進捗管理はプロジェクトを進める上での基本的な管理作業です。しかし、その目的や基準を理解していなければ、進捗管理を失敗してしまう可能性もあるのです。本コラムでは、進捗管理とはなんなのか、失敗と成功のパターンを確認しながら、進捗管理のコツやその方法について解説します。
進捗管理とは
進捗管理とは、スケジュールの進み具合を見える化して把握することです。それぞれのタスクの進捗を管理することは、どのようなプロジェクトでも基本となります。
現状の進捗を把握すればプロジェクトがスケジュール通りに完了するかを予測しやすくなるため、プロジェクト管理には必ず進捗管理を取り入れなければなりません。
一般的には、タスクを振り分けられたメンバーがそれぞれの進捗を日々記録・更新します。また、日々更新される進捗を確認して、PMやPLがスケジュールの現状を把握するといった流れです。例えば、進捗が遅れているタスクに対しては、PMやPLが担当メンバーにアドバイスします。また、進捗遅延の原因が担当者だけで解決できない場合は、他のメンバーでフォローする体制を検討したり、スケジュールの再調整をしたりします。
進捗管理は、プロジェクト現状把握と今後の予測をするための手段なのです。
進捗管理が必要な理由
それでは、プロジェクトに進捗管理が必要な理由をみていきましょう。
スケジュールと比較した現状が「見える化」により把握しやすい
進捗管理をすることで、計画に対して「遅れている」「予定通り」「進んでいる」といった現状が把握しやすくなります。
例えば、進捗が遅れているならば、その原因を特定して、チームメンバーあるいはPM・PLがフォローするなどの施策を早い段階で判断できます。
スケジュールの早期見直しが可能になる
進捗を見える化すれば、進捗が早いタスクや遅れているタスクを把握しやすいため、スケジュールの早期見直しが可能です。
例えば、進捗に遅れが生じている場合には、それが深刻な状況(納期に間に合わないなど)になる前に、スケジュールの早期見直しが可能になります。
目標意識を持てる
進捗状況が可視化されることで、PMやPLはもちろん、タスクに対してメンバー一人ひとりが目標意識を持てます。
例えば、進捗管理をせずにプロジェクトを進行した場合は、「〇〇くらいまでにタスクを完了させればよい」などぼんやりとした意識下で作業を進める可能性があります。完了日直前にまとめてタスク消化をするメンバーがいた場合、その成果物は品質が低下する恐れがあるのです。
達成感・安心感・危機感を得られる
目標意識にも関連することですが、日々進む進捗を「見る」ことで、仕事の目標に対する達成感が得られます。
例えば、思うように進捗していない場合は危機感が持てるので、前もってスケジュールを調整したり相談したりといった危機回避が可能です。また、進捗に余裕があれば安心感を得られ、仕事に対するモチベーション維持にもつながるでしょう。
失敗する進捗管理
進捗管理は大切ですが、そのやり方によっては進捗管理が失敗してしまう場合もあります。ここでは、失敗する進捗管理の例をみていきましょう。
基準が共有できていない
失敗する進捗管理の原因としては、進捗管理の基準をチーム全員で共有できていないことが挙げられます。
例えば、「未着手」「着手」「完了」の基準が曖昧で、メンバーによってステータスの更新基準が違う場合、進捗管理表の信頼性を保てません。
何をしたら「着手」なのか、どこまで終われば「完了」なのかといったステータスの定義を明確にしておくことが大切です。
進捗管理が目的になっている
成果物の品質よりも、進捗を進めることが優先になってしまうと、進捗管理は失敗します。
例えば、進捗が遅れたときに責められたり、急かされたりする現場環境は、とにかく進捗させることが目的となりがちです。
これは、PMやPLの「メンバーへの接し方」も大きく影響する課題ですので、進捗の遅れを責めるのではなく、フォローする体制を作らなければなりません。
成功する進捗管理のコツ
それでは、成功する進捗管理とはどのようなものなのでしょうか。ここでは、そのコツをみていきましょう。
進捗管理の意識統一ができている
プロジェクトメンバーが進捗管理の目的を理解して、チーム全員で意識が統一できていれば進捗管理は成功します。
チームとして、プロジェクトをスケジュール通りに完了することが重要だと理解することで、個人の進捗だけに着目するのではなく、進捗の遅れはチームでカバーするなど視野が広がるはずです。
進捗を見ながらスケジュールの調整やリスク管理ができている
進捗管理表から現状の把握と今後のスケジュールの想定、リスク管理ができているならば、進捗管理は成功といえるでしょう。
進捗管理表から現状把握ができているということは、チームメンバー一人ひとりが進捗管理の重要性について意識できていて、信頼性のある進捗管理表が作成されているという裏付けにもなります。
定期的に進捗内容を確認する
PM、PLはもちろん、プロジェクトメンバーの全員が定期的に進捗内容を確認するという習慣付けも大切です。
特に、進捗が遅延している、あるいは前倒しできているなどの状況になった場合、その要因をいち早く把握して、リカバリーもできるようになります。
進捗管理の方法
ここでは、進捗管理の方法をみていきましょう。
2~3人規模プロジェクトならばExcelでも可能
小規模なプロジェクトならば、Excelで進捗管理は可能です。
チームメンバーが2~3人くらいであれば、Excelで作った管理表の運用でも複雑な管理になる可能性は低く、普段から利用しているExcelは使い方に慣れているため操作にとまどうこともないでしょう。
5人以上の規模ならツールを利用
5人を超える規模の進捗管理ならば、Excelでも可能ですがツールを使ったほうが効率的です。
進捗管理表は基本的に複数人で共有するため、Excelの共有機能では上書きをしてしまったり、間違えて削除してしまったりするなどの可能性が高まります。また、人数やデータが多くなるほどExcelの動きが重くなりますので、操作の快適さやデータ保持の安全性といった面からも、ツール利用の検討をおすすめします。
便利な進捗管理ツール
進捗管理ツールは、クラウドサービスとして提供されているものが便利です。
大人数で利用しても、データ容量が大きくなっても、Excelのように負荷を気にする必要がありません。また、クラウドサービスならば、パソコンはもちろんスマートフォンやタブレットに対応したツールも多く提供されていますし、インターネットに接続できればどこからでも進捗管理が行えます。
進捗管理ツールは、プロジェクト管理ツールのほとんどに搭載されている機能です。例えば、プロジェクト管理ツールのAsanaは、「ダッシュボード」でプロジェクト全体のタスクの進捗状況が確認できます。また、タスクの担当者とAsana上で直接コミュニケーションを取ることも可能です。
Asanaの進捗管理やプロジェクト管理については、「プロジェクトの進捗とステータス更新」などの公式サイトを参考にしてください。
まとめ
進捗管理は、プロジェクトを進行する上でも重要なマネジメントの一つです。仕事を進める中で、進捗管理はだれにでもできる作業であり「できて当たり前」の基本的な管理に見えます。しかし、その目的や基準、進捗管理の重要性を把握していなければ単なる「記録」になってしまうのです。ですので、PM、PLはもちろん、プロジェクトメンバー全員で進捗管理の重要性を意識して進めていくことが大切です。
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