プロジェクト計画書を作るように上司から指示されたものの、作る意味が分からない人や作り方が分からない人もいるでしょう。本記事ではそのような人に向けて、プロジェクト計画書の意味や作り方、作成のポイントについて紹介していきます。
プロジェクト計画書とは
プロジェクト計画書は、チームでの作業を進めていくために必要不可欠なものですが、ある程度の経験を積んでいないとスムーズに書けません。
まず、プロジェクト計画書の基本を知るために、ここからはその意味と作成する目的など、基本情報について解説していきます。
プロジェクト計画書の意味
プロジェクト計画書とは、その名のとおり、プロジェクトの計画について記載したものです。
記載内容には、どのような作業をしてどのような成果物を作成するのか、という概要をはじめ、納期や、作業のスケジュール、コストのほか、品質やリスクなどが挙げられます。
プロジェクトの規模によって書かれる内容や量は異なりますが、大規模なものになると100ページを超える分量の計画書が必要となる場合もあります。そのため、作成するだけでもたいへん手間や時間がかかる作業になります。
とはいえ、事前に計画書を作って参画メンバーと共有することは、その後の作業をスムーズに進めるためにも大切です。
プロジェクト計画書はプロジェクトマネージャーが作成することがほとんどです。
はじめから完璧な計画書が作れれば、それに越したことはありませんが、作業を進めていくうちに、思いもしないトラブルなどにより変更を余儀なくされることもありえます。
そのため、ひとつのプロジェクトの間に、何度か修正を加えていくことになるでしょう。
プロジェクト計画書を作成する目的
プロジェクト計画書を作成する大前提は、プロジェクトの成功という目的ためです。さらに細分化していくと、進捗状況の把握やメンバー間の認識共有をはじめとしたさまざまな目的があります。
メンバー同士のコミュニケーションが上手くとれていないが故に、プロジェクトが失敗してしまうこともありえます。プロジェクトへの参加人数が増えるほど、全員の意思統一を図るのは難しくなるものです。
プロジェクト計画書を作成しておけば、プロジェクトの目的やゴール、ルールなどを共通認識として持つことができます。認識の相違などを防ぐことができれば、スムーズに作業を進められるでしょう。
プロジェクト計画書の作り方
ここからはプロジェクト計画書の作り方について説明していきます。最初は難しいかもしれませんが、1つずつ誰が読んでも分かりやすいように書き進めていきましょう。
フォーマットを決める
プロジェクト計画書を作るときにまず行うのが、フォーマットの決定です。
決められたフォーマットがなければ、修正する場合に必要以上に手間がかかる可能性があります。作業が順調に進めば修正の必要はないですが、多くの場合は途中で作業の見直しが行われたり、スケジュールが変わったりします。
特にスケジュールは進行度合いやトラブルの発生などによってやむなく当初の予定を変更することも多いでしょう。
そこで、あらかじめフォーマットを用意しておくことで、そのような急な変更があっても大幅な計画変更を行うことなく素早い対応ができるでしょう。
情報を集める
情報を集めるときは要件書などの資料や過去のプロジェクトなどを参考にして作成の準備をするようにしましょう。
前述したとおり、計画書には作業の目的やゴールなど、プロジェクトをスムーズに進めるために必要な項目を記載します。
しかし、会社によっては独自に定めている項目もあるでしょう。その場合は、なぜその項目を設定する必要があるのかを理解を深めたうえで記載していきます。
また、計画書を作成する段階で関係者と情報共有を行い、意見を聞いておくことも重要です。特に、計画書の作成経験者の意見は、これから作成しようとする計画書の問題点や注意点などを発見するための手立てにもなります。
問題の発生は作業が遅れることにもつながるので、計画を立てる段階でしっかり話を聞いておきましょう。
項目を分けて記載する
概要、スコープ(範囲)、スケジュール、コストなどの項目は、それぞれ分けて記載することが大切です。
概要において目的やゴールをしっかりと定めておくことで、メンバー全員が共通認識を持ちながら作業に取り組めます。
また、スコープを定めて作業範囲を明確にし、作業内容を階層構造で作成していきます。これを記載することで、目的を達成するにはどのような作業が必要になるのかがはっきり示せるでしょう。
スケジュールでは作業全体のスケジュールを要約したものが必要です。工程スケジュールや管理指標などを記載しますが、ここでは詳細を記さず、マイルストーンやクリティカルパスを入れる程度のおおまかなスケジュール作成を行えばよいでしょう。
コストの欄にはソフトウェア費用や人件費、ライセンス費用などプロジェクトにかかる費用の概算を載せます。
ほかにも、プロジェクトに携わるメンバーや責任の所在といったプロジェクトの体制、機能性や信頼性などの品質分類や正確性などの品質項目といったプロジェクトで達成すべき品質、作業中に起こり得るリスクやその対策といった危険性に関わる項目も記載しておくとよいでしょう。
プロジェクト計画書の作成におけるポイント
ここからは、プロジェクト計画書の作成におけるポイント3つを解説していきます。
記載内容の量によっては別途記載も考える
計画書を作成していると、項目によっては書くことが多くなる場合があります。そのようなときには、別途、定義書など添付資料を用意しましょう。
たとえば、プロジェクトで達成すべき品質を記載する場合、一口に「品質」といっても品質分類や品質項目、品質指標や目標値など複数の項目があります。プロジェクトの規模が大きい場合は記載内容が膨大になってしまうことも多いです。
その際は計画書にすべて記載するのではなく、別途、サービスレベル定義書としてまとめたものを作成するほうが、メンバーも読みやすいでしょう。
また、スケジュールにおいてはガントチャートを含めたWBS(Work Breakdown Structure、作業分解構成図)の作成を、コストに関しても細かな部分は添付資料で作成するといった工夫を凝らすことでプロジェクトの詳細を分かりやすくできます。
記載方法や見方の共有をする
メンバー間で計画書の記載方法や見方を共有しておくことも大切です。これらが共有されていないと、変更点が出たときに最初の計画書をどのように書き換えればいいのか分からなかったり、見方が分からず情報共有が上手くできなかったりするおそれがあります。
最初に計画書を作った人物が修正をするのであれば問題はありませんが、場合によっては別の人物が書き換えることもあります。
そのようなケースでは、書き直された計画書をどのように見ればいいのか分からず、現場が混乱する可能性も否めません。
トラブルや混乱を未然に避けるためにも、事前に記載方法や見方を統一しておくことが重要なのです。
作成後の周知を忘れない
プロジェクト計画書は作っただけで満足するのではなく、内容の周知も徹底しなくてはいけません。前述したとおり、計画書はプロジェクトの関係者が目的やスケジュール、ゴールなどの共通認識を持つために作ります。そのため、作成したものを周知できなければ意味がないのです。計画書の内容を周知して、認識に齟齬がないように取り組んでいくことが何より重要なポイントといえるでしょう。
まとめ
プロジェクト計画書は納期を守りつつ、メンバー全員が同じ目標を持って作業するために必要なものです。
最初は難しく感じるかもしれませんが、この記事で紹介した作り方やポイントを踏まえながら分かりやすく作成し、プロジェクトを成功に導きましょう。
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