なメリットを3つご紹介します。
情報の確認がしやすくなる
チケット管理では、プロジェクト内のタスクがすべてピックアップされているため、そのタスクの進捗を把握しやすくなります。特に、プロジェクト内に社員やバイトなど立場の違う人が集まっていたり、部署を越えたマルチタスクを行ったりしている場合は、仕事を「見える化」しておくことでトラブルを防ぎやすくなるでしょう。
また、各チケットの履歴が記録され、いつ・何が決まり・誰が・どのように進行したのかを遡ることができるため、必要なときに容易に確認できる点もチケット管理の強みです。
業務の改善につながる
プロジェクトの進行上でトラブルが発生したとき、チケット管理で記録に残しておくことで、どの工程が原因なのか、改善の余地があるのかなどを明確に把握できます。プロジェクト進行中に生じた変更をメンバーと共有しやすくなるため、情報不足によるミスの発生も抑えられるでしょう。
また、失敗例だけでなく過去の成功事例も記録に残る点もポイントです。次に類似するプロジェクトを行う際にはそれらの記録から具体的な知見が得られるため、プロジェクト進行の円滑化に役立てられます。
さらに、プロジェクトマネージャーがタスクを把握しやすくなることで、メンバーの得意不得意でタスクを割り振ることができます。結果として業務の効率化につながります。
時間やコストの計算に役立つ
チケット管理をすることで、そのプロジェクトのタスクに対し、各担当者がどれほど時間を費やしているかを把握できます。そのため、プロジェクトの全工程にかかる時間やコストを試算しやすくなるというメリットがあります。
また、チケット管理のデータは、プロジェクト管理の現場でしばしば用いられているガントチャートの作成にも応用が利きます。ガントチャートとは、プロジェクトの各工程を階層で表示して縦軸に作業内容や担当者、開始・終了日などのタスク概要を、横軸には時間の経過を記録した表のことです。これにより、タスクにかかる時間や進捗状況を視覚的に把握でき、より効率的な管理が可能になります。
チケット管理について注意すべきデメリット
このように、さまざまなメリットがあるチケット管理ですが、運用するうえでは注意すべきデメリットもあります。メリット・デメリットの両方を理解し、適切に運用しましょう。
プロジェクトの理解に影響する可能性がある
チケット管理はタスクを細分化して把握しやすくする点が特徴ですが、それによりプロジェクト全体が見えにくくなってしまう場合があります。プロジェクト全体を見て考えれば気付ける課題や改善点を、目の前のタスクに集中してしまうことで見逃してしまうおそれがあるのです。
また、タスクを細分化し「処理していく」という感覚を強調したあまり、メンバーの主体性が損なわれる事態も懸念されます。チケット起案の段階で、メンバーの創造性や主体性を持たせるタスク範囲にするよう留意すべきでしょう。
スケジュールに遅れを生じさせる可能性がある
タスクが細分化されることで、タスク同士のつながりが見えにくくなることもチケット管理のデメリットのひとつです。プロジェクト全体を見る姿勢を意識しないと、眼前のタスクの緊急性に気を取られ、プロジェクト自体の優先度を見落としかねません。その場合、特にプロジェクトマネージャーはチケット管理を扱いにくく感じてしまうでしょう。
また、メンバーが各々取り組みやすいタスクから進めてしまうことで、完了したタスクがうまく嚙み合わず、結果的にプロジェクト進行に遅れを生じさせる可能性もあります。タスクを振り分けたからといって安心せず、バラバラのタスクをしっかりとまとめられるように密にコミュニケーションを取ることが大切です。
チケット管理の運用ポイント
最後に、チケット管理を運用するうえで押さえておきたいポイントを2つご紹介します。
プロジェクトを円滑に進められるツールを利用する
先述したように、チケット管理の運用においては何かしらのプロジェクト管理ツールを用いるのが一般的です。そのため、そのツールが「自社のプロジェクト進行に必要な機能を過不足なく備えているかどうか」がとても重要です。
プロジェクトを進行するにあたり、チケット管理機能はもちろん有用です。しかし、それだけでは十分とはいえません。チケットをやみくもに起票しないためには、進捗管理や工数管理などの機能も重要となります。
また、多くのプロジェクトでは会議資料やマニュアルなど、関連する書類がたくさん存在します。それらをタスクと紐づけて管理できるノート機能があれば、なおよいでしょう。
そして、マルチタスクの現場が増加している現状では、部署やチーム間で円滑なコミュニケーションが行えるようにメッセージやチャット機能も必須といえます。とはいえ、使用するツールが増えすぎても管理の煩雑化につながるため、これらを一元管理できるものを選ぶのが理想的です。
コミュニケーションを意識する
チケット管理においては、メンバーとのコミュニケーションも意識する必要があります。
タスクを振り分けても、そのタスクが本当に必要か、いつ行うのがタイミングとしてベストかなど、メンバーと考えながら精査していくことが大切です。なぜなら、無駄なチケットを発行することで不要な作業が生まれてしまいます。それが続けばチケット自体が不要なものとみなされて放置されるなど、管理が機能しなくなるおそれがあるからです。チケットの処理タイミングが噛み合わず、進行に支障が続く場合も同様です。
そのため、メンバーと示し合わせて必要なタイミングで必要なチケットを発行することは、とても重要といえます。チケット管理は、あくまでプロジェクトを進める一手段に過ぎません。コミュニケーションは違う方法でしっかりと補っていくようにしましょう。
まとめ
チケット管理を導入することで、プロジェクトの管理はもちろん、履歴を参考に業務改善やコスト管理にも役立てることが可能です。コミュニケーションの必要性など留意すべき点もあります。ですが、それらをしっかりと押さえておけば、業務効率化に大きく貢献してくれる手法といえるでしょう。
その場合、特に重要となるのがツール選びです。ワークマネジメントツール「Asana」は、チケット管理機能を搭載しており、さらにZoomやGmailをはじめとした既存ツールとの連携も可能です。これにより、チケット管理だけでは不十分な機能まで補完でき、導入後もシンプルな運用を実現できます。チケット管理の導入をお考えの際は、併せて検討してみてはいかがでしょうか。
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