メタバースとはインターネット上の仮想空間であり、バーチャルイベントやバーチャルショップなど活用範囲が多岐にわたることから、近年急速に市場規模が拡大し、多くの企業が注目しています。本記事では、メタバースの基礎知識から活用事例、課題などを解説します。
メタバースとは
メタバースとは、「Meta(超越・高次)」と「Universe(宇宙)」を掛け合わせた言葉で、インターネット上に構築された「3次元の仮想空間」のことです。しかし、明確に定義づけされているわけではなく、サービスやコンテンツによってその定義が異なることがあります。その一方で共通点もあり、アバターを使用して他者との交流を図れること、大人数で参加できること、参加者は自由にその世界を作れることなどが挙げられます。
メタバースの比較対象に挙がりやすいのが、VRです。VRとは「Virtual Reality(仮想現実)」の略語であり、仮想空間で現実のように立体的に楽しめる機材、およびサービスなどを指します。簡単にいえば、メタバースは仮想空間であり、VRはそれを楽しむアイテムというわけです。
株式会社矢野経済研究所の調査によれば、メタバースの市場規模は2021年度で744億円にも上り、2026年には1兆円以上に成長すると予測されています。今後、メタバースに参入する企業も増えると見られており、さまざまな分野で活用されるでしょう。
メタバースが注目されている理由
メタバースの市場規模は今後も拡大する見込みです。では、メタバースはなぜここまで注目されるようになったのでしょうか。ここでは、その理由について解説します。
VRやNFTなどテクノロジーの発達
メタバースが注目されている大きな理由として、テクノロジーの発達が挙げられます。インターネット回線の高速化やVR技術の進化などにより、現在ではメタバースにアクセスしやすい環境が整ってきました。特にVR技術の進化は目覚ましく、視覚から身振り手振りに至るまで、より現実に近い感覚での活動が可能となっています。VRのクオリティが向上したことで、よりリアルな仮想現実へのアクセスが実現し、メタバースへの注目につながっています。
また、非代替性トークンであるNFTの実用化も、メタバースが注目されている理由のひとつです。NFTとは、非代替性という名の通り、「替えが効かない証明書つきのデジタルデータ」を指します。これまでは複製可能だったデジタルデータが、NFTを活用して安全に所有・売買が可能になったことで、メタバース内でも効率的に経済活動が行えます。
コロナ禍に対応した新たなビジネスの創造
近年のコロナ禍により物理的な接触やコミュニケーションが制限されていたことも、メタバース注目の大きな要因です。コロナ禍では感染防止対策として、多くの企業でWeb会議などのオンラインコミュニケーションサービスが活用されました。その中で、画面越しの会議などとは一線を画し、対面に近い感覚でコミュニケーションを取れるメタバースが大きな注目を集めています。もう一人の自分が仮想世界で活動し、より臨場感のあるコミュニケーションが取れることは、多くの人を魅了するでしょう。
また、前述のNFTの実用化において、メタバース内での経済活動が行えることで、新たなビジネスチャンスも期待されます。メタバースの進化は、コロナ禍に対応したこれまでにないビジネスの創造につながるでしょう。
ビジネスにおけるメタバースの活用事例
メタバースを活用できる分野は多岐にわたり、多くの企業が注目しています。ここでは、ビジネスにおけるメタバースの活用事例をご紹介します。
バーチャルイベントの開催
メタバースでは、従来の画面上で行うオンラインイベントよりもさらにリアリティのある「バーチャルイベント」が行えます。オンラインイベントではコミュニケーションが取りにくく、対面で得られる関係性が希薄になりがちです。しかし、実際に対面でイベントを行う場合は、場所の確保に加えて参加者も直接集まってもらわなければなりません。
一方で、メタバースであれば場所の制約がなく、遠方にいる人にも参加してもらえます。また、アバターによってあたかもそこにいるかのように活動でき、左右の確認やイスに座るなどの行動も可能です。このようにバーチャルイベントは、対面とオンラインの利点を併せ持っているため、社内イベントや研修にも最適でしょう。
バーチャルショップの運営
バーチャルショップとは、メタバース内に作られた店舗のことを指し、「仮想店舗」ともいわれます。バーチャルショップでは実際の店舗やオンラインショップのように、商品やサービスの購入が可能です。しかし、通常のオンラインショップとは違い、顧客がアバターで店舗内を歩き回ったり、アバターのショップスタッフが接客したりできます。今までにない顧客体験を提供できることから、多くの企業が注目しています。
オフィスをバーチャル化
メタバース技術により、インターネット上の仮想空間にオフィスを設置することも可能です。実際のオフィスのような設計もでき、アバターを使って本当に出社しているような感覚で業務が行えます。また、メタバース内に画像や動画も表示できるため、オンラインでありながらも対面会議のような臨場感が味わえます。
なお、ここで解説しているバーチャル化したオフィスは、住所や電話番号を借りて設置するバーチャルオフィスとは異なります。混同されやすいので注意しましょう。
メタバースの活用・参入の課題
メタバースの活用および参入においては、多くの課題も残されています。ここでは、メタバース活用・参入における解決すべき課題を解説します。
技術・運用面の課題
メタバースにおいてリアリティ性の高さや没入感を体感するには、高性能なVR機器が必要になります。近年ではテクノロジーの発達により、高性能かつ低価格なVR製品も発売されていますが、スマートフォンに比べるとやはり浸透率は低いのが現状です。メタバースが一般に浸透するには、PCやスマートフォンで簡単に参加できるようにするなどの対策が求められます。また、VR機器をより浸透させるためにも、性能を限定してでも価格をより抑えた製品も必要です。
そのほか、仮想空間の作成コストの高さも大きな課題です。加えて、同時接続できる人数にも限界があり、技術・運用面での課題が目立ちます。
制度面の課題
近年、急速に市場規模を延ばしているメタバースですが、法律やルールの整備が追いついていないのも事実です。オンライン上で特に懸念される個人情報保護に関しては、プライバシーポリシーを明記しておく必要があります。加えて、メタバース上における反道徳的・反社会的な行為を抑制するために、法律の整備はもちろんのこと、サービス提供側が監視や通報などを行う仕組みの構築も求められるでしょう。
メタバースの活用および参入は、上記のような課題を認識したうえで検討する必要があります。
まとめ
メタバースは、その活用範囲の広さから多くの分野から注目を集めており、新たなビジネスの創出も期待できます。すでにバーチャルイベントやバーチャルショップ、オフィスをバーチャル化するなどの活用事例もあり、その将来性はとどまるところを知りません。
その一方で、技術や運用面、制度面などの課題があることも事実です。とはいえ、課題解決の道筋は見えており、メタバースへの注目度は今後も増していくでしょう。
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