OJTとは?その目的やメリット・デメリットからOJTを成功させるポイントについても解説

 2021.10.26  2021.12.24

OJTは多くの企業で採用されている研修方法です。新入社員や中途採用の従業員を短期間で即戦力として教育します。しかし、「どうすればOJTで期待する結果を出せるのか」と悩む担当者や企業も多いのではないでしょうか。本コラムでは、そもそもOJTとは何なのか、そのメリット・デメリットやOJTが失敗する理由を交えながら、OJTを成功させるポイントについても解説します。

OJTとは?その目的やメリット・デメリットからOJTを成功させるポイントについても解説

OJTとは

OJTとは「On the Job Training」の略称で、実務・実践を通じて業務技術や知識を教育する手法のことです。座学ではなく、実際の現場で業務を実践しながら仕事を学ぶため、即戦力として育てられます。

例えば、製造現場の技術職や営業職で、教育係が新入社員に実務を通じて指導やフィードバックをする流れをイメージするとわかりやすいでしょう。

通常業務はもちろん、トラブル回避や対処方法なども実際の現場で経験できるため、経験値とスキルの大幅なアップが期待できるものです。

OJTとOFF-JTの違い

OJTに対して「OFF-JT」という手法もあります。

OFF-JTとは「Off the Job Training」の略称で、簡単にイメージするなら現場を離れて学ぶ座学です。

OJTが実践的な研修であるのに対し、OFF-JTは業務知識などを座学で学習します。教育研修の順序としては、OFF-JTで知識を身に着け、OJTでそれを実践的に使っていく流れが多いでしょう。

  • OJT:実践教育
  • OFF-JT:座学教育
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OJTの目的

OJTを実施する目的のひとつは、新入社員や中途採用の従業員を実践でスキルアップさせ、即戦力として育てることです。

組織での仕事や企業の業務を体感しながら実践できるので、「現場を知る」方法としては最適な研修だといえます。また、OJTは教育する側の従業員の能力アップも期待できるため、一石二鳥の教育方法なのです。

また、教育を受ける側と教育する側の双方がスキルアップすることで、ひいては企業全体の力の底上げにつながるでしょう。

OJTを実施するメリット

それでは、OJTを実施するメリットをみていきましょう。

個人のスキルに合わせて教育できる

OJTは、基本的に1対1、あるいは少人数で実践的な研修を進めていきます。そのため、一人ひとりのスキルや学習スピードに合わせた教育ができるメリットがあるのです。

例えば、OFF-JTで行われる研修のように大人数で研修を受ける場合、知識やスキルの習得に個人差があっても、一人ひとりのペースに合わせることは難しいでしょう。

しかし、OJTならば個人のペースに合わせた教育が可能ですので、一つひとつの業務をしっかり身につけてもらうことが可能です。

その場でフィードバックができる

教育を行いながら、その場でフィードバックができるのもOJTのメリットです。

例えば、営業でお客様先に訪問する際に、身だしなみやお客様との接し方を観察し、どこが良くてどこが悪かったかをすぐにフィードバックできます。

教育において、時間をおいたフィードバックは逆効果になることもあるため(教育を受ける側が文句を言われた感覚になるなど)、その場でフィードバックができることは、個人が気づきを得るという点でも効果的です。

OJT担当者のスキルアップにもつながる

OJTは、教育を受ける側だけの能力を高めるものではありません。教育をする担当者にとってもスキルアップのきっかけになります。

現場で業務を教育するということは、業務を深く理解していなければなりません。また、教育を進めている中で、教育担当者にも気づきや発見、業務の効率化を思いつくことがあります。また、教育を受ける側が持った疑問からヒントを得て、これまで気にしていなかった業務の無駄な部分、あるいは優れた部分を知り得ることもあるでしょう。

OJTを実施するデメリット

次に、OJTを実施するデメリットも確認していきましょう。

OJT担当者の業務が滞る可能性がある

OJTは基本的に、教育担当者のリソースを使って進めます。そのため、教育担当者自身の業務遅延などに大きく影響する可能性があるのです。

つまり、OJTが長引けば、その分教育担当者の業務が滞り、残業などが発生してしまうということです。

OJTを受ける側が放置される可能性もある

OJTで懸念されるのは、「OJT」という名のもとに、教育を受ける側が「放置」されてしまうことです。

例えば、営業職のOJTで、新入社員を連れて営業に行っても「後ろで見ているだけ」といったスタイルは教育とはいえません。

業務の現場で実践もしなければフィードバックもなく、ただ連れ回しているだけの状態になってしまうのです。これはOJTではありません。

業務を見せることは大切ですが、見せて覚えてもらった後は実践してもらい、そこにフィードバックを行う体制が必要です。

指導者のスキルに左右される

教育担当者にも、スキルや知識の個人差があります。そのため、OJTを受けた従業員の中でも教育レベルの差が生まれてしまうのです。

つまり、即戦力になるか否かは、教育担当者のスキルに左右されてしまうのです。

また、教育担当者のスキルが高くても、教育に向いていない人もいるでしょう。この場合も、OJTに期待する効果が得られない可能性があります。

OJTが失敗する理由

OJTを実施しても「失敗してしまう」という声も多いようです。では、なぜOJTが失敗してしまうのでしょうか。OJTは、一見有効な教育手段にも見えますが、企業全体でしっかりとOJTに取り組まなければ失敗する可能性もあります。

ここでは、OJTが失敗する代表的な理由をみていきましょう。

OJTの体制が整っていない

OJTを導入しても、OJTの体制が整っていなければ失敗してしまいます。

「OJTが何であるのか」、「OJTを行うにはどのような準備が必要なのか」を把握していなければ、OJTのデメリットばかりが出てしまうのです。

つまり、OJTを行うには、OJTの体制を整えることがもっとも重要だということです。

指導者が教育を受けていない

OJTを行うには、教育担当者がOJTでどのように指導すべきかを知っておかなければなりません。

教育担当者が、指導者としての教育を受けておく必要があります。これは、上述のOJTの体制を整えるための重要な準備のひとつです。

OJTを成功させるポイント

それでは最後に、OJTを成功させる4つのポイントをみていきましょう。

OJTへの取り組みに対する計画をしっかりと行う

OJTを実施するためには、その取り組みをしっかりと計画する必要があります。

OJTの目的を明確にし、育成する方針を検討、教育を受ける側にどの程度のスキルアップを求め、どのように指導するかを細かく計画しなければなりません。また、教育担当者にはOJTにおける目的や教育方法などの研修を行うなど、OJT開始のための準備を徹底しましょう。

OJTとOFF-JTを上手く使い分ける

OJTは即戦力を生み出す教育方法として有用ですが、業務の知識やスキルなど、ある程度の基礎知識を身につけておかなければなりません。

そこで、活用したいのがOFF-JTです。まずはOFF-JTで業務知識を学習した上で、OJTへ進むなどのステップを検討するとよいでしょう。

例えば、営業職で急にOJTをはじめても、名刺の渡し方や身なりの整え方、電話の受け答えなどを全く知らない新入社員には実践できません。

まずは、OFF-JTで基礎を学び、学んだことをOJTで実践していくといったステップが効率的です。

気軽に相談できる関係性を構築する

OJTでは、いつでも質問や意見を受け付ける関係性の構築が大切です。

OJTは、実践をしてフィードバックを行うステップを繰り返します。また、教育を受ける側が「どうすればよいかわからない」「なぜ上手く行かないのかわからない」などの悩みを抱えたとき、すぐに教育担当者に質問したり相談したりできる雰囲気作りが重要なのです。

つまり、密なコミュニケーションをとっておくこと、普段から接しやすい関係性を築いておくことがOJTにおけるポイントだといえます。

まとめ

OJTは即戦力となる人材を育てる教育手段のひとつです。業務の現場で実践を交えて教育することで、教わる側の知識や技術習得はもちろん、教育担当者の経験やスキルアップにもつながります。双方の人材教育として有効なOJTを、OFF-JTも絡めて上手く運用し、企業全体の人材育成に活かしましょう。

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